最終日公演~~~前半
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演目は日本昔話より、アリサのスパイスを利かせて
プレ公演最終日
演目は『竹取物語』改め『聖竹花』
まず、題名になっている〈聖竹花〉とは竹に似た薬草である。地球には無い。本物の花は九十年に一度しか咲かないが、偽花は毎年のように付ける。その偽花が薬草として扱われるのだ。竹に似ているので背が高く且つしなる。採取は危険で難しい。当然専門職が居る。ついでに〈聖竹花〉は縁起の良い植物として愛され、薬草部位以外も採取される事もある。
上記の理由からアリサは『竹取の翁』を薬草採取の初老の男に置き換えた。ついでに役者は裏方の(初日とは別の)男性。所々で男性を起用するのが、日本の宝塚劇○とは違う所だ。あとの配役は全て女性。かぐや姫にお題を出されてお使いに旅立つ恋人候補役も全て女性。最後にかぐや姫のお屋敷を取り囲み警護するのも全て女性。
因みに四谷怪談で〈伊右衛門〉改め〈イワン〉を勤めた女性は、別の役で出ずっぱりである。二役こなすのは大変だが、アリサが押し切った配役なのだ。〈伊右衛門〉改め〈イワン〉役があまりにクズなので、後々嫌がらせ等を受けない為に最終日にモテ役を当てた。
ついでに衣装や背後の設えは純和風平安寄りにした。これは異国のお伽噺を芝居にしたという印象を強く観客に訴える為の工夫だ。これで大概の不思議筋書きを受け入れさせる企みである。
さて、序盤は竹取ならぬ薬草採取から始まる。
『昔々あるところに……』のお約束文言から始めた。
日本人にはお馴染みの、光り輝く竹から生まれる玉のようなかぐや姫の誕生だ。こればかりは子役を宛てている。子役は王都への観光気分でルンルン言いながら付いて来たハリシアっ子だ。可愛らしい少女達を四人も使ってすくすくあっという間に育つ様を演出している。
そして元祖竹取物語では竹から黄金が出てくる内容を、採取した偽花が黄金だったという内容に変えた。
とにかくみるみるお金持ちになり、あっという間に成長したかぐや姫の美しさも方々へ広がり、呼んでもいないのに求婚者がやって来た。ここまではかなりの駆け足で進めた。
さて、問題のしつこい求婚者達。彼等に突き付けるかぐや姫の無茶振り。現在のフリングホーニでは考えられない。お伽噺でなければ「かぐや姫、お前何様だよ」悪女か毒婦かと言われる案件である。
それでも物語はサクサク進む。原作とほぼ変わらず進む。
求婚者は──
皇子(政治家代表)、神官(宗教代表。フリングホーニでは恋愛も結婚もあり)、騎士(武力代表)、魔法使い(有識者代表)、商人(経済代表)の五人。
お気付きになった方も居られるやもしれぬが、求婚者達に名前は付けていない。そればかりか日本ではあり得ない魔法使いまで出している。これは観客に求婚者を受け入れ易く特徴付ける工夫だ。
出されたお題も──
神官へ出題
石の仏の鉢を天竺から持ってこいを、
──土の大精霊眷属の岩の精霊の子、石の精霊を連れてきて
──に変更。 実はこれ、かなりヤバい案件である。精霊に喧嘩を売っているようなものなのだ。普通の人間にはまず実現不可能だし、できたとしても実行しないでくれ案件の代表格でもあろう。国が沈む無茶振りなのだ。
皇子への出題
唐の火鼠の皮衣が欲しい、を
──海を渡った大陸の火狐の皮衣が欲しい
──に変更。因みに上記の火狐は本当に別の大陸に居たりする。しかし聖なる存在として、フリングホーニでいう聖獣扱いだったりするので、これもヤバい案件である。別大陸その物への宣戦布告にしかならない。
騎士への出題
竜の首の五色の珠、を
──ほぼそのまま、ドラゴンの持つ玉虫色の珠を所望する
──に変更。かぐや姫は「ドラゴン」としか言わず、そもそもどのドラゴンかが分からない。普通の魔獣か(それでも死亡案件)、半精霊のドラゴンか。因みにフリングホーニやシメサツシの守護精霊はこの半精霊であったりする。でもってどちらのドラゴンも気に入った存在、愛する対象に執着し死守しようとする習性がある。そこからドラゴンは金銀財宝を溜め込んでいる的な俗信が生まれたのだ。お気付きだろうか。このお題、たとえ相手を特定できたとしても死亡確定案件なのだ。
商人への出題
東の海にある蓬莱山の玉の枝が見たい、を
──精霊界にあるという世界樹の枝を手に取りたい
──に変更。これ、ここまでで一番平安であるようで、そうではない。世界樹は精霊界にしかないのだ。そして人間は精霊界には行けない。ならば精霊に依頼して採取して来てもらうしかないのだが、これは人間ならば自分よりも大切な相手の心臓をえぐり出してこい、というのに等しい。つまり、絶望案件である。
魔法使いへの出題
燕の持つ子安貝を取ってきて、を
──火の鳥の番のそれぞれ胸にあるという、雌雄で一対になる貝殻羽をちょうだい
──に変更。火の鳥は謂わば鳳凰もしくはフェニックスである。これまた別大陸の聖なる半精霊。しかも夫婦円満のみならず、復活、永遠の象徴。別大陸に喧嘩を売るどころではない。
全部纏めて「……………ぅおーい!?」と叫びか悲鳴を挙げたい案件ばかりなのだ。
実際、観客席からは「えー……?」という反応が返って来た。
日本昔話ではなかなか乙女心を擽る噺もフリングホーニ風…というよりアリサ演出になると嫌み節が利いててキツい。
この後、一旦閉幕。
休憩時間を挟んで物語の後半へ進む。
幕末に別の話を挟むか、
それとも素直に後半に向かうか……?
自転車操業である為、迷う( ̄~ ̄;)