ロッカー事変発生ですわ
既に主人公の口調に苦痛を感じていますΣ(ノд<)
学園入学からかれこれひと月は経ったでありましょうか。
クラスの中でも何となく派閥が形成され終えた感のある今日この頃。
はい、皆様お察しの通り、わたくしはどの派閥にも属しておりません。別に苛められている訳ではありませんのよ。話し掛けても逃げられませんし、必要事項等は男女問わずに声掛けしてくださいますし………何でボッチなのかしら?
そのようなある朝、わたくし自分のロッカーへ向かって早足で歩いていましたの。
我らが学園には通称ロッカー通りと呼ばれる廊下がございます。昇降口から近い方が男子、奥が女子と、ロッカーが個人に割り当てられております。ロッカーには体育の授業で使う体操着や特別授業で仕様する道具、その他授業毎に辞書等を収めておけるようになっているのですわ。要は教室の机をスッキリ使えるよう、無駄な物を持ち込むなという事ですわね。特に女の子はあれこれと用意が嵩張るものですもの。この学園の心遣いは有難い限りですわ。
話を戻しまして、必然的に昇降口から自分のロッカーへ向かうには、どうしても男子のロッカーの前を通り過ぎる事になるのですわ。その際に目に入る汚ならしいロッカー。位置からして男子ですわね。男子の場合、時たま眉をひそめたくなるような状態の時も確かにございます。けれどもこれは……使用者の問題ではなさそうな……。
イタズラの可能性が濃厚と見たわたくしは近場に居るであろう教師を探し当てました。朝の点呼と予定伝達の時間──日本風に表現するとホームルームの時間の為、取り残された生徒が居ないかどうかの見回りがございますの。わたくしも何度も急げと発破をかけられ……蛇足ですわね。とにかく引き摺って来た教師に不自然なロッカーを示しました。本日の見回り担当教師のお一人、男装の麗人との名高いダリア先生にです! ダリア先生も眉を寄せ……持ち主を探す前にロッカーを開けてしまいました。現代の地球とは違い、個人情報やら所有物に対する開示条件やら、とにかく色々まだ緩いのが現状です。何よりロッカーは学園の所有物と見なされ、学生が借りているだけ、という体でもあるそうです。わたくしが勝手に開ける事へ疑問の声を挙げた為、先生が御説明くだされたのですわ。
こほん。また蛇足でしたわね。結果を申し上げますと、出てくる出てくる、ハンカチーフ、スカーフ、アクセサリー、手紙……数々数々。まるで昭和少女漫画のモテキャラの下駄箱状態ではないかしら。現実でこんな光景が見られるなんて……
「……物語でしかお目にかかれないような、ある意味貴重な現場を目撃してしまいましたわ」
「クス……君には毒気を抜かれますね。とにかく君は教室に急ぎなさい」
わたくしが不満を隠しもせず表情に出しますと、先生は仰いました。
「君はこの件に関わり無しと私は思います。しかし後程、話をお訊きする事になると思います」
「はい」
「……やけに聞き分けが宜しいですね?」
「第一発見者への事情聴取は基本ですわ。これが官権あずかりになるような事件であるならば、この場で聴取を取るべきですわね」
「……それも本の受け売りですか?」
「はい。推理小説にはお約束の鉄板です」
「鉄板の意味が分からないな……。まあ了承してくれて助かります。朝の点呼に遅れてしまいます。今は急いで教室へ戻りなさい」
「先生はこのロッカーが何方の物であるのかお分かりになりましたの?」
「それらの説明も可能であるならば後程。さ、行きなさい」
「はあい」
「返事は明瞭に!」
「はい!」
このお話しの続きは放課後ですわ。暫しお待ちあれ。
読んで下さって有り難う(^人^)