〈お花君〉は近づきたい②~その花は花でなく
拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます
今回も〈お花君〉視点。前回に続き、短めてすm(_ _)m
アリサの様子がいつもと少しだけ変わった。
いつもの観察の半ば程、モドキ茨なんちゃらの木とかいう木の下で何かを凝視して動かない。凝視しているというからには《印》を見ているのだろうとは思うのだが……。
アリサは木によっては花にも幾つか《印》を付けている。このモドキイバラなんちゃらにも。視線を追うに、やはり《印》を付けた花だ。
「何? あの花が気になるの?」
「……〈お花君〉、梯子が欲しいです。あの花を間近から観察したいですの」
「えっと……騎士訓練部には梯子は無かったかな」
「ございますわ。学園の何処かに」
「何処か……って何処?」
「〈お花君〉はあの《印》の付いた花を見ていてくださいませ。わたくしが探しに参りますわ」
「待ちなさいレディ」
警務の人間が待ったをかけて来た。今朝の警務の騎士は、一人が中年。それ以外の三人は若手。若手と言っても当然ながら学生であるジオラス達よりはしっかり上だ。二十代前半から半ばくらいの年代だろう。
ジオラスは「兄上達と同じくらいの年齢かな」とか思っている。
欲張り意見が通るとするなら、今朝はアリシア家保護者がどちらも居ないので、できればもっとアリサに近付きたい。よって離れるなどもっての他なので、警務の憎たらしい先輩達に頑張ってもらいたいのだが……。
「警務の皆様。観察の為に梯子が是非とも欲しいですの」
「では皆で探しに──」
「誰かは見張りに立たせておきたいですわ」
「花など動かぬ物の為にですか? 何も今すぐ開花する話でもないでしょう」
「今目を離すのは駄目ですわ」
「アリサは柔軟と頑固が同居してるからね。では役割分担を決めようか」
「何だね? 何か問題でも見付けたのかな?」
「先生! 梯子が欲しいですの……」
「また奇妙な要求だね。梯子が欲しいなら取りにおいで。こちらだ」
誰だっけ、あの先生?
何はともあれ、唐突に話に割って入って来た頭髪薄めの小太り爺さんに助けられたようだ。
アリサが梯子に登っている。目的の花をガン見している。そして上ったまま動かない。
「アリシア君、いったいその花の何がそんなに気になるのかな?」
「……先生! ビーカーいや駄目、蓋がてきて空気穴もあって、小さな生き物逃がさない器ってございませんかしら?」
「虫籠とかでは駄目なの?」
「それですわ! 先生大至急──」
「用意だね。待っていなさい」
「あ! ピンセットもお願いいたしますわ!」
駆け去って行く先生に追い討ち注文を付けるアリサ。
アリサ、君、少し強すぎじゃないかな……。
アリサの要望に応えて大至急虫籠とピンセットが用意された。
アリサはピンセットを受け取り目的地点まで上ると、慎重に花に手を伸ばした。慎重に慎重に花を引き抜き採取し……え……え!? 何だあれ!?
「キャー何ですのこれ!? 嫌ですわ! 気持ち悪いいいですのおぉぉ!!」
アリサがピンセットごと採取した花を放り投げる。下で待機していた先生がかろうじて虫籠で花を受け止め──
「蓋! 先生、蓋!」
アリサの声に慌てて虫籠の蓋を閉めた。小さな虫籠の中では白っぽい何かがウネウネ動いていて気持ちが悪い。
「……アリシア君、これ、何かな?」
「花でないことは確かですわね」
「君、これの観察記録、夏休みの宿題に追加ね」
「え?」
「レポートも提出するように」
「え!?」
淡々と傲岸不遜を貫くアリサのこんな反応は初めてだ。俺は宿題全然終わってないし、うん!
「アリサ、仲良く机を並べようか」
「……………」
その後アリサの笑顔を取り戻すことはできなかった。
アリサでも衝撃を受ける事ってあるんだね。
アリサと〈お花君〉を微笑ましく見守ってあげようというお優しい方は
ポチっとお願い(。-人-。)します。




