噂~~婚約
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今回は二人の男性視点。
私がアリサ嬢を一般職員用の食堂へと連れて行ったのは、そちらの料理人達が刺激を求めていたのを知っていたので受け入れてもらえるだろうという算段が一つ。もう一つは、第二騎士団への軽い嫌がらせのつもりだった。現状、あの食堂を一番利用しているのは第二騎士団。そこに彼等の食べられないアリサ嬢の料理が出て来たら、彼等はさぞや臍を噛んで悔しがるだろう。
まあ、噂くらいにはなるだろうとは予想していた。しかし、あれを切っ掛けに第二騎士団がアリサ嬢に纏わり付くような動きを見せ始めるとまでは思ってもいなかった。更にアリサ嬢に関して悪い噂も湧き始めた。どうやら私の周囲を飛び交う害虫として。うーん……どちらかと言うと、私の方がアリサ嬢に興味を抱いているのだがなあ。しかもどうすればそうなるのか、アリサ嬢が少年として扱われているもよう。しかし彼女は歴とした女性なのだから、放置しても大丈夫か? 今ここで私が動いた方が話が拗れる気がする。何よりいつも共に居る保護者達が彼女を守るだろう。
うん。暫く様子見だな。
by.第二王子バルド
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一晩明けて、早朝訓練への行き帰りする間に聞こえてきた話。おそらくアリサに関する噂。たぶんだけど、こちらに聞こえるように話していたのだろうと思う。アリサが俺達兄弟や第二王子に媚びて付きまとっているとか何とか!
何だそれ! 事実と真逆に近い噂って、悪意しか感じない!
「十中八九、仕掛人が居るな。アリシア嬢への嫉妬か、逆恨みか。第二王子も絡んでくると、バルド殿下のお妃候補の〈家〉が怪しいかもな。父上と兄上に相談しよう」
次兄クラウス兄上に父上と兄上の事は任せてしまおう。その間に、こちらはこちらでアリサの父上と兄上に話を持ち掛けよう。
「クラウス兄上、ごめん。俺、アリサの父上と兄上にアリサとの婚約を申し込む」
「………返り討ちにあったら骨は拾ってやる」
クラウス兄上もアリサの事は気になっているのに応援して? もらえた。玉砕する覚悟で朝の観測後にアリサの父上と兄上に話をする。そして初めて知る衝撃の現実。アリサは神殿契約によって結婚できない!
「婚約も無理なんですか?」
我ながら良く出て来たこの一言。アリシア親子が揃って口を閉ざし、互いにアイコンタクトで会話を交わそうとしている。ここは畳み掛けるべきだ!
「私なら年齢も同じですし、学園内でも彼女の保護が可能です。しかし何も約束の無い現状でそれは互いに難しい──」
「難しいと言うより、不可能になるな」
「そうです兄上!」
「まだ兄上じゃない」×アリシア親子
「そもそもの話として、アリサ本人に了解は取っているのか?」
アリシア伯爵の痛い確認に、俺は「いえ」と首を振るしかない。アリサと共に居ない時点で、彼女の了承が無いと分かっていたのだろう。俺の一方的な申し込みは、軽く一蹴されて終わったかに見えた。
しかしここで家が動いた。正確にはクルイウィル家守護者のダリアが。いつの間に休眠から醒めたのだろう? 何はともあれ正式に家からの申し込みになった事、そして俺はアリサの結婚できないという事情を知っている事。事情を知りながら婚約を望んでいる事……等々が考慮され、形ばかりの婚約が整う運びとなった。
「落とせよ」とは、サイラス兄上と父上の命令。自信は無いが頷くしかない。彼女を他の男には渡さない。それが兄上達であれ、第二王子であれ……。
by.ジオラス
この婚約を以て、アリサに湧きかけた悪い噂話は消えた。
ジオラス君、かなり思い切りました!
しかし婚約は出発点でしかないのです。アリサ相手に進展はあるのか!?
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