50.巨大花令嬢は臭いより煩い
拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます
今回は兄ファルゴル視点
「ジオラス様はいらっしゃいませんの?」
ドラゴジラ令嬢の入室するなりの第一声がそれであった。
この一声で小さな姫の機嫌を盛大に損ねたものと思われる。勿論、皇太子妃も。
「他の殿方をわざわざ、しかも堂々と訪ねて来るだなんて、お兄様の事は諦めたのかしら?」
「王太子殿下の隣に立とうとする事も、婚約者でもなく、仕事でもないのに他の殿方を追いかけ回すなどはしたなき事。何故貴女のような御仁が城に出入口を許されているのか? 甚だ疑問ですわね」
「まあ嫌だ。わたくしは独身ですのよ。乙女として心の華やぎは必要ですわ。己の美しさ、人脈の為に。尤も、生まれた家柄しか誇れるものの無い方には難しいお話しでしたかしら?」
「ほほほほほ。最後の御言葉はそのままお返し致しますわ」
「今度歪んでいない鏡を王女の名でお贈りしましょうか? 自身を顧みる事のできるように」
「同じようにこの場に居る貴女方には言われたくありませんわ。貴女方こそ男漁りではございませんの?」
「まあ、下品」
「貴女と同列に扱われるいわれはございませんことよ」
直球の罵りあいが怖い。
既に姫と妃の前にかき氷の器は無い。一番初めに手を付けられていたので、さすがに食べ終わっていたのだ。他の面々の器──食べてる途中だった器は、花擬きもじゃもじゃが完食した。今空になった器をアリサと私ファルゴルが回収、流しに運んでいる。それも運び終えて、洗い始める。クルイウィル兄弟はカウンターの裏。流しは排水の関係か、壁際。なので物理的には邪魔にならないが、視線が煩い。やめろ。こっち見るな。そっちを向きたくなるだろう。バレたら困るのはお前達だぞ。
「──そっちこそわざわざ食べ物をたかりに来たのでしょう? 卑しいわ」
「! 調査よ!」
「アイリス」
姫の失言に妃が彼女の口の前に扇を翳されたが、言葉は聞かれてしまっただろう。こちらにも聞こえたのだから。かき氷なので香りも強くない。惚けようと思えばいくらでも惚けられたのだ。しかしいつの間に話題が変わったのだ?
「食べたんだ? 嫌ぁだ、庶民が食べるような貧しい物を食べるだなんて、信じられない。クスクスクスクス♪」
「貴女ごときが食べた事などない貴重で珍しくて美味しい物だったわ!」
「アイリス……」
「お兄様達が揃って食べに来るくらいなんだから!」
モレア妃は頭痛を堪えるようにこめかみを押さえ、ドラゴジラ嬢は口を開けて絶句した。が、もれなくドラゴジラ嬢が自分にも用意しろと騒ぎ出す。モレア妃が近衛に命じて退去させようとしたが横暴だと騒ぎが大きくなる。下手げに家柄が大きいだけに力ずくに訴える事もできない。そもそもきちんと高位貴族令嬢としての教育を受けている者ならこんな騒ぎにはならないのだが……ラ・フレシア嬢は希に出て来る問題児らしい。自分の主義主張を叫ぶだけで、他者の話をまるで聞こうとしない。
「王太子妃と王女を非難した口で、良くそんな事が言えるなぁ」
一瞬、シンと静まる。だがすぐにドラゴジラ嬢が誰に対して言っているのだと喚き出す。本当に期待を裏切らない人だ。
「君にだ、ドラゴジラ嬢」
うおー、格好良い。ここまで魔法のオジサンだ。ここまではっきりバシッと言えるってことは、やっぱり大物なんだろう。
「分かってないようだから一応教えといてやる。いくら公爵令嬢だとか言ったところで、君自身が爵位を持ってる訳じゃない。今回の事はドラゴジラ公爵に、正式に抗議させてもらう」
ドラゴジラ令嬢は捨て台詞を喚き散らしながら去って行った。
しかし、その捨て台詞の内容が妹アリサへの当て付け三昧ってのは何なのだろう?
あ……アリサの微笑みが黒い……怖い……。
フレシア嬢は何しに来ているのでしょうか?
色々感想などお聞かせ願えると助かります(^∧^)
できればソフトに(。-人-。)




