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魔獣との戦い方なんて知りません

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)

☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


第二騎士団所属、虐めっ子視点でお送り致しますm(_ _)m



 クソ! 遣ってられるか!


 とある王城騎士の一人が内心毒吐いていた。

 彼等は城の第二騎士団に所属し、本来ならこうして()の戦闘に加わる事の無い部署であるはずなのだ。

 だが地方配属の国軍は、予想される大精霊の進路上に点在する集落の守りで手一杯の状況である。それでも圧倒的に数が足りず、自然と大きな領都のみの守りとなっているのが現状。いくら国の機関とはいえ小さな集落にまで人を配置できる訳ではない。

 そこは仕方がない。

 だが城から応援として第二騎士団が出撃する必要があったのか? あるのだろうが、ここは何処なのだ? 本来なら大きな街道筋に点在している馬の為の駅を目指していたはずなのだ。だが発狂化(バーサク化)した魔獣を相手にしている間に街道をそれてしまったようだ。暗さが致命傷となった形だ。しかし小隊はまだバラバラになっていないのが救いだろう。想定以上に寒くて思うに任せて身体も動かない。普通は夜の行軍は避けるのに、何故夜になっても歩みが止まらなかったのかも分からない。何もかも不満と疑問しかない。


 何故なんだ。何なんだ。どうしてなんだ!?


 腕が重い。脚も重い。身体全体が悲鳴を上げている!

 目の端で何かが動いた気がした。咄嗟に向き合おうとするも寒さで通常より疲労が蓄積していた事もあり反応が遅れた。認識できたのは大きく開かれた口だけで、何型の魔獣であるかも分からない。


 あ、死んだ。


 防御するべきか迎撃するべきかの判断もつかず、ただただ死を自覚しただけだった。周囲も混戦で助け手が伸びてくる可能性もほぼ無い。相手の動きが緩やかに遅くなったように見えるのに、高速で頭に浮かぶのは無駄な思考ばかり。自身の身体が一番緩慢で、横から敵に喰われる形になるのだろう。


 不意に上から何かが降って来た。

 ドサリと何かが落ちる音。続いてシューシューと液体が勢い良く吹き出す音。温かいというより熱いくらいの液体が彼にかかって、魔獣の返り血であるのだと臭いで知れる。


「………は?」


 上から降って来たのは、折に触れて虐めていたハリシアの女騎士であったのだと後れ馳せながら把握した。彼女は自分達より余程軽快に敵魔獣を切り伏せて行く。いずれも一撃。上からは成獣には達しているのだろうワイバーンが彼女を助けるように共に戦っている。おそらくハリシアの魔獣部隊なのだろう。


「ケイト! 一人で先走るな!」


「一人じゃない! 相棒のマゼンダが居る!」


 後から彼女と同郷の同第二騎士団所属であるはずのガロンドが、フェニックスに似ているが違う鳥形の魔獣に騎乗したまま現れた。

 そう言えばこの二人は地上遊撃隊の中に居なかったな……。ハリシア空軍として参戦していたのか。


『ケイト、お人好しですね』


 何処からか聞こえてくる若い女の声。聞き覚えがあるような気もするが、誰の声かは彼等には判別できない。


「天使様……」

「天使様!」


 口にした単語は一緒でもケイトとガロンドでは反応の色合いが違った。ケイトは叱られた子供のような、ガロンドは鼓舞され気合いが入り直したかのような雰囲気。表情は兜(?)で分からない。


『ガロンドは引き続き上空の雑魚を蹴散らせ。ケイト、あまり地上部隊に首を突っ込むな』


 今度は若い青年の声。


「お任せを、若!」

「……離脱が難しい状況。命令、実行、不能です、若」


 即答したガロンドに対して、敵魔獣を切り伏せながらなのでケイトの回答は途切れ途切れとなっていた。この女は何なのだろう? 自分を虐めていた男を助ける為に、わざわざ危険に飛び込んで来て……俺に惚れてるのか?


『ケイト。貴女は誰を助けに入ったのか理解できていて?』


「暗くて判別できていませ──セイッ!」


『はー……援護射撃は可能か、妹?』


『わたくしの距離では命中率が下がりましてよ、しますけれど。ユーちゃん?』


『はーい、()ーね! 援護射撃するー!』


『ありがとう、ユーちゃん♡』


 気の抜ける温度での会話は是非にやめていただきたい。けれど……現状、喋る余裕が無くて良かった。いらない勘違いで発言して、危うく恥を掻くところであった。いや、余裕が無いからこそ訳の分からない勘違いをしたのだ。

 いやいやいやいや! 今はまだ戦闘のただ中だろう! 集中しろ、全集中!

 で、援護射撃とか言ってたが、近くに他の誰かが居るのか?


 声として形にはなっていなかったが、噂をすれば影。

 何処からともなく光の線が走った。魔獣の頭を貫く。光に貫かれた魔獣があっさり倒れ伏す。次から次へと幾重にも走る光線。撃ち漏らしがあるのか無いのかまでは分からないが、次々倒されていく魔獣。

 呆然とこちらの動きが止まる。ふと気付くと周囲も同じように立ち尽くしていた。


 バサリッ!


 とんでもない風圧でワイバーンが飛び立ったのだと示された。当然騎手のケイトも居ない。こちらに一言も無く行ってしまったようだ。

 いや、余計な愚痴が上空から降ってくる。


「ったく! 何で対処できない兵が地上軍として投入されてるんだ!?」


 あんまりな言い様ではないか……。こっちが聞きたい!!


『それでしたら、お城の元帥閣下の指示ですわ』


 え、何か聞きたくない話ですか?

 勘弁してくらはい。









最後の方で呂律が回っていないのは、単に喋り手の限界突破の表現です┐(´∀`)┌

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