180.王城に召集
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前半アリシア家兄弟、後半ジオラス視点でお送りいたしますm(_ _)m
次の月。別名、雪の女神と春の女神が歌う月。
王城に一台の馬車が停まった。
出迎えはアリシア家嫡男ファルゴルと、文官らしき男が一人に女性騎士が一人。
そして下車しようとしてまごついているのは──アリシア家の爆弾娘、アリサその人であった。
「………何でお前いきなり戦闘服着てんだよ?」
「兄に聞いてよ! 姉ねったら馬車の中で着替えたんだよ! 僕が居るのに!」
エスコートと言うより介助の兄ファルゴルと、同じく車中からアリサの下車を手助けしている弟ユージン。その二人の気にするアリサの衣装は、まるでライダースーツのような身体の線も露な黒一色。ただし襟元は鎖骨下まで開いている。
「文句ならお城の先触れに仰ってくださいましな。『ハリシア空軍出撃に際しての召集なり。大至急。拒否権は無い』、との内容でしたのですもの」
「姉ねったら北斗で登城しようとしたんだよ。病み上がりなのに」
「母様とこれなるユーちゃんに止められたので、仕方なくお迎えの馬車にて参りましたの」
「誉めてよね。──あ、母上は郊外の屋敷で指揮を取ってるよ」
歩きながらの報告に、兄ファルゴルは遠い目をしながらやがて頷いた。
「………うん。目覚めて早々、やっぱりアリサはアリサだな」
歩いていればもれなく城内に入る。
城には外にも内にも警護の騎士が立っている。その大多数が若者であったりするのだが──
前方に案内の文官。アリサの隣……少し斜め前にファルゴル。ほぼ真横にユージン。少し距離を置いた後方に女性騎士の団体様で歩いていた。
目的地までまだもう少しの距離でジオラスが合流する。
ジオラス、実はただいま方々の遣いっぱしりで城に居たりする。というのも、彼はアリシア家と距離が近く、且つ兄のクラウス繋がりで局長とも面識がある。いや局長どころか宰相とも何気に会話していたり。更に当の兄クラウスは現在シメサツシとの国境の関所に派遣されていて、精霊絡みの報告をアリシア家に繋ごうとするのにそれなりに便利な人材になっていた次第。
「まあ、ジオラス様! 男子三日会わざれば刮目せよ、でしたかしら? すっかり背がお高くなりましたのね」
「アリサ! 本当に目を覚ましたんだね! でもいきなり歩いて大丈夫なの?」
合流時の互いの会話だが、話している間にジオラスは気付いた。アリサの本日の衣装は、露出度が低いくせに刺激は強い。特に歩いている姿も見たが、まだまだ成長の途中にあるも男とは違う丸く可愛い臀部がプリプリ動く様はどうにもこうにも人目を引くらしい。人目とは誰か? 主に騎士達が凝視していたのだが、ファルゴルは位置的に気付いておらず、女性騎士は気付いているのかいないのか判然としない。そして弟君は、おそらく年齢故に思い至らないもよう。ジオラスはアリサを隠すように彼女の後方に立ち、歩を進めるのだった。