80.アリサの居ない観測
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アリサが倒れた後のあれこれ。
その日クルイウィル三兄弟は昼食に落ち合う約束をしていた。場所はアリサとジオラスの根城になりつつある魔術師棟の個人用台所。厨房よりも食堂の方が広いという、普通の食堂のような造りの空間で、アリサの一風変わった、しかし絶品の料理を堪能しようという試み。
長兄サイラスはいつも通り城内の役所で仕事。次兄クラウスも仕事だが、こちらは魔導師棟での訓練。そしてジオラスは、転がり込んだ次兄の部屋で宿題と格闘。ジオラスがいつもの魔術師棟個人用台所に居なかったのは、単にアリサに会えないから。
とにかく暫くぶりに各自で過ごしていたので気付くのが遅れた。
待ち合わせ場所でいくら待っても誰も現れない。いい加減心配になった頃、サイラスの従者サイフォンが駆け込んで来た。
「サイラス様、クラウス様! アリシア嬢が倒れ、医務室に運ばれたそうです。ジオラス様もそちらにおられます」
そうしてほぼアリサ用の客室と化している医務室の前に、ジオラスが泣きそうな顔て佇んでいたのだった。
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宰相は頭を抱えていた。サセクの処分についてだ。
表向き、極刑か、貴族籍剥奪の上鉱山送りか。アリシア嬢の身分を考えると極刑は少し重い。たとえ殺人(未遂)でも、伯爵家令嬢でも、だ。サセクは感覚の片寄りは大きかったが、周りが調節してやれば優秀な部類の男ではあったのだ。ここでアリシア嬢がただの令嬢であったなら、被害者家族には不満だろうが、もう少しだけ刑は軽くなる。だがアリシア嬢は地味に度しがたい娘であった。国軍配備を検討している光による緊急信号(マッチ棒擬き)とか、ここ近年のハリシア領改革だとか。驚いた事に、王都出仕組に読み書き礼儀作法を教える為に絵本という本まで出版しているという。その絵本なる物は、取り急ぎ取り寄せ中だ。とにかくハリシア振興と復興にガッツリ食い込んでいる、らしい。城で働くハリシア出身組に天使様呼ばわりされるくらい敬愛されてもいる、らしい……。馬鹿っぽいのに、変わった知識の宝庫。馬鹿と天才は紙一重という典型だろうか? ここで刑の度合いを間違えると、ハリシアを敵に回しかねない。かといって重くし過ぎると、今度はザーンネンが怒り狂うだろう。ハリー・デヴィド・サセクは嫡男だったのだから。だがザーンネンは叩けば埃はいくらでも出てくる。今回アリシア嬢が示唆した町ないし村の被災(おそらく壊滅)を隠していた一点だけでも「領主としての資格無し」として降爵、他の諸々を巧く組み合わせれば爵位剥奪も可能だろう。勿論、領地は返還してもらう。ああ、そうだ。サセク家にはアリシア家に対して慰謝料も払ってもらわないといけない。
……………さて、頭が痛い。
こうなったら、近々の予定には無かったが、サセク家の摘発をしてしまおう。それには上にお伺いせねばならない。
うん。ハリー・デヴィド・サセクよ。本当に余計な事をしてくれたな!
そもそもハリー・デヴィド・サセク本人が面倒臭い。もう少し融通が利くなら表社会から抹殺して、暗部(の雑用)で採用とする事もできたのに。暗部はある意味、公平でなければ勤まらない。だがあの男には無理だ。だが下手に優秀だから放逐も危ない。
はあぁぁ……。
とにかく上……王家の面々に報告と相談だ。
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ジオラスはその日のお茶の時間、一人で観測に出掛けた。心配して付いて来ようとしてくれた次兄はアリサの側に居てくれるように懇願。同じく心配して自分の付き人サイフォンをジオラスに付けてくれようとした長兄の申し出も断っての単独行動。ふと気が付くとボンヤリしてしまい、観測はやけに時間がかかった。
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