お見合いへの誘惑
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そろそろネタが尽きる……(;´゜д゜)ゞ
「お見合い……との事ですが、わたくしに仰っておられますの?」
「然用。未だ何者でもないクルイウィル家の三男では不安であろう」
ここでアリサは宰相の言葉を理解していないように首を傾げたのだが、生憎とドアの外に立つ見張り達には肯定の無言のように伝わった。
「将来の伴侶として私が紹介できるのは、今この場に居る近衛見習い達と、私の仕事の補佐官の中から選ぶ形になる」
「………わたくしには婚約者がおりますの」
「君を守るには力不足が否めんだろう。だが今紹介した者達は権力の中枢に近い者ばかりだ。彼自身の力で用意できないドレスや宝石とて贈るも可能。毎日退屈な観測に奔走する必要もなくなるぞい」
見張りの者達がピクリと緊張を強めた。しかし見張り達と共に立っていた者には見張り達の反応しか把握できない。目の前の現象には気付いたが、その理由には首を傾げるばかりであるのが現状。
不意に少女の朗らかな笑い声が聞こえて来た。少女にとっては良い申し出であったという事であろうか? しかし見張り達の緊張は高まっていく。いや、むしろ怯えているようにも見えるのは見張りと共に立つ者の気のせいか。
「あら、まあ! お髭のオジ様ったら嫌ですわぁ。御冗談が過ぎましてよ」
「一応私は上位の役職にある。立場からも、身分からも、提案するに吝かではない」
室内はピリピリを通り越してビリビリ緊張感が高まって行く。先程迄賑やかだった愉し気な食事の音もいつの間にか消え失せていた。
「わたくしの婚約者様は、とても有望ですの」
「今、ここに居る者達の前で大見得を切っても宜しいのですかな?」
「お仕事、という意味でも未来への期待値は無限大でしてよ。だってそれが、まだ何者でもない若者の特権でございましょう?」
「ほっほ。もはやそのような世迷い言に逃げられるような年齢でもない。彼は家を継ぐ可能性の無い〈ラ〉から始まる名前の持ち主」
「可能性だけならばゼロではございませんことよ。尤も、わたくしとしましては家を継がない彼だからこそ婚約のお話に応じたようなものですけれど」
「………それがどなような意味か分かっての上での発言ですかな?」
「わたくしは市井に下る覚悟を決めた娘ですのよ。むしろわたくしの方が彼に相応しくないと言われる未来が来ますでしょうね」
「アリサ嬢や、貴女は辺境伯の娘じゃ」
宰相の口調が完全に崩れた。
「普段は伯爵令嬢で通しておりますけれどね」
「そうであったとしても、相手を選べる立場じゃ。力無き若造に拘る理由は無い」
「理由? 理由ならございましてよ」
「ほう?」
「まず何よりも、既に婚約を結んでいるからですわ。わたくし、ホイホイ相手を裏切るような尻軽ではございませんの」
「いや、だからそこは然るべくユナスに話を通してだな、その……」
「筋が通らない事に変わりございませんわね」
「……筋は通らん。だがの……」
「第二に、彼はわたくしを大層甘やかしてくださいますの」
「大人の溺愛はあんなものではない!」
「彼は、自分の価値観をわたくしに押し付けずに、わたくしの大事と思う心を尊重してくださいましたの。きっとこれからも変わらずわたくし達を尊重してくださいますわ。
お髭のオジ様が軽く見なされた観測も、わたくしに代わって続けてくださいました。わたくしにとっては宝石より、ドレスより大切な事だと、彼はわたくしを馬鹿にせず認めてくださったのだと理解致しております」
「む!?」
「その程度の事が、と仰せになりたそうなお顔でございますわね」
「……うむ。だが実質、小僧の力不足は否めん。婚約という事は、いずれは婚姻するという事じゃの。だが小僧ではアリサ嬢を養えまいよ」
「わたくし、限りなく自給自足に近い暮らしを目指してますの」
「ほあ!?」
「一応、現金収入の宛てもございますし、自分の事は養えますわ。ああそれと、わたくしはハリシアを離れません。彼ならばそれも許してくださいましょう」
「いや、いくらなんでも小僧とて将来設計にハリシアは念頭に無かっただろう。なりたい目標とてあるだろうに、それを諦めさせるつもりかの?」
「彼は目指したい目標を追えば宜しいのですわ。逆に、わたくしの為に目標を棄てるような真似をすれば別れます」
──バン!
勢い良くドアが開いた。
「俺は別れない!」
「あら、まあ。立ち聞きとは感心致しませんわ、ジオラス様」
乱入時は勢いの良かったジオラスは、途端に萎れた。
「えと……別れるって聞こえたから」
「貴方様が御自分を曲げたり棄てたりなさる方ならば、そうなる前に別れます」
「俺──私は自分の欲する未来の為に全力を振り絞っているところです!」
「お見事な宣言、ありがとうございますわ。そのお言葉、努々お忘れなきようお願い致します」
「うぐっ……勿論! つまり…その……頑張ってれば、別れなくて良いんだよね?」
「無理は禁物でしてよ」
「……………難しい」
ジオラス突入後、何となくしみじみ傍観してしまった宰相達は、これまたしみじみジオラスに同情してしまったのだった。
何処までも上から目線のアリサ。
お前何者だよp(`ε´q)ブーブー
辺境伯令嬢で神々の愛し子で精霊の愛し子だよ(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
このカード、本当ならちゃぶ台返しなのよ。いやマジで(; ̄ー ̄A