宰相の悩ましい徒然草
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今回は宰相の解説回m(_ _)m
問題を起こした令嬢達に関しては、その日の内にトントン拍子に決着が着いた。
やらかしが大木の放火であったので、それなりに大きな騒ぎとなり証言者も揃っていたのが助かった。当然令嬢達は放火の瞬間は見ていないだろうと(後から)白を切ったが、もはや馴染みとなるアリサ嬢の音声記録により令嬢達の言い分は崩された。
因って、残るは処罰だけである。朝一で報告を入れてくれた暗部とアリサに感謝である。
ドラゴジラ家に関しては、今は考えないものとする。ドランツィツィを除けば、薄情なようだが〈家〉の中の問題に過ぎない。アリシア家に匹敵する〈家〉の消滅、しかも公爵家が失くなるのは正直避けたい。外交、内政、共に大打撃だ。しかし骨子であるドランツィツィが出て来る可能性が一切失くなってしまっているのであれば、無理に残す方が害が大きくなるのは目に見えている。現ドラゴジラ当主は婿取りする気は無い。無いから〈家〉を閉じる話を出したのだ。非公式ではあるが、公の場で。
アリサ嬢の言を信じるならば、ドラゴジラ令嬢はドラゴジラの血を引いていない。どうやら現当主ロナルドはそれに気付いている。ロナルドには兄弟が居なかったな。普通なら近しい親戚から優秀な男児を養子に迎えるものだが……ドラゴジラはドランツィツィあっての公爵家。されど、そのドランツィツィが出てこない〈家〉となった。既に公爵家としての──ドラゴジラ公爵家の条件は満たしていない。ならば降爵するしかない。しかし降爵させたくとも何の瑕疵も無い〈家〉に対しては無理な処置。ああ、だから〈家〉を閉めるという話になるのか。
………結局つらつら考えてしまったな。
ドランツィツィに関して、アリサ嬢が去り際に言い残していった一言、彼女の母親たるアリシア夫人と話し合えという言葉が気になる。だが夫人はもう何年も王都には近付かない。招致するにしても時間がかかるし、最悪アリシア家その物を敵に回し兼ねない危ない橋は回避したいのが素直な心情だ。
さて、問題なのは、シメサツシの文化的、信仰的な侵攻。
思っていたより、貴族の中堅層で侵食が進んでいる。
新親シメサツシ派。
こいつ等は、自業自得で自国を食い潰した聖女派を“清貧”と見なし崇める向きがある。尊き精霊を磨り潰して来た馬鹿共を。
そいつ等が今、アリサ嬢に絡んで来ている。もしくは、精霊の産まれる場所とされる《帰らずの森》を擁するハリシアその物が狙いか?
思えば、元宰相補佐官であったサセク補佐官は実家が新親シメサツシのきらいがあった。何故あそこまでアリサ嬢を執拗に“悪”として現実を見なかったのか、信仰の延長線と捉えれば納得もできる。つまり、理屈ではないのだ。アリサ嬢は奴にとっての生け贄的存在であったが為に、“善”であってはならなかったのだろう。その割にユナスには一目置いていたのが不思議だが。ああ、そう言えば、シメサツシは極端に女性を低く見る文化に変わり果ててしまっているという。なんでも当主か某かの責任者(当然男)の許可がなければ本の一冊も読めないのだとか。それが故のアリサ嬢蔑視で、父親たる実力者へは敬意を示す形なのか? ……度しがたいな。理解に苦しむ。
ただ一つ救いなのは、シメサツシと違って下位貴族から平民、そして高位貴族はどうやら無事であるらしい。まだ確認の途中だが、警戒は薄くしても良さそうだ。
高位貴族は教育が行き届いている為に、平民は何らかの現場に近付く程に精霊の恩寵を実感し易い環境にある。そして下位貴族は平民に色々な意味で近い。だが貴族の中堅層は、良くも悪くも“遠い”。現実の現場から遠く、責任も高位貴族よりは軽くなりがち。そして特権も義務も中間。……確か貴族の中堅層とは言っても、アリサ嬢と同世代の未成年最後の世代は女性に聖女信仰が広がっているのだったな……。原因はドラゴジラ令嬢か……。翻って親世代は男達が多い。こちらは明らかに今は亡きドラゴジラ夫人の影響だろう。
何かにつけてドラゴジラだな。
いや、そうとも言い切れない。汚染されている二つの年代層の殆どは惑わされてなぞいないのだから。
何はともあれ、これ以上は精神汚染が広がらないよう気を付けてなければ。
しかしシメサツシは平民がどうあっても“聖女信仰”から離れないというのはどういう事だろう?
平民の方が現場に近い──というか現場のただ中にあるというのに何故精霊を疎かにするのか? ……………失念していた。もう実感できるだけの精霊が残されていないのだ。それでは精霊に対する敬いの心は育たないだろう。
宰相は気付かなかった。
精霊に対する敬いの心は“育たない”のではなく、そもそも芽生えないのだ。とっくに精霊達が居なくなってしまったから。
それでもレイナの功績により、シメサツシでも精霊殺しが行えなくなった。それからは彼の地にも徐々に精霊が居るところには居る状態とはなりつつあるのだが、当然シメサツシにある精霊は人間を忌避して力なぞ貸してはくれない。寧ろともすれば人間は痛い目に遭う。
更にシメサツシは酷い教育格差が蔓延している。その中でも子供を産み育てる女達が心身共に貧した。貧すれば鈍す。子供は女一人で育てる訳ではない。それは綺麗事だ。女は子供がこの世に出て来る前から子供を育てているのだ。どうしても父親より子供の根幹に深く関わる現実がある。ついでに殆どの父親は外に逃げる男が多い。するとやはり母親の方が子供に与える影響は大きいだろう。するとどうなるか。それが今のシメサツシなのだろう。
現在のシメサツシは、大地その物が枯れ果てていた。
活動報告にも書きましたが、
愛車がポシャりました・゜・( ノД`)・゜・
不幸中の幸いで、修理でなんとかなりました(*´-`)
少しずつ調子を戻して行こうと思いますm(_ _)m