70.神出鬼没~~~精霊のお気に入り
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます。
☆評価、ブクマ、いいね 等、ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
今回は題名の割にはのんびりした回ですo(*⌒―⌒*)o
その日、午前の内から王太子エーリクは父王にお茶会を申し込んでいた。勿論、お茶会の名の元に行われる二人きりの会議である。今回の話し合いで方向性が決まってから、母である王妃や弟である第二王子にも何等かの形で通達する事になるであろう。
──お題は「ドラゴジラ令嬢」への対応に関して。
先だってのエーリクの彼女への対応は既に耳に入っているだろう。浅慮であったと一言あるか、それとも肯定されるか。
いずれにせよ繊細な話題なので、入れる護衛や侍従も選ぶ王室関係者専用の東屋に向かう。
この近くには精霊への謁見用の礼拝所もある。その為に、王家の住まいとなっている奥の宮殿よりも出入りへの管理は厳重である。その場所に、通常では考えられない人物がふらふら歩いているではないか。華奢で小柄。目立つのは薄いピンク色──桜色の短い髪の毛。手足のスラリと長い、しかし男の子とは違う曲線美を描く男装。
「え? アリシア嬢!?」
思わず漏れ出た王太子の声に、王の信頼篤い護衛騎士達がアリサ排除に動こうとする。だがそれを王その人が止めた。
「構い無し! 良く見るが良い。精霊の導きだ」
「あの梟のような鳥が? ………ですね」
初めの制止以外は、穏やかに染み入るような独特の王の声音に皆気付く。梟にしか見えない、梟にしてもやけに大きな鳥が彼女の周囲を飛び交っている事に。しかし普通の鳥と違うのは、常識的に墜落して然るべし状態でも空中に浮き続けていたりする光景……。明らかに彼女を誘導している。
しかもアリシア嬢は自分を誘導している鳥形精霊を熱心に書き留めているようだ。おそらく常時持ち歩いているメモ帳。ながら歩きは危ないぞ、の見本。時折自分の絵姿を確認しているらしい精霊が翼をメモ帳にバサリと振ってみせるとアリシア嬢の目が輝く。そしてまたせっせと描き出す。
精霊との謁見の間は部屋ではなく周囲に七本の柱が立っているだけの泉──池だ。その周囲は精霊が人間を嫌う為(と云われている)壁がある。彼女はその壁に気付かず(?)、横に横に蟹歩きで池の周囲を(二メートル弱)移動。………何と言うべきか、気の抜ける光景である。
池の中央付近が僅かにキラキラ光って見えた。かと思ったら、人間避けの光の壁が消失する。途端に前進するアリシア嬢。
──危ない!?
当然池には水が溜まっている。池に落ちる! と思われた足は
「にょっ!?」
彼女の間抜けな声と共に、何故か踏み出した足は沈まず前方へ押し出され続ける。彼女は咄嗟に氷の魔法でも発動したのだろう。しかし本当に足下のみにしか氷が張られなかったのか、踏み出した足は当然踏ん張れない。辛うじて陸地に残っていた足も、既に重心が踏み出した足に移っていたので踏み留まれず、徐々に膝を着く形で引っ張られる。
「ぎゅっ……!」
膝の方もザブンとはいかず、彼女の口から変わらず力の抜けるような呻き声。これまた咄嗟に氷を張ったと思われる。
彼女は片膝を付き両腕をわたわたさせたままトロトロと池の中心へと進んで行く。さすがに不味い。場所が場所なので近衛騎士に任せる訳にもいかず、王と王太子が自ら助けに向かう。向かった矢先、彼女がとうとうバランスを崩して横倒しに倒れる。
「……………っ!」
思わず吹き出しそうになる笑いを各々が堪えた隙に、その影がやって来た。
今まで影も形もなかった大きな存在の影が彼女の上に射す。はっと上を見ると竜神と表現しても良い程の神々しいドラゴン。
「みょっ!?」
緊張感も緊迫感も根こそぎ抜けるようなアリシア嬢の声が漏れると同時に、ドラゴンがアリシア嬢を鷲掴みして飛び去る。
慌ててアリシア伯爵にこの件が通達されたのは言うまでもない。
「あー……精霊寄りのドラゴンが動いたのなら、害は無いでしょう。ウチの娘がお騒がせして申し訳ない」
他にもっと何かあるだろう!?
との突っ込みは、それぞれが心中で叫んでいたとかいないとか。
「……………ん? アリシア嬢は精霊の愛し子か?」
この疑いが出た時には、既にアリシア伯爵は王と王太子の御前を失礼した後だった。
連れ去られたアリサ。全く動じていない父アリシア伯爵。アリシア親子のあるあるか!?
アリサは次回までに戻って来る予定ですm(_ _)m




