お名前は、あの悪臭のきつい巨大花ですか?
拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます
新キャラ出ます。
謎の花と言うか蟲? は全部で七輪採取した。アリサが採取係で。
「菜箸を持って来れば良かったですわぁ……」
アリサの愚痴を聞きながら、ジオラス達は彼女の採取作業を見守った。高い梯子の上での作業であったが、全く危なっかしいという事もなく、無事終了。内二輪──虫籠は一輪に対し一つなので二籠がアリサ担当の観察。残りは学園に残し、教師が観察する事になった。
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朝食を終えて、魔術師棟食堂兼厨房。
もはやアリサと〈お花君〉の昼の居場所となった感がある。だが、本日〈お花君〉ことジオラスはこの場に居ない。神殿へと向かったからだ。身体に残っている痺れを取る為に、神官に解毒及び浄化してもらうのだ。
その間アリサはこれといって何も変わる事なく、持ち帰った花のふりをした何かを観察し記録を取り、これ迄の観察記録を偽茨リリンに絞って記録の洗い出しにかかる。この時代、この国ではまだまだ高価な紙をふんだんに使用して記録を書き移す。勿論、日本語で。入学してからの記録なので多少時間がかかった。後は気温等を折れ線グラフにでも纏めようとして、それ用の紙が手元に無く断念する。時間を確認すると、お茶の時間をとうに過ぎていた。
少し早いが昼食の準備に取りかかる事とする。本日は肉祭りにすると決めている。醤油の代用品で魚醤の唐揚げ。塩唐揚げ。豚カツ。牛肉のカルパッチョ。野菜の付け合わせもカルパッチョ風。後は適当にアリサ手製のピクルスや漬物。スープは食べるスープで具沢山ミネストローネ。ミネストローネは念のために喉に優しく、蕪、大根、人参、玉葱、トマトの五種を主軸に他多少の野菜と挽き肉を合わせてクタクタになるまで煮込む。豆は今回は使わない。喉の調子が悪い時は、豆は閊えるから。
ある程度肉の仕込みが終わり、後は漬け込むだけ。揚げ物はできるだけ直前に揚げたいので冷蔵庫で待機してもらう。魔術師棟の厨房には魔道具の冷蔵庫が何台もあるのだ。全て試作品らしいが、問題無い。ふふふ。
スープは煮込みながら濃度を調節するだけとなると、良い香りが部屋中に漂う。その闖入者が現れたのは、食欲をそそる香りが食堂に満ちた頃合いであった。
「あら、クルイウィル様はいらっしゃいませんのね」
あんた誰、である。
ゾロゾロお供──侍女らしき女性二人、近衛っぽい騎士は四人も引き連れて来た黒髪フリフリフリルドレスを纏った女。きっとアリサとしての私よりは年上。だけど二十歳には届いたかどうかという年齢かな。
ちょっと脱線するけど、城に戻って来た辺りからどうも感覚が前世基準になってしまって御令嬢になりきれなかった。たぶん原因はこれ。いきなり現れたフリフリ黒髪彼女だわよ。私の感覚は未だに前世にぶれる。普段はきちんと御令嬢アリサで居てますけれど、たまに混じる。更に殆ど逆転する事もある。今が正にそれ。そして逆転した時は、大概何かがある。予想。今現れたフリフリ女はロクデナシ。うん。警戒するに越した事はない、だわよ。
(名目上は)アリサを見張っている警務官が声をかけた。
「このような場所までお出でになるとは、いかがなされましたか、フレシア様」
ああ、この女が……。
ラ・フレシア・ドラゴジラ。ゴジ○の親戚か何かかしらと言いたくなるような家名の名家のお嬢様。驚くことに、ドラゴジラ家は公爵家だったりする。
そしてもっと驚くことに、面倒臭くもアリサ達兄弟はドラゴジラの末裔と血が繋がっていたりする。何故か。アリサ達の母親の祖父がドラゴジラ家の宗主であったからだ。アリサ達から見た曾祖父の娘が侯爵家へお嫁に出て、更なる娘の母がアリシア伯爵家に嫁いで来たとなる。さすがに傍系も傍系で、しかも連続娘繋がりとなると付き合いもなくなる。言わなきゃ分からんだろうから、黙っとこう。
私がフレシアを「この女」呼ばわりするのは、軽蔑の対象だから。この女は既に正妃の居られる王太子夫妻に割って入り、自分が正妃になろうと横恋慕中なのだ。この女を題材に、劇やら小説やら一本書けるだろう、立派な悪役。
私は思う。一人の女として、人間として、何考えてんだ。恥ずかしくないのか? 社交をこなしていないアリサの耳に届くくらい酷いのだ。相当だぞ。しかも実物目にして感じたけれど、これ、噂で貶められている類いの女じゃないな。本当の恥知らずだ。きっと「恥」の概念が私達とは違うのだろうよ。
いけないいけない、冷静になろう。あれは私の知らない人。私は赤の他人。
「あなた………ちょっと貴女! そこの女!」
「え、わたくしの事でございましょうか?」
ちょっと何よ、何で私が呼ばれるのよ?
「貴女以外に女は居ないのですから、貴女に決まってますわ。頭の中身まで愚図ですわね」
本当にこの女、何なのでしょう? あの口の中一杯に野菜屑詰め込みたい。
「良い匂いが致しますわね。わたくし今日はこちらでお昼をいただきますわ」
私の眉間に力が入った。けれどフレシアの宣言を快く思っていないのは全員だ。そう、お付きの面々も了承しかねるようなのだ。それはいけない。戻りましょう……等々、説得にかかっている。ありがたい。そのま連れて帰ってくれ。
「わたくしはお腹が空きましたの。こちらで食べると言ったら食べるのです」
「おそれながら、お出しする事はできません」
「どうしてですの! 理由などどうでも良いから出しなさい!」
無茶苦茶だなこの女。いきなりヒステリーとかも止めてくれ。私は適当な理由を答える事にする。強ち嘘じゃないよ。
「こちらは予約制でございます」
なんてったって、第二王子にも出さなかった実績有りです。
「ほら、お嬢様。いきなり来ても用意できないそうですよ」
「貴女料理人でしょう! 今すぐ何か作りなさい!」
「わたくしは料理人ではございません」
「だったらどうしてそこに立っているの! 言い訳は良いわ。今すぐ何か作りなさい」
何なんだ、このヒステリー女! これで良く公爵家令嬢だとか言えるな!
私はお付きの面々へと視線を向ける。だけど駄目っぽい。あいつ等申し訳なさそうにこっち見てるだけなんだもん。
そっちがその気なら、こっちにも考えがある。
私は黙って擂り鉢を取り出し、胡麻を用意。擂り粉木で胡麻をゆっくりプチプチつぷつぷ擂り潰して行く。ええ、延々と延々と目の前で作業を続けてやります。
「いつまでやってますの!」
「擂り潰すだけで二時間から三時間はかかります」
「……擂り潰して終わりではありませんの?」
「食べられる物を作るには相応に手間隙がかかります」
スーパーで出来合い物買って来るのとは訳が違うんだよ。
「待ってられませんわ! そこに出来ているスープを寄越しなさい!」
「スープもまだ出来上がっておりませんが」
「だって、そこに……!」
「煮込みが全く足りませんが、宜しいですか? こちらは責任など取れませんが?」
「お嬢様、生煮えを食べると大変恥ずかしい結果になりますよ」
ナイスアシスト! 先程から感謝します。名も知らぬ侍女さん。
「もう宜しいですわ! これだから愚民は使えないのですわ!」
あんたどんだけ食い意地張ってんのよ?
黒髪フリフリフリル女は謎の出現を果たし、食い意地だけ臭わせて退場して行った。
大真面目に、何だったのだろう、あの女。
父と兄、そしてクルイウィル三兄弟が現れるのは間もなく。理由を聞くと、隣の休憩室という喫茶室で魔術まで使って気配を殺して聞いていたそうな。頼りにならないなあ、と一瞬は思ったが思い直した。だって奴はやって来た時、第一声でクルイウィル様居ないの? 発言かましてきてるからね。うん、隠れて正解!
悪役、今度こそ暫く生き残れ!
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