道が変わる
拙作をお選びくださりありがとう(^人^)ございます
今回は短めです
翌朝、本当にアリサは目覚め、そして父親の予言通り観測に出ると主張した。勿論周囲は反対する。だが半ば寝ぼけているアリサには言葉が正しく届かない。挙げ句に──
「兄様、抱っこ」
この一言でアリシア家長子ファルゴルがあっさり籠絡された。
だがシスコン気味の兄でも患者用お仕着せのまま外に出るのは不味いと判断できる理性は残されていたらしい。「着替えなさい」となったが、今のアリサでは簡単な衣服の着替えも大変に怪しい。かといって諦める彼女ではない。なんと、父親に着せ替えてもらって外に出たのである。
因みに、アリサの観測の為の外出許可は、父親が前日の尋問時に取り付けていた。
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〈お花君〉ことラ・ジオラス・クルイウィルは強引にアリサの観測に付いて行った。そして当然のように、ただ付いて行っただけになってしまう。彼女は──アリサは現場に辿り着くまではうつらうつらしていたのが、いざ観測となった途端シャキッとしてみせたのに、ラスには何も手助けすらできる事が無かった。アリサにぴったりくっついていたアリシア伯爵らしい中年と兄か何からしい若者は、彼女が求める前に求める何かを叶えていたのに。
そもそもラスには「これが好きだ!」と胸を張って言える何かが無い。騎士を目指したのだって、騎士に憧れての道ではない。世の女性と距離を取りたいが為の選択でしかなかった。対してアリサにはがむしゃらに向かって行きたい方向性、道、世界がある。ただただ羨ましい。眩しい程に堂々としていて凛々しく美しく見える。
俺は、どうすれば良い?
一つだけハッキリ分かる自分の気持ち。
──アリサと一緒に居たい。
ではどうすれば一緒に居られる?
……………アリサと同じ道を歩む。
だが自分のせいでアリサは世の女性達に逆恨みされるかもしれない。
──アリサを護れるように、護衛騎士も務まる助手になろう。
!
そうだ! 助手になれば良い! ついでに、その辺の護衛より強い武力を手にしてみせよう!
ラ・ジオラス・クルイウィルは、この時、恋に狂った勢いだけで将来の方向性を決めてしまった。その道は期せずしてスバダリの道へ通ずるものであった。
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帰城したアリサは「お腹が空いた」と要求を出す。速やかに用意された朝食。あっという間に空になった皿。
「足りない」
物悲しく訴えるアリサに父と兄が確保して与えたのは、魔導師棟の厨房。協力者はクルイウィル家次男クラウス。
「どうせ誰も使わない厨房ですから、お好きにどうぞ! 必要な食材は、仰ってくださればすぐに用意しますよ」
ではお言葉に甘えまして、と卵や牛乳等々を用意してもらいアリサが作ったのは、蒸しプリン。
「食べられる!」
この時までろくに飲食できなかったラスが喜び、胃袋を捕まれたとかなんとか。
因みに胃袋を捕まれたのは、その場に居たほぼ全員──クラウス、警務の人間、数人の魔導師、込み込みだったという……。
自分の道を考え、あっさり結論を出してしまった少年。
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