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お茶会は騒動の場になりがちですのよ


お待たせしました!

初めて貴族の御令嬢らしくお茶会になります。

問題児も出てきます。

嫌味な人間とか悪役とか難しい。




 嗚呼(ああ)、やべー……これは詰んだか……?


 言葉こそ悪いですけれど、嘘偽りの無い今のわたくしの心境ですわ……。



 現場は放課後、学園のサロン。目の前には高位貴族の御令嬢()

 高位貴族御令嬢が二人に、プラスアルファで一人。その一人がこれまた問題。わたくしアリサ・テッド・アリシアの従妹(いとこ)、アティア・カンビオン・ガーストン子爵令嬢。

 正直このアティアという女、嫌い。

 たぶん、嫌いなのはわたくしだけではありませんわ。女に嫌われる女、とでも言うのでしょうか。それでも可愛げがあるならまだ救いなのです。けれど、その救いの無い女。分かり易く嫌味なブリッコ。癇癪持ちの我が儘。責任転嫁は当たり前。隣の芝生が大好きで、略奪も当たり前。そしてお約束、上位の者への媚びへつらい。身分や立場を弁えての態度ではない。正に媚び。うん。真っ当な殿方にも嫌われる女。まだ十代半ばなのに性的な意味でも悪い噂が昔からありますし……。そんなのが従妹とか勘弁してほしい。

 たぶんですけれど、こちらの御令嬢方もこの性悪女にそそのかされてわたくしを呼び出したのでしょう。だって全く面識ありませんし。要は、従妹が上位貴族を利用した。けれどこのお二方、何処かで見たような? 上級生である事だけは確かですわ。首元に結ばれたリボンの色がわたくし達と違いますから。

 ああ、そう。従妹の阿婆擦れもわたくしと同学年ですの……。上級生の使いっパシリをしているという事は、おそらくアティアは同学年には正体がバレてボッチ状態なのですわ。同じボッチでもわたくしとは理由が大違い。わたくしは独自路線を爆走して居りますので、基本、嫌われてはおりませんもの。え? 五十歩百歩ですって? 全く違いますわ! アティアはわたくしの反面教師ですもの! 他人(ひと)の振り見て我が振り直せ、ですわ! この阿婆擦れを見て直すところなんてございませんけれど!


 ああ、頭の中の愚痴が溢れ出てしまいましたわ。失礼。



「先程から、お飲みになりませんの?」


 何を盛られてるか分からないお茶なぞ飲めませんわ、と言えたらどんなに楽かしら? さすがのわたくしでもそれくらいの常識は弁えておりますので、良い香りですねと誤魔化します。


「クヌアジット様。アリサはきっとあたしが淹れたお茶だから手をつけないのですわ」


 出たよ、アティア。わざとらしくメソメソして見せてますけれど、涙なんて出てません。

 ハッ(鼻で笑ってしまいますわ)。


「アティア・カンビオン・ガーストン子爵令嬢。ファーストネームでわたくしを呼ぶのはお止めになって」


「冷たいわアリサ。従妹同士なのに」

「まあ、本当に冷たい申されよう。可哀想なアティア」

「アリサは昔からあたしには冷たいんです。あたしは仲良くしたいだけなのに」

「……貴族ならば、親族同士の柵を粗末にしては問題でしてよ」


 クヌアジットと呼ばれた方とは別の先輩が、最後にやんわりとわたくしを注意します。取り合うだけ面倒なのですけれど、ここは有耶無耶にしてしまうと後顧の憂いになりますわ。アティアという女はそういう女ですの。しつこくファーストネームを馴れ馴れしく口にしてきますし(イライラ)。


「先輩程の方々になればお分かりかと。親族だからと全ての家門と親しく付き合う訳ではございませんわ。我が家はガーストン家その物と距離を置いてございますの」


 これだけ言えば分かるでしょう。わたくし個人の問題ではなく、〈家〉としての対応であるのだと。


「酷い❗ 昔は仲良くお茶したのに‼️」

「いいえ」


 取り敢えず、空かさずの否定を。しっかし、言葉遣いが市井の人間より成っていない令嬢って、恥ずかし過ぎますわ。


「あなた方が我が家に来たのは一度だけ。その場で何をして決定的に付き合いを断絶したのか、お忘れのようね」

「あんたみたいな傷物と仲良くして()()ようって言ってるのに!」

「誤解を生む物言いは控えてくださらないかしら、アティア・カンビオン・ガーストン子爵令嬢。あなたが言っている傷とは、文字通り怪我としての傷。ああ、勿論傷など残っておりません。神殿で綺麗に治していただきましたもの。そもそもその傷、わたくしに大火傷を負わせたのはあなたでしてよ。しかもあなたは謝りもせずに母の腕にまで深い傷を刻みましたわね。それを見たあなたのお母様、やはり謝罪も無しに追い討ちとばかりにわたくしの頭から熱々のお茶をかけましたのよ。それも笑いながら。当時五歳の本家の娘に。自分達が何をしているか自覚も無く、あなたのお母様はわたくしに嗜みの無い出来損ないだと泣き叫ぶわたくしに扇子を振り下ろそうとまでしましたのよ。他の家門のお客様が庇ってくださいましたけど。そもそもはあなたが高価な図鑑に落書きをしようとしたのが本当の発端。それを注意されたからと癇癪を起こし暴れ注意をしたわたくしにお茶会で用意されていた熱湯をポットごと投げ付けた。五歳にもなれば本に悪戯書きをしてはいけない事も、他者に熱湯を投げ掛ければ火傷をする事も、市井の子供とて理解しておりましてよ」

「嘘ばっかり……!」


 あらあら少し勢いが大人しくなりましたわね。上から目線で「あげよう」なんて言わなければ、ここまで詳しく暴露したりなど致しませんでしたのに。これでも大分呑み込みましたのよ。結局駄目になった図鑑の弁償はされなかったとか、この阿婆擦れの母親がわたくしの母に離婚を薦めていたとか。腕に傷ができたから伯爵本家夫人は務まらない。だから離婚して修道院にでも入れとか、馬鹿にするのも大概だわ。五歳の子供にも言ってる事おかしいだろって丸分かりレベルでしたわよ。因みに、母の腕の傷もしっかり治して跡は残っていませんわ。でも──


「我等が親族は他にもこの学園に通ってましてよ。先輩方と同年の者も数人居ります。アリサ・テッド・アリシア五歳のお披露目お茶会について、何か知らないかと適当にお声を上げれば教えてくれる者も出てきましょう。皆、あの衝撃的な騒動は忘れられる筈がごさいませんもの。それでもお疑いなら、神殿で治療の記録を調べて貰ってかまいませんわ。本来なら傷害事件として騎士団預かりになる筈でしたのに、何をどうされたのか、全ての罪があなたの物になり、しかも五歳の子供がした事だからと無罪放免。いったいあなたのお母様は何をなさったのかしら? そう言えば、あの後騎士団の一部の人間が処罰されたとか何とか子供の耳にまで届きましたわね」


 わたくしは自分の事はともかく母まで傷付けたこいつ等親子を赦していない。赦せるものか❗

 私だって痛くて苦しかった。まだ五歳の幼女が頭からほぼ上半身(一部脚)の大火傷を負わされたのです。顔なんて真っ赤に腫れてしまって、神殿でも上位神官が癒してくださいましたのよ! もしかして失明するかもとまで言われて心配されたくらい酷かったのですわ……!


 おおっといけない。冷静になりましょう。ここには上位貴族令嬢も、周囲を見渡せば他の子息令嬢も散見できる状況です。うっかり感情的になってアティア(こんな女)と同類扱いされたくありませんもの。

 本来ならここでお茶で一服、一息吐きましょうとなるのですけれど、肝腎のお茶が怪しくて飲めないのですわ。こっそり肺の空気を大幅に入れ替えましょう。ふう。


「ところで、不躾ですけれども、わたくしはどのような御用件でこの場に呼び出されたのでございましょうか?」


 先輩方、あんたら上位貴族の身分を嵩にわたくしを引きずり出したのです。しかもこんな女を引き連れて。ふざけた要件でしたら、その場で退出させていただきましてよ。











嫌われ者を書くのは苦痛です。今回程度の変な奴でも、もう無理。でも本当はもっと理不尽な馬鹿キャラにしたい。


拙い作者の拙作を読んでくたさっている皆様、見捨てずに読んでくださってありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

引き続きどうか見捨てないでくださりませ(。-人-。)


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