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175.観劇後の社交夫人

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)

☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


元日投稿が、まさかの通りすがり御婦人方



「中央劇場に王家が来てましたの、御存じ?」


「存じ上げておりますけれど、毎年の事ではございませんの?」


「けれど今年は当初の役者達が駄目になった都合で、神話の奉納ではなくなりましたのよ。それなのに──」


「三日間、きちんと通われましまわよね」


「社交の都合では?」


「けれど先程申し上げた都合で、後援の皆様もお出でになりませんのに?」


「あら、そうですわよね」


「今年のあり得ない穴を埋めたのはハリシアでございましたわよね?」


「……ええ、確かそうですわ」


「ハリシアと言えばアリシア家。何故か王都に出て来る際は“伯爵”と名乗る事が多うございますけれど、実際は──」


「王家の血を汲む力ある辺境伯。決して疎かにはできぬ《家》」


「それだけではなく、妃殿下は元々アリシア夫人と大層仲がよろしゅうございましたのよ」


「……過去形なのは、そうではなくなりましたの? もう何年も夫人が王都(こちら)に出て来ておりませんもの」


「それが今年は出て来てらっしゃるようですの」


「っえ!?」×その他


「おそらく御令嬢の件でしょうね」


「問題のある御令嬢ですの?」


「その逆ですわ。息子が学園の教員見習いとして勤めているのですけれど──」


「ケイン様ですわね。まだ学生だったケイン様に、我が家の息子が大変お世話になりまして」


「息子がお役に立てたのなら嬉しいですわ」


「うちの子でもケイン様のお陰で卒業できたのですもの。アリシア家の御令嬢もケイン様に気にかけられているという事は……あらあらどちらの意味でございましょうか? 出来が悪いのか、それとも見初められたのか?」


「穿った物の見方をしてアリシア家に目を付けられても、当家は責任を持ちませんわよ」


「では本当に神童の類いですの?」


「アリシア家御令嬢は今年の春入学だったそうなのですけれど、前期いっばいの授業だけ受けてスキップ卒業の資格を手に入れたそうですの」


「え!?」「嘘!?」「信じられない……」「本当に!?」「?!?」


「わたくしも初めに聞いた時には自分の耳を疑いましたわ。さすがに単位が足りず、現在は院生として研究室預かりになっているそうですけれど……」


「研究室預かりというと、ただ単に学業が秀でている方ではないという意味ですわね……」


「さすがはアリシア家令嬢……」


「御存じ? 最近のハリシアの新商品の数々は、その御令嬢の関わりがあるという噂がある事を」


「さすがに全てではございませんでしょう。ハリシアの商品は見直しされた物も新商品も多岐に渡りますわよ」


「わたくし、少しだけその噂を耳に致しましたわ。噂なので真偽は確約できませんけれど、商品開発だけでなく、観光や薬学にも手を出しているとか。ああ! それともう一つ、福祉方面も手厚いと聞きましたわ」


「それ、どちらからの情報ですの?」


「ですから、噂、ですわ」


「その全てに関わっていると?」


「噂、ではですけれど」


「いや、いくら何でも…ちょっと、ねえ?」


「福祉方面は先代から他に類をみない手のかけようでございましたでしょう」


「そうですわ。ただ予算府如意で実行しきれなかったそうですけれど」


「クスクスクスクス」


「………男親達の手に負えなかった物事を可能にしたというのが本当なら、その御令嬢は化物ですわ」


「まあ、いくら何でもあり得ませんわよ。ですからそのように深刻になられる必要は無いのでは?」


「もしも本当なら、我が家の嫁に欲しいですわ。おほほほほ」


「けれど、劇場で目の当たりにしたハリシアっ子の底力は本物かもしれませんことよ」


「あの、最後の?」


「ええ。王家よりもアリシア家に対する敬意が篤いとまざまざと見せ付けた最後の、あれ」


「怖いもの知らずですわよね。一つ間違えば国に対する叛意とも受け取られかねませんのに」


「けど……」


「あら!」

「サラフィー様!?」

「……サラフィー様のお声は初めて(コソぼそぼそ)」


「あんな風に領民に慕われてるの、羨ましい、です」


「………確かに」

「ちょっとだけ……」


「それに」


「え(!?)」「まさかの続投……(ポソ)」


「御令嬢と小さな御子息、可愛らしかった、です」


「え、御覧になられましたの?」

「羨ましいです」

「それで、他の方々は……?(ソワソワ)」


「辺境伯様と、夫人は、お揃い、素敵」


「まあ!」「あらっ♡」


「大きな御子息、凛々しい、洗練」


「御嫡男かしら?」

「嫡男でなければ(うち)の婿候補に……」


「お伴の侍女、護衛の騎士、みんな凄い」


「凄いとは、どのように?」

「詳しく」


「…………………………」


「御無理を申しましたわ。忘れてくださいまし」


「みんな、お洒落」


「え!? あの質実剛健のアリシア家が……? 見たかった」


「みんな、その日のお芝居に掛けた、衣装」


「まあ!!」

「ああん! 本当に!──」

「わたくしも見たかったですわ!!」











「金の卵らしい御令嬢を嫁に迎えたいわ」


「家の娘をアリシア家に嫁がせたいわね」


「至急、手の者を忍び込ませなけば」


 これ等の願い──企みとも言う──は、悉く、しかもあっさり退けられたのであった。









明けましておめでとうございますo(*⌒―⌒*)o

今年も見捨てず宜しくお願い申し上げますm(_ _)m

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