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夏の外でのお茶会は危険な来訪に注意しましょう

今回は短めです


さて、誰にとっての「危険」でしょう?



 私はモグモグ早回しで咀嚼しながら風を操っての盗聴を続けます。

 キャーキャーはしゃぐ御令嬢達の声は盗聴無しでも届きます。あの超音波を音量高めで聞くとか無理! けれども会話は聞き漏らしたくありませんし、風を操っての盗聴なので、聞きたい音だけ拾うとかも無理……。とにかく御令嬢達が落ち着くのを待ちます。


 さあ、盗聴再開。

 ………………………………

 これといって何もございませんわね……。

 茶器の音。好きな茶葉やお菓子を探るような会話。まあ……当初は共通の話題もございませんものね。しかも〈お花君〉は非協力的。ちょっと御令嬢方に同情したくなりましたわ。でも犯罪紛いの企みはいただけません。何とか阻止しないと……。でも、どうやって?

 どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう……エンドレス


──ザザザザザ──!!


 不意に強い風が通り抜けて行きました。

 は‼️ 思い付きましたわ!


 わたくしは不自然に見えないよう気を配りながら、体の角度を変えます。視界の隅に〈お花君〉を捉えました。しかし状況はかんばしくありません。

 あ! うああ! 飲んじゃ駄目!


──ザザ


 また風が過ぎ去って行きます。この風で〈お花君〉は口元に一度は運んだカップをソーサーに戻したようでした。良く分かりませんが、一時有余が与えられたようです。

 そう、これが最後の有余です。わたくしも思い切ります。


 わたくしは東屋の周囲に風を起こし、東屋のテーブルへ風を送ります。東屋の回りには背の高い樹木が三本と一部に灌木。わたくしはその背の高い樹木の内一本と灌木からテーブルへと風を流したのです。後は野となれ山となれ。結果は神のみぞ知る!

 わたくしの祈りは通じたようです。直ぐに女性徒達の悲鳴が上がりました。

 御令嬢達は悲鳴と共に、虫が虫がと騒いでおります。これだけ騒ぎが大きくなればわたくしも堂々とそちらへ振り向く事ができます。様子を観察するに……ふふ、ふふふふふ! やりましたわ! わたくしは懸けに勝てたようです。力を貸してくれた精霊達、ありがとう存じます。何よりも幸運を授けてくだされた運命の女神に感謝を。そして私の認識が及ばないような見えない〈力〉の諸々にも感謝を。この結果をもたらしてくだされたあらゆる存在に感謝を!


 わたくしが何をしたのか種明かし。

 今は初夏。この季節ですもの、草木には色々な昆虫がたかっておりましてよ。芋虫や毛虫、その他諸々成虫。いくら手入れされていても、ゼロにはできませんもの。それらの虫達をテーブルへと落としたのですわ。もしもカップに入ってしまっていたら……お亡くなりになった虫には申し訳ない事をいたしましたわ。それに無駄になったお茶にも申し訳がない……いえ、お茶はわたくしが駄目にしたのではありませんでしたわ。そもそも犯罪紛いの企みを起こした御令嬢方がおかしいのですわ!

 わたくしもああならないように反面教師とさせていただきましょう。




 その日の放課後。

 わたくしが帰る前に日課のマーキング観察巡りをしていますと、ダリア先生がいらっしゃいました。


「昼間の『あれ』は、君の仕業かい?」

「『あれ』? 『あれ』では意味が分かりませんわ」


 『あれ』というのは、昼食時のお茶会昆虫来訪事件の一件ですわよね……素っ惚けます。当然です。

 わたくしの返しにダリア先生はクスリと楽しそうな微笑を浮かべられました。


「いや、今のは忘れてくれてかまわない。今日は〈学園の花〉も帰宅している。君も観察日記は程々にして帰りなさい」


 こちらのお言葉にはわたくし素直にお返事いたします。


「はい先生」


 けれども昼間の一件を確認しに来てくださるなんて、ダリア先生はわたくしをお気遣いくださっていますのかしら? もしもそうであるならば、ありがたいことですわ。ホッコリ。









応援してくださる読者様、ありがとう(。ノuωu)ノ

「いいね」や「ブックマーク」が付いていたので

作者、浮かれています ヾ(o≧∀≦o)ノ゛

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