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最終日公演後半~~~最後までパクり。でもちょっと違う。

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)

☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


前半部分の配役を配置換えしました。ちょっとだから内容には障りません。原作からはたぶん遠ざかった?



 かぐや姫のおねだり叶え隊に脱落者が出た。


 まず、騎士と魔法使いの二人。


 上記の職業は(絶対ではなくとも)実力勝負の分野である。勢いのまま探索には出たものの、すぐに辿る道筋の険しさに気付いた。自分一人の問題ならば、あるいは初志を貫いたかもしれない。しかし彼等には立場もあり、部下を巻き込んでの探索であった。どちらも部下の命が危機に曝されたのを機に目が覚めた。巻き込んだのは部下達ばかりではない。家族、一族、仕事場の各方面。己一人の恋心の為にその全てを巻き添えにしてはいけない。ましてや部下達は命その物が無意味に散ってしまうかもしれない。いや、散る。


 ある意味現場──現実に最も近い職場で生きてきた()()は、ほんの少しの時間差で断念を表明した。


 上記の二人とある意味対照的な脱落者が神官だ。実質無理である、願いという名の欲望を諦めきれず、延々祈りを神と精霊に捧げ続けていた。だが当然ながら神も精霊も沈黙を以て答えとす。

 神官は現実から目を背け、ただただ祈り続けていた。




 対して残りの二人は……権力、ツテ、財力を生かして、、、偽物を用意する。

 皇子の火狐の皮衣と、商人の世界樹の枝である。


 ここで注釈を挟むと、原作の竹取物語で語られる偽物を依頼する側の腹黒さは敢えて省いた。それによりかぐや姫の我が儘ぶりが()()際立つ。


 何はともあれ皇子と商人はいきなり偽物をかぐや姫のもとへと持ち込んだ。この時点では観客にはそれが偽物であるとは分からない。元ネタを知らない観客達へ偽物を用意する裏話を隠したのだから、当然の成り行きである。

 そこであっさり見破り二つの偽物に火を放つかぐや姫。


「火狐は聖なる火を司る聖獣。世界樹は全ての精霊を支える苗床。人間の放つ火の魔法ごときで燃えるはずがない」


 あっさり偽物は燃え尽きて、二人の嘘偽りは暴かれた。

 因みにこの炎は、実際の魔術の炎。皮衣と枝、各々を乗せた式台は舞台を守る為に鉄板で用意されていた。それと観客に悟らせぬよう形を整え黒く塗り、対炎の守りの魔方陣をこっそり描いておいた物。舞台は勿論、その他も丸っと守られた。ついでに燃やされた皮衣と枝は、悪臭を放たぬよう、燃え易いよう選ばれた素材。実はどちらも植物素材であったりする。


「何故(いつわ)りを重ねてまで諦めてはくれぬのか?」


 かぐや姫の悲しげな呟きが観客に違和感を覚えさせる。「あれ? ただの我が儘姫ではないのですか?」と。




 けんもほろろに求婚者達がはね除けられた噂が(みかど)にまで届いた。

 今度は帝がかぐやに会いに来る。

 上演時間短縮を兼ねて「身分上お断りはできかねる」との理由から、これまたあっさりかぐや姫と帝はまみえる。

 異国の設定なので、演出でかぐや姫と帝の間には(粗めの)(すだれ)が掛けられてある。いや、かぐや姫は観客からもハッキリ見えぬよう簾で姿を隠している。簾は誰かが居る事は分かるのだが、顔までは分からない。更にかぐや姫は扇子で口元を隠している。実際ちょくちょく替え玉を座らせていたのだが、これは舞台裏の隠し事。お客様には関係無いのである。

 因みにこの簾、ハリシアの新しい名産品予定の品であったりする。


 話を戻して、帝とのやり取りにも替え玉を座らせた。こうなると誰が主役か分からない。閑話休題。

 扇子の裏にびっしりアンチョコを書き連ね、帝との問答が始まる。識字率の高いハリシアっ子の成せる技。

 本来ならここが見せ場。しかし貴賤の別なく楽しめる話として小難しい問答は無い。無いったら無い。ただ楽しげな会話が繰り広げられるだけである。

 そして会話の最後にかぐや姫が悲しげな様子を見せる。いや、観客からは見えない。だから大袈裟な身体の俯き加減と声音での勝負になる。

 勝負はともかく、何となく演出は伝わったもよう。

 伝わろうが伝わるまいが話は進む。


 気鬱にふさぐ時間の増えたかぐや姫。かぐや姫を拾い育てた夫婦は心配する。栄えた屋敷に勤める使用人も心配している。

 ついに話は帝に伝わり、またもや帝が押し掛けて来た。そして身分による力業で気鬱の理由を吐かせる。ここに恋人らしい駆け引きは無い。最初の会話で簡単に済ませてしまったので恋心らしき演出は双方共に無理なのである。とにかくほぼ無理矢理に


「わたくしはもうすぐ月に帰らねばならぬのです」


 この台詞をかぐや姫に吐かせねばならぬ。

 吐かせたら吐かせたで、当然観客は付いてこられない。

 しかし帝はすぐさま飲み込んだ。

 ああ、だから求婚者達をすげなく蹴散らしたのか、と。

 そのような本当は優しいかぐや姫は、私が守ろう、と。


 あいや我こそはという(つわもの)を集め、かぐや姫の屋敷を取り囲み厳重態勢を整える。

 何でいきなり帝がここまでしてくれるんだよとの突っ込みは聞かない。聞かずに済むように、はじめに「昔~々あるところに」伝わるお伽噺、との文言から劇を始めたのだ。演出も異国風を強調しているのだ。心ある観客が「なるほどね」と納得してくれれば良いのである。


 そしてクライマックス!

 いつの間にやら観客達の頭上にお迎えの天女達が隊列組んで浮いていた!


 実はこの演出こそ力業だったりする。

 天女に扮した彼女達はアリシア家が陣取る四階中央席から二組に別れ、左右に隊列組んで弧を描くように降りて行った。その際彼女達を浮かばせ移動させたのはアリシア家の当主ユナスと嫡男ファルゴル。アリシア家は強力な風の使い手が生まれやすい。ユナスとファルゴルもその一人。二人がそれぞれ左右を割り振り受け持ち彼女達を安全にかつ荘厳に空中移動させていく。そして彼女達の足元はアリシア夫人が雲に似せた光魔法で神秘性を添えつつ、彼女達の足元を守る。覗き防止の意味で。


 風魔法ではためく衣服。光魔法で神聖さが増す天女役の彼女達に、かぐや姫のお屋敷を守る兵達が矢を雨霰……とはならなかったが、射かける。


 この矢もまさか本物を射かける訳にもいかないので、こちらは裏方数人が魔法でそれらしく見せる。本来ならアリサが雨霰演出を施すはずであったのだ。しかしアリサは昏倒中。しかもこの演出、地味に見えて難しい。完全再現は諦め、結果かなり侘しい演出となった。だが観客的には充分驚きものであったらしい。

 客席が沸いた。


 兵達の攻撃は通じず、兵そのものが無力化され、かぐや姫が天女達に応じて天へと帰って行く。

 左右に別れていた天女達でかぐや姫を取り囲み、優雅に右に左に蛇行しながら客席の頭上へと練り歩く。行く着く月は四階中央。


 アリシア家とジオラスが丁寧、静かに受け入れた。








 天女役とかぐや姫役の娘達が、静かに急げと、アリシア家の詰める演出家席一杯に犇めいている。

 それが刺激になったのであろうか?

 アリサが静かに目を開いた。

 じっと天女役と彼女達を受け入れているジオラスを見詰める角度。


「……アリサ?」

「え、ねーね……!」


 気付いたのはアリシア夫人ディアナ。続いて末の弟ユージン。

 二人の声に一斉にアリサに集中する一堂の視線。


 その場に居た全員の視線の中で、アリサは瞼を静かに閉じてしまった。




 蛇足のように舞台上に神官が登場。

 彼の者はこの期に及んでしても、まだ祈りを捧げていた。

 そして──幕。




 楽屋ならぬ裏方? では──

 天女役達が「天使様が目を覚ました!」とキャイキャイ(それでも静かに)騒ぎながら階下へと走り抜けて行く。途中、すぐ下の三階席王家の護衛をしていた騎士達が一瞬身構えたが、白い乙女達が延々駆け降りて行くだけ。彼等は呆気にとられながら見送るだけ。


 この後間もなく舞台に戻った彼女達を含め、役者も裏方も舞台上に上がる。大道具も取り払い、本当に全員が舞台の上に集まって居た。

 ハリシアっ子達は、この三日間のお付き合いに感謝を述べ、王家をことほぎ、そして最後にアリシアに対して一斉に膝を付き、あるいは騎士のように胸に手を当てて頭を下げた。ともすれば王家に対する態度より敬意が見てとれる。

 そしてこの段になって観客達は漸く気付く。前日公演のクズ男イワン役が、かぐや姫であった事実に。


 さて、ハリシアっ子はアリシア家大好きっ子──を、まざまざと見せ付けた最終日であったとさ。








ちょっぴし手直ししました(_ _)人

書き忘れていた一文もあり、加えました(; ̄ー ̄A

拙いままですが、少しは読みやすくなったと思いますm(_ _)m

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