ハンバーグ、オムライス、ピザ
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)
そろそろ王都組のお腹が空腹の限界に達しそうです。
盛大に空腹を訴える音が食堂に鳴り響くが、アリシア家の三人は何も聞こえていない風で平然と食事を続けている。その他の招待を受けた面々は居心地が悪い。が、敢えて腹の音に注視して藪をつつくような真似もごめんなのである。
それはそれとして、アリサ以外の面々はサラダを別け合う。
たかがサラダ。されどサラダ。サラダと言えど三種も用意されると、それなりに食べではある。特にコールスローが微塵切りのくせして、なかなか手強い。ただただモキュモキュ咀嚼に勤しむばかりである。
その間アリサはと言えば、隠し味が醤油の味噌煮込み鍋焼うどんをつるつる堪能していたのであった。この鍋焼うどんが、まあ何とも罪作りな香りを周囲に撒き散らすので、周囲からの腹の音が酷くなるのである。
だが、鍋焼うどんは序章に過ぎなかった。
更なる暴力的な香りが(半ば見学者となっている)王家の人間や護衛の騎士達を襲う。肉だ! この匂いは肉を焼く匂いだ!
サラダが全て捌け切らぬ内に、アリサ以外に肉の塊が配られて行く。見たところ丸い。いや楕円形か? それぞれ大きさも違うようだ。ハリシア組からは騎士らしき二人と、クルイウィル兄弟に対しては大きな肉を。その他にはその三分の二程度の大きさの物が運ばれる。
「うお! ハンバーグだ!」「御馳走だぁ♡」
とハリシア組が喜びの声を上げれば、アリシア伯爵がしみじみと呟く。
「ファルゴルが食べたがっていたな。……これが知られたら恨まれそうだ」
クルイウィル兄弟及び第二王子(ついでに護衛騎士数名)は、このアリシア伯爵の呟きで思い出す。これがいつぞやファルゴルが口に出していたハンバーグかと。
思い至るとクルイウィル兄弟はしみじみと味わい、思い出しても食べられない面々はより一層喉を鳴らしながら凝視してしまうのである。
「あ奴のことだ。向こうで存分に味わっているだろうて」
レイモンド老人の指摘に、アリサがウンウンと首肯で同意を示すのであった。
ミアに何やら耳打ちされたアリサが席を立つ。どうやら鍋焼うどんは食べ終わっていたようで、ミアが土鍋と取り皿等を回収していく。
アリサはササッとタスキを掛けると(実は和装)厨房の中へと案内に従って入って行ってしまうではないか。そしてそのまま、何やら説明をしながら調理に入ってしまう。同時進行で調理に入る者、見学で群がる城側のコック達の様子から、説明と見本だけでなく、指示まで飛ばしているもよう。しかも手馴れている。いったいどんな育ちの令嬢なのだろうか? 普通の貴族令嬢は自身で料理などできない。
「はい、注目~」
厨房からの声はアリサのもの。声に従えば、厨房から皿が差し出されていた。皿に盛られているのは……おそらく炒めた米。カラフルな刻んだ野菜と共に炒めて丸く盛られている。その上に別の(ハリシアの)コックが黄色くて微妙にプルプル揺れる何かを米の上に乗せる。あんな丸く盛った米から転がり落ちる事もない。塊の上に別の塊。奇妙な盛り付けは、しかしアリサの手によって別の形となる。黄色の塊にスッとナイフを横に滑らせると、黄色の塊がトロリと崩れて丸い米の塊を覆った。これが遣りたかったのかと一同納得する。だが彼女達は更なる追撃をかける。これまた別のコックが鍋の蓋を開けると、フワリとしかし暴力的な香りが広がった。
「カレーオムライス!」
ハリシア組から思わずだろう叫びが上がった。
カレーオムライスはハリシア組とクルイウィル兄弟に配られる。
「お祖父様と父様は如何なさいます? オムライスは重いと思われるなら、ピザに致しますか?」
二人の大人が頷くそばから、若者達からもピザを注文する声が上がった。
そしてこれも語るまでもないことだが、王都組はハンバーグもオムライスもピザも知らないのである。
匂いしか御相伴に預かれない王都組を哀れと思し召される方は、
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