転んでもただでは起きない~~~返り討ち
お久し振りですm(_ _)m
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます。
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今回は父の元上司視点です。
何なのだ、この親子は!?
部下であるアリシア伯爵が使える男であるのは知っていた。
その娘は父親の顔に泥を塗りたくるような馬鹿であるのに生意気で反抗的で頑固と、手に負えない。しかも鈍感。普通は自分に怯えて然るべき状況だろう。何故、平然としていられる。
「何はともあれ、こちらは無茶な要望に応えたのだ。もう我々がこの場に居続ける必要は無いだろう──閣下、我々はそろそろ失礼させていただきます」
「──メス豚が……」
アリシア伯爵の暇乞いに被せるように、つい言葉が零れた。周囲がギョッとしたように固まったのが分かったが、アリシア伯爵その人には殺気を向けられる。そんなにその小娘が可愛いのですか? 今の言葉にさえキョトンとした顔しか浮かべられないような愚鈍な女が。
「“豚”という存在は一般的に肥満体や強欲等の代名詞ですが、家畜としての豚の体脂肪率は一般的に十五%前後。対して人間の体脂肪率は鍛えに鍛えた騎士様でも十%前後。一般的な男性で十五%から二十%。女性が二十%から三十%。強欲に対しても、豚の場合は食べられる時に食べられる分は食べる。それだけ。対して人間はどうか? 際限無く貪欲に欲を満たそうとする。そのような生き物は、寧ろ人間くらいなもの」
この期に及んで良く分からない屁理屈を並べ立てて来る女。
「足るを知るという言葉を御存じですか? 何を理解して“豚”という単語を蔑称として扱っておられるのか? 貴方の理解力には甚だ疑問を呈する」
「訳の分からぬ事を! はっ! 語るに落ちるとは貴様の事よ。お前は今、自分で豚よりも豚だと言い切ったのだ!」
「身も心も、豚などより貴方の方が余程脂にまみれているようです。自分にとって都合の良い言葉しか耳に入らないとは」
「豚がブヒブヒ煩いぞ」
「もたらされた情報を現実として受け取れぬ者が国の中枢にあっては、国が傾きましょう」
「おい豚。豚も女も男が飼ってやらないと生きていけないんだぞ。屠殺されたいのか?」
「哀れなお人形ですこと。貴方の母親だか姉だかへの恨みを、他の女に八つ当たりする事しかできぬ惨めに気付きもしないで」
「煩い! 黙れ!!」
「本当に、いい加減、お静かに願いたい」
怒りに満ちた制止の声が場を抑えた。アリシア伯爵の静かな怒声が。
「サセク殿。貴方は今、世の女性全てを侮蔑した。そして女性を大切に思う男達を敵に回した」
不味い……! アリシア伯爵が怒髪天を衝いている!
「サセク殿。私は私を産み、育ててくれた亡き母を尊敬している。妻は賢く優しく、そして心根が強い敬愛できる婦人である。そして娘は──」
「母様への惚気は結構。わたくしは、不出来な娘で申し訳ありません」
「他人の話を遮るな。無作法が過ぎるぞ、娘よ」
「お聞き苦しい真似を致しました」
いや、今回に限っては良くやった、小娘。妻自慢と娘自慢が始まると長いのだ。これはアリシア伯爵に限った事ではないから困る。早々に話を断ち切ってもらわねば、宰相殿まで自慢話が波及しかねなかった。何よりアリシア伯爵の怒りの気勢が殺がれた。ありがたい。──否、ありがたくなどない!
「アリ、アリシア伯爵! 知って、いる、いるのですぞ! 貴方は血の繋がった娘と同衾していたと! その娘でありましょう!」
「それが何か?」
「え……?」
「どんな噂を聞いたのかは知らんが、この娘が小さな時分は妻と私とで挟むように、良く一緒に眠ったものだ」
「そこの加害者オッサンは余計な事を……」
「ウチの娘は甘えたでな、昔は風呂も良く一緒に入ったものだ」
あ、あれ? これ昔話という自慢話に入ったのか?
「ユナスよ。風呂はフカシが過ぎないか?」
嗚呼、宰相殿まで参戦なされて来た。もう駄目だ……。
「領地の風呂はとにかく広いので、妻と娘と三人でも余裕ですぞ」
「ハリシアは温泉が湧いてますので。使用人達の湯殿も大浴場で、庶民達もハリシアでは湯に浸かるお風呂が一般的ですの」
「王都は違いますからな。いや残念しごく。昔は良く妻と娘と一緒に湯に浸かったものです。こちらに拘束される前は」
「──拘束は言い過ぎだろうユナス……」
「最後に家族と共に湯に浸かった時は、末っ子とでしたな。我が子に背中を流してもらうと、一日の疲れも流れますでな。はあ……温泉が恋しい」
「……温泉ではございませんが、お背中お流し致しましょうか?」
「ならんぞ娘よ。お前はもう思春期真っ只中の娘なのだ。たとえ父親であっても一緒の風呂はならん。何よりタウンハウスの風呂は一人用だ」
「わたくしそのものがお城に拘束されておりますものね。無理ですわよね。わたくしも温泉が恋しいですわ。領地に帰ったら母様と弟の二人をお誘いして温泉に浸かります」
「うむ…うぬんんんんん? 待ちなさい娘よ」
同意しかけたアリシア伯爵が待ったをかけたな。
「ジィーンもそろそろ思春期に入る頃だろう」
「わたくしが卒業して帰る頃合いにはそうですわね」
「やめるのだ」
「何故ですの?」
この女、羞恥心が麻痺しているのか!? いくら貴族でも、否、貴族だからこそ異性との距離は取るものだろう! 例え相手が家族であってもだ!
「……あー……思春期に入る少し前くらいから、男というものは心情的にも難しくなってくるのだ。見栄とか、意地とか、色々な? その辺りで拗れると、あれだ。お前をここに呼び出したあの男のようになってしまいかねないぞ」
「駄目です!」
「うむ。即答してしまうほど軽蔑の対象になっているのだな」
それは私の事ですか、アリシア伯爵!?
他人に軽蔑されるような事をしているのは貴方達親子の方ではないですか!!
「け、軽蔑されるのは貴方達の方だ! 厭らしい!!」
「本当に学習せん男よな……」
宰相殿の呟きなど聞こえん! 断じて聞こえない!
「父様、父様、あちらの加害者男性は何を言っておりますの?」
「あー……ポルノ的な意味として親子の触れ合いを受け取ったらしい」
「……性的な意味であると?」
「うむ」
キョトンとしていた顔から驚愕の表情に変じた可愛い顔が──否、可愛くない顔がこちらに向いた。そしてボソリと一言。
「気持ち悪い」
「あ~あ。本音の一言貰って固まっちまったなぁ」
魔導師長がゲラゲラ笑いながら何か言ってる。
……………ぇえええ~~~!?
豚さんやトリカブトの豆知識はうろ覚えなので間違っているかもしれません。
この世界の豚さん、トリカブトの知識としてお見逃しをお願いします(-人-;)
北風ビュービュー、風邪にコロナに厳しい季節です。皆様、暖かいお部屋で拙作を読んで、ついでにポチっとお願いいたします(。-人-。)




