それ観光旅行
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございます(^人^)
☆評価、ブックマーク、いいね 等もありがとう存じます(*- -)(*_ _)ペコリ
今回から少しばかり横路に逸れます人( ̄ω ̄;)
近衛遊撃隊だけでなく、三人の魔法騎士まで合わせて王都遊撃隊と呼ばれるようになっていた。
……………間違ってはいない。
アリシア兄妹は領内の役人がそこそこ集まると、空の騎獣に跨がり火山地帯を後にした。残された王都遊撃隊も合わせて火山地帯から退く。ただ王都遊撃隊はまず陸路でハリシアの港へ向かう。最終的には船での帰路になる予定だ。
ここで北を目指すか南を目指すかで意見が割れる。単純に距離を優先するなら、南の方が(道の関係で)若干近い。しかし南は当然ながら北より暑い。ならば北を目指した方が結果的に体力を保ったまま早く着くだろう。だが、“だが”である。この季節はそろそろ果物の収穫期に入ってきている。ハリシアの農作物は高級品揃い。地元では庶民の楽しみ。つまり、地元で食べれば安く安全に美味しくいただける! 北側の果物は春から初夏、そして秋だが、南の果物は夏から秋が旬であると火山地帯の地元民に教えられた。ついでに余計な──否、貴重な情報もくれる。
「ハリシアの北には砂糖大根があるぞ。ハリシアの稼ぎ頭らしいから、地元でもそうそう安くはならんけどな」
「それを言ったら南には砂糖黍があるじゃないかい。黒い砂糖が」
砂糖大根は甜菜のこと。日本だと北海道が産地になる。砂糖黍は、日本だと沖縄や鹿児島(奄美群島)等、南西の島々が産地だ。ハリシアにはその両方がある。王都で手に入れるにはなかなかお高く、しかし手土産としては選択し難い一品。例外は飾り砂糖、日本式に表現するなら落雁に近い物。しかしこれは完全にハリシア名物で、崩さずに持ち帰るのは一苦労である逸品。つまり、王都ではべらぼうな貴重品。
さて、どちらへ行っても砂糖が美味い!
南は旬の果物。対して北は、この季節些か弱い。
「南だな」
「魚介類はどっちの港でも名物だしな」
「俺、北の魚楽しみにしてたのに……」
「メロン」「パイナップル」「マンゴー」「バナナ」「西瓜」
どれも王都ではお高いハリシア南部の季節の果物。王都で一番出回っているのは西瓜だったりする。
「き、北には葡萄とかあるじゃないか!」
「葡萄繋がりでワインもある!」
「酒なら南にも新しい酒があるらしいぞ」
「新開発された新酒らしい」
「………桃とか北に行く途中、あるだろうし」
「そろそろ季節は過ぎてるだろう?」
「南のオレンジ土産にしたい」
「オレンジは比較的簡単に手に入るだろう。どうせなら、なかなか手に入れ難い土産が優先だ」
「俺はっ! 北寄りの山間が産地の時計作りが見たい!」
「俺も、時計は本物見てみたい……」
終盤で、新しい種類の酒と時計の争いになる。どちらも譲らず、また双方を推す者も出てきて妥協案に落ち着く。
のの字を描くように一度北を経由して、南の港を目指すという道程。
決まってしまえば動きは速い。騎士達が胃袋を掌握されている間にしっかり休んだスレイプニルに跨がり(魔法騎士の分は地元産の馬を手に入れた)、アリシア兄妹の出発後に王都遊撃隊も火山地帯を発ったのだった。
観光旅行出発の巻き、開幕である。
ハリシア観光が始まりました(о^∇^о)
一緒に名物巡りに参加してくださる方は、
☆評価、ブックマーク、いいね 等、ポチっとお願い致しますm(_ _)m