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【本編完結】とある(残念)イケメン観察…しない残念令嬢  作者: 泉ヶ森 密筑


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40.食事時に殿下方

拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます


お肉が食べたかったアリサ、渾身の手料理


 まだ擂り始めて一時間くらいですが、実は途中から魔力も使って擂り潰していたので、まあ問題無いでしょう。特別上等な出来を求めないのであれば、これでも充分ですわ。

 ………頭の中がアリサの感覚に戻ってますわね。

 平和に戻ったのならば、さっさと仕上げてしまいましょう。


 擂り鉢に葛粉と水を入れ、良く撹拌し、濾し器を通してお鍋に移します。混ぜ混ぜしながら火を通して、とろみが出たら適当な器に移します。今度は粗熱(あらねつ)を取る為に、移した器を水に浸けます。

 さて、粗熱を冷ます間にお肉を揚げてしまいましょう。

 揚げ物用鍋に油をなみなみ注ぎ……お鍋一つでは足りませんわね。もう一つ追加で、コンロに火を点けます。油が温まる迄に千切りキャベツを用意。キャベツの相手を途中で止めて、いざお肉! パチパチと独特の油の音。ちょっと時間がかかるので、キャベツに戻り、お肉を鍋から引き上げて──を繰り返していたら、結構な千切りキャベツができ上がりました。

 塩唐揚げが揚がった辺りで、胡麻豆腐の器を冷蔵庫へ。

 第二弾で、魚醤と生姜の唐揚げへ。合間合間で大量のレモンを櫛切りに。一応は王城内。食材の量だけは豊富で助かりますわぁ。

 さあ、最後に豚カツですわ! わたくしはスープの味を確認しながら揚げ物を揚げ切りました!


 いざ、実食!


「邪魔するぞ。おお、これから食事か。丁度良かったですね、兄上」

「ああ、そうだな」


 まだ実食には致れません。

 どうしてやって来た!? 王子()!?


 第二王子が皇太子殿下を連れてやって来た。




〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉




 第二王子、余計な念書を持参して、自分よりも大物まで連れて来た。


『意図した悪意でなければ、食した物に不備があっても罪には問わない』


 要約すると上記のような内容の証書を王太子との連盟で持って来やがりましたのです。脳内の言葉とておかしくもなりますわ!


「受け取れ」


 お言葉は第二王子のものですけれど、丸めた念書をわたくしに付き出しているのは護衛の(たぶん)近衛兵。

 因みに護衛は五人。半端な数からして、王太子が三人で、第二王子が二人かな? と勝手に予想。閑話休題。

 とにかくわたくし一歩下がります。受け取りたくありません。相手が半歩前に出て更にこちらに念書を押し付けようと致します。わたくしは二歩下がりました。相手はさすがに何か想われたようですが、顔色には出さずに一歩前へ。わたくしは後ろ歩きでしっかり下がり、最終的には父様の背に隠れました。さすがの護衛さんも父の後ろ迄は追いかけて来ませんでした。ほっ。


「……アリシア伯爵、おぬしが受け取れ」

「仕方がありませんな。──では、確かに」

「!?」


 信じられませんわ! 父様はお偉いさんに慣れても居られるのでしょうけれど、わたくしは下手げに近付きたくありませんのに!

 わたくしが恨みがましく睨んでいますと父様がわたくしに振り返りました。


「諦めろ」


 無情な一言をいただいてしまいましたわ。




〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉




 今度こそ、実食……ですわ。

 いえいえその前に、大切なお約束を取り付けませんと。


「おそれながら、発言をお許し願いたく」

「この場での過ぎたる礼はいらぬ。好きに発言せよ」


 お許しをくださいましたのは王太子様です。


「殿下方のお食事にあたり、どうあってもお約束いただきたく」

「何をだ?」

「お毒味必須でお願いいたしたく」


 殿下方だけでなく、付いて来た護衛騎士の皆さんにまで笑われてしまいました。いえ、声を上げて笑われたわけではございませんわよ。皆さん、「ふっ」て感じですの。わたくし、どう受け取れば良いのか戸惑いますわ。


 はあぁ。

 せっかく用意いたしましたのに、殿下方がこの場に居られる限り、わたくし達は立ったまま待機ですわ。


「くす……あい分かった。皆も席に着いてくれ」

「その前に、今お一つ!」


 わたくしは声高く言葉を挟みます。


「王太子殿下に、一つお訊ねしたき儀がございます」

「私に? 何だ?」

「ラ・フレシア・ドラゴジラ女史との御関係を」


 場が緊張を孕んで静まりかえります。


「……何故(なにゆえ)そなたが我と彼女の仲を気にかける?」

「殿下が彼女の側のお方であるならば、わたくしは例えこの首跳ねられようとも「アリサ!!」殿下方のお望みに添う事まかりかねます」


 途中で父と兄が厳しき声を挟まれましたが、わたくしは自分の意思を伝えました。お二人の殿下の目が細められます。


「おぬしは貴族の令嬢だ」

「左様にございます」

「貴族には義務がある」

「義務を背負いしは貴族ばかりではございますまい。わたくしはこの通り腹芸の一つもままならぬ娘です。故に、わたくしは馬鹿正直に人の道を貫くのみ。ラ・フレシア・ドラゴジラ女史の有り様は道理が通りませぬ。殿下が横車を押すかのごとき人間に迎合なされるような方であるなら、わたくしは一人の人間としてお諌めし、聞き届けられぬならば、罪人扱いされようともこの城を去るのみ」


 お二人の王子も護衛騎士様達も、そして警務の皆様もクルイウィル御兄弟、更にわたくしの父と兄も難しいお顔で黙り込みます。

 王太子殿下が不本意そうにただお一言。


「政治的判断だ」


 今度はわたくしの方が目を細めました。どういった理由からでしょうか。皆様が緊張した面持ちでわたくしの反応を伺っています。わたくしは首をかしげました。


「ドランツィツィ」


 わたくしが一言申しますと、二人の殿下方がピクリと反応なさりました。


「既にドラゴジラにドランツィツィは存在せず」

「どういう意味だ!!」

「………」


 わたくしの言葉に王太子殿下が鋭く答えを求められます。しかしわたくしは口を閉ざしました。ええ。絶対に口など開きません。


「答えよ! アリシア伯爵令嬢!」

「既に申し上げるべき事柄は申し上げましてございます」

「……顔色一つ変えぬか。豪胆な娘よの」


「兄上! 食事です! 我々は令嬢の作る食事を楽しみに来たのです!」


 第二王子殿下、無茶を仰る。


「さあ、皆も席に着け!」


 第二王子に呼応し、この場で一番年長者である父が座ってしまいました。皆様、警務の方々までも席に着いてしまいます。

 えー。

 わたくし、皆様から一拍遅れて座りました。


 食事に至る迄が長い、長いですわぁ。






大変なお方がやって来ました!

おあずけ、はなさそうです(o^∀^o)(*´-`)


筆の遅い作者をそれでも応援してやろう、と言うお優しい方は

ポチっとお願い(。-人-。)いたします


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