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【本編完結】とある(残念)イケメン観察…しない残念令嬢  作者: 泉ヶ森 密筑


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カレーパンに窯はいりません~蟷螂の卵 至

拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます


今回は久々にアリサ視点に戻ります



「父上。カレーパンが恋しいとは思いませんか?」

「私は今、付け合わせではない固茹で玉子と格闘中だ。カレーに固い茹で玉子はありなのか?」

「カレーパンなら鶉の卵一つなら許容範囲かと」

「うむ。カレーパンに半熟卵は難しいからな」


 どうして卵に拘るのでしょうか?


「そもそもナンではなくハードタイプの酸味の強いパンをルーに浸して食べるのが私としてはいただけません」

「その意見には同意を示す。やはり米だろう」

「ええ、そうです! あの細長くて黄色い米です!」


 お米はインディゴ米ですわね。残念ながらこの国では生産されておりませんの。けれども最近、漸く我等が領内で野生のお米らしき品種が見付かりましたの。目指せ品種改良! 目指せジャポニカ米! ですわ!

 因みに黄色いとの証言は、サフランやターメリックで色付けして炊いているからです。我が家の男共は黄色に着色しないとお米を素直に食べてくれないのですもの。


「はぁ、米があったならなぁ……」

「米が無くても納得なのがカレーパンではないですか、父上!」

「パンだから、パン窯がなければ無理なのではないか?」

「!!」


 カレーパンは油で揚げるので、窯はなくとも大丈夫! 教えてあげませんけれど。だってカレーパンにした途端、おやつ感覚や軽食になってしまうのですもの。本日わたくしは食事としてカレーをいただきたかったのです。


「娘よ。カレーうどんは可能か?」

「お出汁の元が無いので不可能ですわ」


 カレーうどんのお(つゆ)は魚介出汁! 本来なら鰹出汁と言いたいのを既に譲っているのです。これ以上は譲れません!


「うどんも捨てがたいですが、やはりここは米かカレーパンのどちらかでしょう」


 兄様しつこい。


「窯がここにあったなら、私はピザも食べたい」

「父上、それは禁句です。私だって先だっての肉祭りにハンバーグが出て来なかったのに口を噤んだのですよ」

「すまない息子よ。窯さえあればローストビーフも出て来たのかと思うと……。アリサのドリアも恋しい」

「ドリア……。あれ、腹持ち良いですよね」


 二人が揃ってわたくしを見ました。

 何なのですの、この茶番。クルイウィル兄弟や他の方々の視線も煩いですわ!


「ハンバーグは無理がございますわよ。挽き肉の用意が現実的ではございませんもの」

「挽き肉か……」兄

「………それよりわたくしは拉麺が恋しいですわ」

「ラーメン!!」×父・兄

「ラーメンなら窯いらないよな!」


 兄が吠えれば、父も続きます。


「なら夕飯はラーメンだな!」

「スープの元が──」

「牛、羊、豚、鶏! アリサ、どれが良い? すぐに仕入れだ!」

「父様、スープを仕込むのに何時間かかるとお思いですの。夕飯には間に合いませんわ。どのみち麺がございません。ああ、餃子も恋しいですわね」

「ギョウザ!!」×父・兄

「お前いつも自分の手作りじゃないかギョウザも、ラーメンも!」兄

「餃子の挽き肉は如何致しますの? 更に、拉麺に使う水は特別ですの。ここ王都では手に入りませんわ」


 目に見えて二人が落ち込みました。わたくしは畳み掛けるように言葉を続けます。


「具材とて用意できませんわ。メンマとか──」

「メンマ無くてもいい」兄

「海苔」

「海苔はそんなに必要か?」父

「ナルトに長ネギ」

「ネギは……」「必要…だな……。ナルトは無くとも良いが」

「ナルトは必要ですわ。チャーシューと同じくらい」

「チャーシュー!!」

「チャーシューも用意できない具材の代表でしてよ」

「……………」×父・兄


 厳密には、チャーシューは工夫次第でそれっぽいのはここでも作れます。時間が必要なのと、この厨房が灼熱地獄になるであろう事を無視すれば。


「やはり、窯か……」

「窯なら、下の兵士用食堂の物を借りれば何とかなりませんかね?」

「しかし……アリサの自由にはならんだろう。それならばここに建造するか?」

「真冬ならともかく、こちらの厨房での窯焚きは現実的ではございませんわ。採取してきた〈お花擬き〉も死んでしまいかねません。〈お花擬き〉は、おそらく寒冷を好む半精霊であろうと思いますので」


「!?」×全員


「〈お花擬き〉の話が出たので、ついでに申し上げておきますわね。父様、今年の冬は我等が領地の南半分は厳冬になる可能性がございましてよ。山間や北側ならともかく、南は寒さに弱おうございましょう。食料は年金食糧に任せても構いませんけれど、暖を取る為の燃料は領主が備える必要がございましょう。急で申し訳ございませんけれど、間引きした木材は市場に流さずに確保願いますわ」


 父が領主のお顔に戻ります。


「〈お花擬き〉とは、そこの虫籠に入れてある花のようなあれだろう? あれの話からどうして厳冬の話に繋がる?」

「警務のおじ様方が辿り着いて居るのかどうかは分かりませんけれど、百二、三十年前の方の手記にございましたの。偽茨(にせいばら)リリンの木に季節外れの花が咲いたと。その方の手記の続きで厳冬が記録されてございます。お(かみ)に訴えて出るには根拠が弱すぎますわ。けれども領地の備えならば、こちらの心積もりでどうにかなる」

「領地の南側に特定した理由は?」

「〈お花擬き〉を見付けたのがここ王都、学園にある樹木から採取した物だからですわ。王都の上空を通る風は、我等が領地では南側上空に通じる」


 父様が大きなお口で茄子を頬張りました。ゆっくり咀嚼なさいます。


「……………ファルゴル、木材の差し止めは可能か?」

「木材の取り引きはまだ安定()()()いませんからね。余裕はありますよ」

「ならいざという時の燃料用に補充」

「南側一帯となると、些か厳しい気もしますが、ま、何とかするしかありませんね」

「先輩。いざ厳冬になっても、ハリシア領は王都に燃料の補給はかないませんので先に申し上げておきます。これで要請があったら、王家と王都はハリシアの民を見殺しにしたと見なします」

「………あんな怪しげな話でそこまで言うとは、大した信頼だな?」

「備えあれば憂いなし、だったな、アリサ」

「はい、父様。〈お花擬き〉に関しては、蟷螂(かまきり)の卵に当て嵌めれば納得できるのではないでしょうか? 蟷螂って、積雪を占う生き物ですもの」

「なるほど!!」×父・兄


 どうして蟷螂が出て来るのだという御質問には、父と兄が、蟷螂の卵は決して雪に埋もれる事は無い。不思議と雪に埋もれぬ高さに産み落とされるので、その年によって蟷螂の卵は産み落とされる位置──高さが変わる。高い場所に産み落とされた年は冬の備えをいつも以上に厳重に整えるのだと御説明申し上げましたの。その説明が分かり易かったのか、ガッツリ御納得いただけましたわ。









年金食糧の説明、後程書けたら良いな。

アリサ発案でハリシア領では色々遣っています。

もし良ければポチっとお願い(。-人-。)致しますm(_ _)m

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