120.喧嘩の後の裏舞台~~~祖父
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今回も短いです。ジイジとお城の中枢オジサン達。
王と宰相の目の前に一人の老人が座っている。
何も喋らない。
ニコニコニコニコニコニコ、ニッコリ♪
怖い。
王と宰相からすると、ただただ只管に怖い。
憎たらしいことに、翁の凄味に燃料投下した魔導師局長は護衛騎士よろしく壁際迄下がっている。
狡いぞ局長。お前だって役持ちだろう。こっちに来い。
以上の言葉を素直に出せる雰囲気ではない。
訳も分からず、とにかく怖い……。
翁──前アリシア伯爵レイモンド老はアリサが次代のハリシアたる若者達を引き連れて領地へ帰ってからも城に上がっていた。これは王の求めによる応えでもあるので、城側は快く出迎えていた。そして王は時として翁に知恵を借りたり知識を拝借したり奇策を授かったり……まあ、頼りにしていたようだ。
かくいう宰相も、翁がそこに居るだけで実務官達の背筋が伸びるので助かっていた。言うまでもなく、宰相も背筋の伸びている一人だ。
だが、今、別の意味で背筋が伸びている。否、硬直している。
宰相が王の執務室を訪れた時はいつも通りであったのだ。それがふいに翁の雰囲気が冷たくなったと思って暫し。宰相は用が済んだので逃げ──退室しようとしたところで局長が遣って来たのだ。局長は翁の存在を少し気にしたようであったが、雰囲気を変えようとした王が迂闊に話を促した事で事態は悪化して今に至る……。
「さて、陛下及び宰相閣下」
レイモンド翁が笑顔のまま漸く口を開いた。
名指しされた二人のオッサンの肩が面白いように跳ねる。
「暫くは口を挟まずに静観してくださらんかな?」
「はい! それはもう、勿論です」
「陛下。もう少しまともな受け答えを返してくださいよ」
「煩い宰相……!」
「前アリシア伯爵。我々としましては今の段階で《家》同士の諍いに口を出す事は差し控えたく存じます」
「然様か、感謝する。──さて、魔導師局長」
「うげ……せっかく空気に擬態してたのに──何でしょう?」
返事の前半部分は丸っと飲み込め局長!
尤も翁は気にした風でもないのが救いだが。
「対して魔法棟はギルヒル家への抗議を頼む」
「どのような名目で? 勝手に《魔法棟》の名を使われた件に関する厳重注意ですか?」
「充分な大義名分になると思うがな」
「少し大袈裟でしょう。“たかだかお花畑頭の娘の戯れ言”でいなされるのが関の山ですよ。実際、決定的に魔法棟を笠に着た発言は避けてますし」
「周囲の小僧共の中には誤解していた者が多数居たようだぞ」
「その辺の報告もあるんですね」
レイモンド翁はニヤッと目を細めただけであった。
「まあ誘導された方に問題があると返して来るだろうがな。そこは誘導した方に悪意があったと断じてしまえば良いだけじゃ」
「些か強引ではありませんか?」
「その際はさっさと話題を変えれば良い。《魔法棟》の名誉を傷付けた、とな。周囲に誤解させる発言をした事実は変わらん。これは立派な名誉毀損にあたるの」
「強引である事に変わりはないし、名誉を毀損されたのはアリシア家及びハリシアですよ」
「勿論こちらはこちらで抗議するとも。我がアリシア家だけでなく、ハリシアその物を侮辱したのだからな」
すっと翁の目に剣が射した。
怖い!!
「ああ、これはただの独り言じゃが、お前さん方の出方次第で孫娘の進路が変わりそうじゃのう。ほっほ」
脅しだけでなく、絶妙な感じで目の前に人参をぶら下げられた。それも半分以上が脅しの内容だが、アリサの魔法棟入りの可能性を匂わせられている。
「……………抗議ではなく、厳重注意という形でなら動きましょう」
何気に大人気ない大人の汚い話し合いがついた。
大した駆け引きもなく、あっさり迫力勝ちのお祖父様。
アリサの“ハリシア命”体質はお祖父様似?
それとも更なる過去からの遺伝体質か?
少しずつですが復活しつつある作者に、元気の栄養をくださる事をオネダリしてしまいます(T^T)
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