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裏話~相談しよう。そうしよう。

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)

☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ




 思いの外、地味に被害が大きい。

 否。

 予めアリサはじめアリシア家に予想される被害の警告は受けていた為、全くの無手ではない。まず心構えが違う。その点は不幸中の幸いであっただろう。


 まず農作物への被害は、警告を受ける迄もなく国でも真っ先に考えた。が、農作物は工場で作る工業物のようにはいかない。どちらかと言うと自然物に近い。結果論として、収穫できるものは収穫する。これに尽きる。


 次に、医療の問題。

 急激な気温の変化に付いて行けない人間は居る。それも大多数。多くの人間が体調を崩すだろう。問題は、その中に医療関係者も含まれているという点だ。彼等とて人間だ。それもどちらかというと普段から激務。一人の医療従事者が倒れれば、波及する影響はいかほどになるか。また倒れた人間の業務によっても答えは変わってくる。………医者の不養生とは言うが、どうか自分達を労ってほしい。切にそう願う。アリサ及びアリシア家に予め忠告されていなかったら、医療従事者とて倒れる点はスポッと見落としていただろう。本当にありがたい警告であった。


 更に、自然界が枯れる可能性。これもアリサ及びアリシア家の面々からの警告である。特にアリサは、人間大量死の問題よりも深刻であると豪語していた。はじめはアリサを危険思想の持ち主かと疑ったりもした。しかし違うのだ。

 まず秋が短いだろう予告も受けていた。尤も現実にはアリサが(結果的に)殺されかけた事実により、更に一段階すっ飛ばして秋その物が失くなってしまった形である。何はともあれ、短い秋でも事は深刻であるとの予測であった。

 曰く、草木に大打撃だろうとの予測。種類によっては実りが間に合わず、次世代へ代を繋げない種類も出て来る可能性。実りとは種だ。その実りが間に合わなければ、当然種は落ちない。種類によっては種でしか次世代へ繋ぐ手立てを持たぬ種もある。つまり、絶滅種が出る可能性だ。おそらく、一般に雑草と呼ばれる草が大量に失われる。実はこれはかなり深刻であるのだ。多くの昆虫、鳥、獣、その他の生き物の餌であり、生息地であり、卵を託したり巣の材料になったり、とにかく大元、土台であるからだ。人間にとっては名も知らぬ雑草。しかし持ちつ持たれつの自然界では、一つの種が絶えるというのは大事なのである。雑草の種類が減れば、まず土の質が変わるだろう予測が一つ。

 秋が短く(実際には失われて)冬が来れば、かなり早く雪が降る。現実に、既に(みぞれ)交じりの雨が降った。すると落葉の間に合わなかった広葉樹が大量に出る。その場合、葉に雪が積もり重くなり、枝が折れる。樹木に細菌が入ったり、単純に負担がかかったりで広葉樹が枯れる可能性が高い。そうなると森の構成が変わる。森というのは実に絶妙な割合で、様々な種によって《森》として成り立っている。それが崩れるのだ。そうすると土が変わる。獣の餌が不足する。森を肥やす落ち葉が失くなる。(北の針葉樹の森以外は針葉樹の落ち葉だけでは圧倒的に量、質、共に足りない。)菌類や昆虫等の小さな生物から生息種が変わってくる。更に土が変わる事により、霜にも弱くなる。結果、残されていた草木も枯れる。森に住まいしあらゆる命が行き場を失う。

 森は水瓶だ。そして土を抱え込む土塀だ。まず、森が痩せれば川に流れ込む栄養が不足する。ついでに土が川に流れ込み、海にまで流れて川や海を汚す。栄養の不足と汚染で、これまた水辺の生物が生息困難となる。

 結果、大量絶滅、自然破壊へと繋がる……可能性。人間に見え易いところだと、熊や狼、その他の魔獣から消えていくだろう。彼等は食物連鎖の頂点だ。人間にとって危険であるとの理由から忌避して消滅を願ってはいけない。彼等が消えれば、補食される側の生物が溢れる。大抵は草食生物だ。草食生物が増え過ぎると、僅かに残された緑を喰らい尽くす。そして森は消滅し、荒野か砂漠が広がる土地となる。




 アリサにここまで説明を受けていたアリシア家(当主ユナスと嫡男ファルゴル)から教えを受けた国の首脳部は戦慄した。

 まず第一段階で森のあらゆる生物が溢れ、周辺の村や町が危険に晒される。

 第二に、街道を行く旅人をも危険に晒され、人の行き来が失くなる。

 第三で、人に危害を加えていた何らかの生物まで絶え、草食か雑食の小さな生物が溢れる。代表は鼠だ。それら小さな生物は病気を運んだり、人間の物資を害したり、ろくな事にはならない。因みに第三段階予測はアリサ発信予測である。

 実際にはこの一から三まで入り乱れた状態で問題が表面化するだろうとのこと。

 一言で言うなら、勘弁してほしい。


 アリサ発信の提案は、ただひたすらに草木の保護だ。

 ありがたい事に王都周辺の草木(雑草まで含めて)はアリサがサンプルとして採取しているという。王都郊外のアリシア家にはアリサの建てた温室があり、野菜、果物、雑草に樹木の苗と、様々栽培されているという。アリサ、既に植物学者か、な件。

 とは言うものの、アリシア家だけに頼るなと、国や各地領主に檄が飛んだ。

 可能な限りのあらゆる植物の保護と保存。動ける生物は植物さえ生き残れば、結構何とか生きてくれるものだ。というか、今回のように全体的な環境問題である場合、全ての生物の保護は無理難題である。不可能と言い換えても良い。故に、特別に絶滅が見えている生物以外は植物優先での保護にせよとの指示。最悪でも種は確保せよとのこと。


 真面目な役人、主に下っぱはジオラスのように樹木の葉に付いた雪を払い、種を採取できる物は採取し、難しい物は周辺の土ごと採取して植木鉢に移す。それはそれは地道で何気に辛い作業に忙殺されるのであった。




 役人上層部は頭を悩ませ続けている。

 人手が足りない。

 薬も足りなくなるだろう。

 お金も暫く不足するだろう。

 その前に、食料問題が浮上したならば、国庫を開けよう。何も国庫は宝物だけを貯蔵しているのではない。

 そうだ、燃料や服飾関係でも問題が出るだろう。

 それら丸っと苦難のハリシアを乗り切ったアリシア家に相談しよう。

 そうしよう。




 相談を受けたアリシア家は、先頃のスタンピードで手に入れた大量の火の魔石を供出した。損して得取れ。通常の半値でハリシアの名で国中にばら撒き、王家のみならず()その物に恩を売った形と相成ったのである。









作者、事故りましたΣ(ノд<)

縫いました(T0T)

身体の問題で、もしかしたら不定期に戻るかもしれませんm(_ _)m

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