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幕間の頃の友人未満

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)

☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


執筆中に機械の調子が……Σ(ノд<)

途中から少し読み難くなると思います(-人-;)



 アリシア伯爵令嬢が──正確には辺境伯令嬢が教室に姿を現さなくなった。

 私は知っている。

 彼女はスキップに成功したのだ。

 だからもうこの教室で共に机を並べる事はない。

 心無い者達は彼女を蔑む。いつも一人であると。それに堪えられず退学したのだろうと。そのような口さがない者達は彼女が伯爵令嬢であると信じている。彼女の美しい所作にも、彼女の真の実力にも気付いていないのだろう。


 まず辺境伯は伯爵位とは違う。公爵と侯爵の間くらいの高位にある。しかも有事の際には王家に並ぶ強権を奮う資格を許されており、国を守っている。


 だがアリシア家は学園入学の際、本来なら罪に問われるというのに何故か〈伯爵家〉と名乗るようになっていた。私の両親も理由やその時期を知らない事から、この件はそこそこ古い話であるとは推測できる。故に本当に伯爵位に落とされたと思い込んでいる〈家〉もあると聞く。

 だがアリシア家は、くせ者揃いで有名らしい。

 かくいうアリサ嬢も一筋縄ではいかない()()がする。

 成績は、中間くらいであったと記憶している。しかしスキップに成功しているとなると、真の実力は上位である可能性が高い。


 彼女はいつも一人だ。しかし孤独を感じさせない。いつも颯爽と歩き、凛とした立ち姿、そのくせ飄々ともしている。だが要所要所での仕草はそそとして淑やかでもある。何とも不思議な御令嬢で、一言での表現は不可能だ。

 図書館が自分の居場所であると思っている私との遭遇率は高い。彼女も相当な読書家であるようだ。

 昼も一人で食べているようだが、食堂を利用していたのは、入学から一週間──間違っても十日程度だったような気がする。彼女を探して裏庭や屋上やら歩き回った事もあるが、最終的に見付けたのは校舎の前庭。よりにもよって職員室が良く見えるベンチであったのに気付いた時は御一緒できそうにないなと諦めたものだ。


 彼女に会えないのは寂しい。

 恋愛感情という意味ではなく憧れの淑女であるアリサ嬢。私もあんな女性になりたい。

 彼女はいつも良い香りを纏わせている。その都度違う香りだが、いつも食欲を刺激する良い香りなのだ。何気に記憶に残っているのは珈琲の香りだ。フリングホーニでは高級品に数えられる珈琲の香り。私も一度飲んだ事があるが、今の私には苦くて大人の味だと思った。大人になれば美味しく感じられる日が来るのだろうか? いや、自分の感想は今はよい。私と同じ年の彼女が既に珈琲を嗜んでいるらしい衝撃。もしや本当の女であれば私も珈琲を美味しいと感じたのだろうか?


 そう、私の肉体は男なのだ。

 心は女であるのに……。

 家族は私に男らしくなれと言う。自分達だって肉体派ではないくせに。

 知人は居ても友人は居ない。私の仕草が所々でしおらしくなると口を揃えて「おかしい」と言う。なのに──

 彼女は、アリサ嬢は私を否定しなかった。はじめから興味が無くてどうでもよい、というのでもない。彼女ははっきりと私を肯定してくれたのだ。


「あら、産まれて来る肉体を間違えてしまったのですわね」


 あっさりそのように言って。


「でも、女の身体より便利だなと思える場面もございましょう? その逆もございましょうけれど。特に身長! わたくしあなたの長身が羨ましいですわ!」


 何とも彼女は呑気で穏やかだった。上記の会話を機に友人になれるのでは? と期待していたのだが、怖じ気付いて話し掛けられずに居る内に彼女はこの教室から早々に旅立ってしまった。

 彼女はまだ学園に在籍しているらしいが、また会えるだろうか?

 また会いたい……。



今回の語り部は、初めは女の子設定でした。

しかし書いている内に男の子もありかな、と。

最終的にこのような形になりましたm(_ _)m

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