その頃のそれぞれ~inお城にて
拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます。
今回は各々の舞台裏、保護者側の視点でお送りしますm(_ _)m
我が主──サイラス様は忙しい。
まだお若いのに全国の上下水道を司る役所で既に役持ち。年齢と経験からまだ下の役職らしいが、手堅い出世街道を歩いているらしい。勿論ご本人は何も仰らないが。
私は従者兼護衛騎士──従者八割護衛二割──なので、仕事の手伝いもする。だから多くの時間を共に過ごしてきた。おそらく互いの家族の誰よりも、恋人よりも……。私は将来、自分の家庭を持てるのだろうか?
話が逸れた。何が言いたいかというと、その報せが入った時も共に聞いたと言いたかっただけだ。
──クルイウィル家末弟、ラ・ジオラス・クルイウィル誘拐さる
この報せはサイラス様同様部署違いの次男クラウス様にも届けられているという。
クラウス様は既に現場へ急行されたとの事。しかしサイラス様は御嫡男である為、万が一の事を考えて城での待機になる。
我が主はじっとしていられなかったのだろう。領地に居られる父君、クルイウィル現伯爵に急ぎの手紙を書いていた。
〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉
私は初め自分の耳を疑った。
──娘が事件に巻き込まれた。
城に詰めていた私に届いた報せがそれだった。
変わってはいるが、可愛い可愛い私達の娘。令嬢としてはかなりズレているが、生真面目な娘。数年前までお風呂だって一緒に入ってくれた甘えたの娘が!
何があった!?
今は騎士団も出入りする医務室に運ばれているという。
どういう事だ‼️
娘を城に連れて来たのは第三騎士団。何でも捜査に協力して魔力を使い果たしたとか。更に現時点では、実は犯人に協力していたのではないかとの疑いまでかけられているという。
ふざけてるのか!!!!
「落ち着いてください父上」
医務室まで急ぎ、辿り着いた先で息子と合流するや案内役は逃げるように去っていった。
「これが落ち着いてられるか! お前が付いていながら何たる事態だ!」
「付いてません。こちらに到着したら、既に第三騎士団がタウンハウスを訪ねて来ていたんです。で、現在あいつが疑われているのは、被害者に使用された薬の中和剤を指摘してしまったからです。でもそれだって被害者側が大騒ぎしていたから聞こえてしまった情報を元にしたのであって、我々からすれば、まあ、いつもの事です」
「………いつもの偶々か」
「はい。おそらく」
「第三者には理解し難いだろうな……」
「一応、説明だけは試みましたが、こうなりました」
「今アリサは?」
「再び眠りにつきました。ここに運ばれた直接の要因は魔力欠乏ですので、まだ眠りが足りないのでしょう。あいつは睡眠と食事で魔力を補う燃費の悪い体質ですから」
「ああ、そう言えば聞いたな。捜査に協力したとか」
「ええ。衆目の面前でかなり派手にやらかしました。魔法省勤務のクルイウィル家次男が目撃しているので言い訳はきつそうです」
「見たのか?」
「私が現場に着いた時には既にやらかし始めてました。見えていない人間の方が多いと思いますが、楽観視はできません。クルイウィル家次男はアリサの目の前。特等席でアリサの実力の一端を目撃したというのが現状です」
「頭と胃が痛い」
「私は頭と胸が重苦しいです」
息子と二人、人目も憚らず大きな溜め息を吐いた。
「アリサは今この部屋で眠っています。入りますか?」
「………いや、その前にやる事がある」
〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉
ダリアの不在が痛い。
とうとう末弟が誘拐事件の被害者になってしまった。
何とかギリギリ助けられたが、それは又してもアリシア嬢のお陰らしい。尤も今回は上の弟が意図的に彼女を巻き込んでの結果であるのだが。あの時本当に《印》を付けておいてもらって良かった。そう思うと同時に、同じくらい強く、アリシア嬢を巻き込み無理をさせた罪悪感を抱く。何とも複雑な心境だ。
アリシア嬢の父君もそろそろ医務室棟に着くという。きちんと御挨拶と謝罪をしなければ……はあ。
お父さん登場。
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