あの人は今どうしてる?
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お久しぶりですサイラスお兄ちゃん( ・∀・)ノ
最近めっきり忘れ去られているだろうクルイウィル家嫡男サイラス・クオン・クルイウィル氏とその従者サイフォン氏は、現在物理的に王都を留守にしていた。
では何処に居て何をしていたのか?
ザーンネン領にて、被災復興の為の骨子に関わる一員として派遣されていたのだ。
当然彼の担当は水──上下水道に関わる設計である。実際の設計、人足はじめ現場を任せる監督、物質調達を任せる人間、諸々の経費を預かる経理を任せられる財務への要請……その他諸々。それらの一応の総責任者で人員の差配がサイラスの役目であるのだ。
勿論更なる上役は居る。今日も上役は王都で机の前に座って書類を裁いている事だろう。だが被災現場の水部門総責任者という大役は、サイラスの年齢では微妙に抜擢ではなかろうか。上下水道整備でだいたい御一緒になる土木管理の総責任者は四十代だ。そしてサイラスは二十代後半。正直、荷が重い。だが年齢を言い訳に投げ出すつもりは無い。《水》はクルイウィル家の管轄という自負がある。このお役目は誰にも渡さない。
さて、被災現場では道路の管理が物を言う。
この国にて道路の管理は国道運輸省(下部組織で道路その物の管轄と運輸の管轄とに別れる)の担当だ。各領地や外国に繋がる大きな街道は国が直接管理している。しかし各領地の各市町村への道となると、領地の領主の責任だ。そして今回の被災地ザーンネンのサビル山は土砂崩れがそのまま放置。ネビル河に大量の土砂が流れ続けていた。因って、サイラス達が現場に入るのも一苦労という有り様。サイラス達は国へ一報を入れ、査察が入り、領主には領地の管理責任能力無しの通達を出して、被災地復興へ向けて領主から一時的にせよ権利を剥奪した。その最たる被害先の一つが国道運輸だろう。当初は予定されていなかったのに急遽派遣されて来たのだ。サイラス達も急な話で派遣されて来たのだが、後続組はサイラス達の比ではない晴天の霹靂状態であっただろう。同情物だ。
同情の先に一人の見知った顔があった。
クルイウィル家当主、サイラスの父親だ。
彼は河川湖沼等の管轄する水資源省の勤めだ。水産庁とは違う。主に淡水関連の把握管理を司り、護岸や灌漑も担当する。だが、父はもう少し上の役職で現場に出て来るような人間ではなかったはずだが。
国から派遣されて来た責任者達が合流して打ち合わせを繰り返す内に理由がはっきりした。ネビル河の被災規模が大き過ぎたのだ。土木管理の土の家系と協力してネビル河を何とかしたいらしい。
残念ながらサイラスに手伝える事は無い。サイラス達の受け持ちはもっと上流──山から麓にかけてだ。そちらの土砂を処理するのは土木管理が中心となって国道運輸が共に動き、サイラス本人は添え木のような形になる。それでも現場を離れられないのは、山という土地柄水問題も付き物なので、鉄砲水が出たりしないように守りの役割が大きい。
サイラスは土砂処理を進めながら、同時に排水の為の下水道も整えていく。上水道の役割は、サイラスはじめ部下達で何とかしている。何とかできる。だから下水道を優先して整備している。水質浄化はまた違った才能とコツがいるので、サイラスでも実行は難しいからだ。
「そう言えば水質浄化はお祖父様の得意分野だったな」
その祖父は父に〈家〉の管理を丸投げされて、現在楽隠居を返上中らしい。
祖父にしてみれば、とんだ飛び火だろう。まあ、漸く休眠から目覚めたらしいダリヤが居るから心配は無いと思うが。
本当に同情する。
世界観に少し膨らみと現実感を持たせようと思った回。
決してネタ切れの苦肉の策ではない。断じてないヾ(・д・`;)
お兄ちゃん思い出したよ(゜ロ゜; という方は
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