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【本編完結】とある(残念)イケメン観察…しない残念令嬢  作者: 泉ヶ森 密筑


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アリサのポンコツは右斜め↑ ②

拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます


アリサのポンコツは、所々で優しさと賢さが滲みます(o^・^o)

最近、作者の手を離れて勝手に動き出したアリサ。一人で爆走中( ;∀;)




「待て! クラーケンとは、あの海に出る怪物のことか?」

「左様にございます」


 唐突に殿下がお声を挙げられました。直前の「おまけ」に引き摺られる形で会話が進みます。殿下にお答えを示したのは父です。


「嘘を吐くな! 船を沈める巨大な脚を八本も持つ怪物を、こんな小娘が倒しただと!?」


 ちょっとわたくし引っ掛かりました。


「殿下、討伐的な受け取り方はおやめくださいまし。あくまでも漁獲ですわ。それと、クラーケンの脚は烏賊と同じく触腕を入れて十本、胴体は蛸に似てますのよ」

「イカ? タコ? いや、その前に胴体など無いだろう!」

「烏賊も蛸もクラーケンも、多くの皆様が頭部として認識している部位が胴体ですの。ついでですけれど、彼等の魔石は多くの場合、眉間の奥辺りにあるのですわ」

「訳の分からないことを……。いや、そもそも漁獲って、食すのか? 怪物だぞ。魔物だぞ」

「ただの巨大な生物です。魔核がございますので、水性魔獣と呼ぶべきでございましょうね。獣ではございませんけれど」

「あー……伯爵……そこに居る(むすめ)は正気か?」

「全て娘の経験と記録の上での発言です」

「………本当に獲って来たのか?」

「はははははははは(W)」

「父様(父上)、お気を確かに」


 いきなり笑い始めた父にわたくしも兄も驚きましたが、他の方々はビクリと反応した後、警戒し始めたり、怯えたり、凝視して固まったり。有り体に言って、ドン引きです。


「兄様。父様壊れた……警務のオッサン達泣かせる前に、父様が壊れた」

「……私も壊れたい。──父上、アリサが不安がります。戻って来てください」

「ははははははは! 生傷の絶えない令嬢が何処に居る!」

「急に戻って来ましたわね」

「アリサ……」


 兄が疲れたようにわたくしの名を呟かれました。

 それはそれとして──


「王都に出て来ている間は、生傷はこさえてませんわ、父様」

「アリサ、少し黙ろうか。お前は木から落ちたのを機に、本当にやらかし続けてるだろう」

「ファルゴル、アリサは巨木から落ちて肩を脱臼する前に、自ら掘った穴に落ちて両脚を砕いたのが始まりだ」

「砕く……って、え? それ、相当こいつが小さな頃ですよね? そんな幼子が脚を砕く程深い穴なんてどうやって掘ったんだ?」

「魔法があれば何とかなりますわ」

「どうして自分の掘った穴に自分で落ちるのか、意味不明だぞ妹よ。そもそもそこまでの穴を掘る理由が分からん」

「落ちた衝撃で、その辺りは憶えてませんの」

「理由が分からないと言うなら、巨木に登った理由も分からん。そして落ちて肩を外し、丸三日意識が戻らず……あの時はもう駄目かと思った……」


 父から急激に生気が抜けて行きました。

 父様、無性に謝りたくなって来ましたわ……。


「無事生還したかと想えば、今度はキノコどころの話でなくそこら中の植物を試食と称して食べあさり、中り散らす日々」

「父上、その辺で──」

「こうなったら洗い浚い吐き出してくれん!」

「父上──」

「でも、食べられる植物、たくさん見付けましたでしょう? 領民が飢えて死ぬ数も、怪しげな何かに中って命を落とす数も減りましてよ。父様だって春先の芹の和え物や蕨の炊き物、お好きでしょう? 冬と春の移り変わりの季節は、何気に死亡者の数が増える季節ですものね。まだ雪の残っている頃合いならば蕗の薹(ふきのとう)ですわね。他にも旬の食べ物を満遍なく摂取していれば健康に近付いて、病気をある程度なら予防もできますわ。身体が健康なら心も歪み難く、心身が整っていれば楽しく暮らして行けます。人間は貴賤の別無く食べなければ生きて行けませんのよ。どうせ食べるならば美味しく恵みをいただきたいですわ」

「妹は、こちらが一を唱えると十、時に百の言葉を返して来ます……」

「うぬ……だがな、アリサよ。こちらは寿命が縮む想いなのだ。いきなり折り合いの悪い猟師と一緒に山に入ったかと思えば大物の熊を狩り獲って来たり──」

「あの時は確か〈熊の胃〉等のお薬が欲しくて……」

「薬……ダナの為か?」

「お母様の為ばかりでもありませんわ」


 ダナ──ディアナとは父の細君で、わたくし達の母の名ですわ。


「熊の肝臓、心臓、腎臓、膵臓、あ、後は胆臓の五臓は良いお薬になりますし、効き目も強いですの。お肉はしっかりし過ぎているので良く煮込まないとなりませんけれど、保存に向いてますのよ。ですから大き目の熊なら一頭で村を一つ五十年程度は守れますわ。ああ、お肉は別の話でしてよ。──それで話は変わるのですけれど、父様がわたくしと折り合いが悪いと仰った猟師はダン爺のことかしら?」

「たぶん、な。──父上、御安心を。ダン爺達ならば、まだ幼かったこいつにコロッと籠絡され済みです。私は今でも忘れない! この馬鹿が領都から見ても更なる地方に教育を広めて歩いていた時、随分と反発を生みましたよね」

「自分自身に教育が必要という時期に何を考えているのだろうと悩んだものだよ」

「何度か護衛も兼ねて保護者として付いて行ったのですが、その時の私でも怖いと思うような強面に「領主の子供だと思ってこんな小娘に絡むな、みっともない!」と大の男達を黙らせて回ったのです。私はあの時のこの馬鹿に大いに影響を受けたと言っても過言ではありません!」

「兄様が珍しく熱く語っている……。でも兄様、兄が妹に影響を受けるって、どうなのかしら?」

「あの! 突然横からすみません……!」


 割って入って来たのは〈お花君〉です。


「影響を受ける時は、兄とか妹とか、関係無いと思います」

「……案外、普通の感覚持ってるんだな」


 兄が失礼な感想を漏らしますと、あちらのお兄様──クラウス様がジロリと兄様を睨みました。


「はあぁ……父は疲れた。暴露するならまだまだ尽きぬが、精神的にガッ! と来た。今回はここまでにしないかアリサよ?」

「はい、父様。では話を初めに──〈魔女の隠し茸〉に戻しまして、参考文書の情報提供を致しますわぁ。わたくしの行動範囲にある全ての書物、ですわ」

「あ?」


 唐突に話を振り出しに戻したので、警務のおじ様方は虚を衝かれたような反応をしておりますわ。


「子供の頃からの行動圏内、王都と領地の全ての図書館、書店、屋敷の図書室の何処かに、参考文書がある筈ですわ。最近、学園の図書室も加わりましてよ。あらあら大~変~♡」

「妹よ、学園は本当に最近だろう。学園に入る前か後かハッキリしないのか?」

「だってわたくしですもの。知識は何処まで行っても知識。知識を何時何処(いつどこ)で身に付けたか等、余程印象に残る何かがあるか、もしくは本当に最近でなければ、いちいち憶えておりませんわぁ」

「うん。そうか」

「いや、納得しないでいただきたい兄君! そんなあからさまな嫌がらせ、令状を取ってでも追及しますよ!」

「令状は難しいのと違うかな?」


 父に続いてわたくしも言って差し上げます。


「仮に令状が使えたとしても無駄ですわ。だって本当に忘れて──いえ、初めから憶えていないのですもの」

「散々、落ちたり、ぶつけまくった弊害だろうなぁ……」

「勉学には今のところ障りございません。記憶って、不思議ですわよね」






おまけ その二


「ああ、そうだった忘れてた。アリサ、これはちょっと急ぎなんだ。答えてくれれば良い」


 兄が純粋な意味で話を変えて来ました。


「領地の山裾に狼が出た」


 わたくしは目を剥きました。次いで、嬉しさに心の底から微笑みます。


「漸くそこまで森が育ったのね………」

「笑ってばかりも居られない。人里にまで入り込んでる」

「被害が出ましたの!?」

「いや、それが全く……」


 何やら兄がしみじみしません。


「……数は?」

「報告では、おそらくはぐれ狼一匹」

「人は勿論、家畜に被害は出ていませんのね?」

「私が把握している分にはゼロだ」

「畑の作物は大丈夫ですの?」

「畑? 狼は肉食だろう」

「基本は肉食ですけれど、獲物が獲れなければ野菜くらい食べますわ。尤も、苦味やえぐ味は好みませんから葉物野菜等は好みません。それに野菜よりは甘い果物を好むようですわ。ですから初夏ならベリー系、晩夏から秋なら葡萄辺りが摘まみ食いされるのではないかしら? 本格的な秋に入れば実りの季節。他にもっと酸味もえぐ味も柔らかな果物が山や森の中に生り始めますから、目撃件数は減ると思いますわ」

「ん? それだけか?」

「え? それだけです……ああ、討伐対象にしてはいけませんわよ」

「やっぱり訊いといて良かった。で、理由は?」

「その仔が人間と共存可能な賢い個体だからですわ。考えてみてくださいまし。その仔が居なくなっても、すぐ別の個体が入り込みますわ。その別の個体が人間を侮る乱暴者なら、勿論共存は不可能。最悪、全面戦争でどちらかが滅びますわ。そして多くの場合、滅ぶのは狼の群れの方でしょう。狼は生態系の頂点の一角。狼が居なくなれば森は病んで荒れて、やがて枯れ果てましてよ。それならば、賢い個体に縄張りを持ってもらい、近付き過ぎぬよう距離を取って共存を目指すべきであると考えます。ですから民人(たみびと)が狼に餌付けなどせぬよう注意喚起をお願いしますわ」

「………ほんと、訊いといて良かった。急ぎ領地に報せを出す」

「でしたら外に出ますのね。タウンハウスに戻って、わたくしの調理器具や調味料一切合切を持って来て欲しいですわ」

「いや、方向が違──」

「ファルゴル、お前は領地に急ぎ報せを出せ。アリサのお道具一式は、私が取りに行く!」

「わあ! 父様ありがとう♡ お道具と調味料が揃えば、もう少しマシなお料理が用意できましてよ!」

「任せろ!!」×二


 仲良く父と兄のお返事が重なりました。











アリサはどちらかと言うと、オタクです。

ただハマった世界が博物系列のあれこれなのです。

ですがコレクション欲は希薄。依って標本の類いは集めてません。


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