掃討作戦はグダグダです
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逞しい人々にとっては通常運転(  ̄ー ̄)
よく分からない事になっている。
アリシア嬢を真ん中に、両脇を地元の若者(青年)が守るように走っている。それを追いかけて来るのが赤いドラゴン──精霊に近い存在。
「二人とも、両脇それぞれ離れるように進路を取ってくださいまし!」
青年達はブツクサ文句を言いつつ離れるのを一瞬は渋ったようだが、自分の脚が許してくれなかったらしい。それぞれの三方向に向かって爆走が続く。一人は右に、一人は左に、アリシア嬢はそのまま真っ直ぐ。山の斜面を文字通り転がるように爆走し続ける。
遡ること三十分近く前。アリサが次の作戦に移行すると決断したのが始まりだ。その作戦とは、囮で大物──この場合はドラゴンを罠まで誘導するという、極めて単純なもの。そして彼女自身がその囮になるというのだ。当然だが魔法騎士も地元の有志も皆で反対した。しかし……
「わたくしであれば風の魔法で逃げる速度を上げられますし小回りも効きますわ。何より、通信魔法もございますもの。実況解説は必要でございましょう」
「必要ありませんよ、そんなの。山肌丸見えじゃないですか」
地元民(戦闘における)リーダーらしき熊のようなオヤジと未だ上空を飛んでいる(ハンドラーの相乗り)魔法騎士がそれぞれ反対の声を上げる。アリサの風による通信魔法で、ある程度の距離など関係なく会話が可能であるのだ。いつぞや学園で不届きな会話を盗み聞きした“あれ”と同じ魔法である。
「山の主様がお顔を出してしまわれたこと、その主様まで正気ではなさそうである現状。極め付けが、王都からの遊撃隊が到着してしまったこと」
「空を飛んでる魔法騎士様とは別の部隊ってことですかい?」
「そう。別です。皆様方には後退しつつ、そちらの保護をお願いしたい。魔法騎士の皆様には、援護と最終的な魔方陣の発動を依頼します」
「いや、待ってくださいよ、天使様。遊撃隊ってなら、そっちに身体張ってもらえばいいってだけじゃないすか」
「身体だけでなく、命を張られては困ります。──では、宜しく」
「いやいや、天使様お一人で出せる訳ないっしょ。とにかく天使様はこのまま避難で──」
「はい! 俺行きます!」
一人の青年が元気良く挙手して見せた。
「お前……! ついこの間、結婚の約束してた彼女に逃げられたばっかだろう! まさか死ぬ気じゃないだろうな!?」
「まさかまさか! 天使様の護衛で一旗上げれば、目立ちますよね? 御褒美も貰えたりするっスか?」
「……まあ、そりゃあ、な」「報奨という程の物が出せるかはお約束できませんけれど、報酬に色を付けるくらいならおそらく……」
「次の彼女とか探しやすくなりますよね! 次です、次!」
あまりにあまりな動機に、その場に集まっていた有志の地元民は一瞬言葉を失った。
代表で気っぷの良さそうなオバサンがボソリと相槌を打つ。
「……かもね」
「あ、それなら俺も行きます。彼女との結婚資金欲しい」
「はぜろ!!」
何はともあれアリサの一言「採用」で、この三人による出撃が決まった。
それからはワイバーンに咥えられて、千鳥足で翔ぶことを忘れているらしいドラゴンの鼻先に運ばれ、現在逃げている真っ最中という訳だ。
おそらくはアリサの風魔法により加速して、加速が過ぎて“結婚予定”が脚を縺れさせて転がり落ちていく。“逃げられた”方はドラゴンの火を吹かれてあわや丸焦げ。アリサだけが上手く風と協調して罠である魔方陣へと酔っ払いもどきドラゴンの誘導に成功。
上空で待機していた魔法騎士達が魔方陣を発動して、ドラゴンの動きが止まる。止まったかに見えた。しかし苦しむドラゴンが身を捩ったので足元の砂利が滑った。ドラゴンの巨体が地響きと土煙を上げて盛大にスッ転び、溢れていたスタンピードによる小型魔獣が圧し潰される。アリサの依頼で追加の水と岩がこれでもかと形の良いドラゴンの頭に雨霰と振り下ろされる……。
哀れスタンピードの魔獣達。酩酊していたドラゴンが意識を失うとともに新たに発生することもなく、残りも綺麗に掃討される。
世はこともなし。
ハリシア発生スタンピードは、逞しき領民達により被害軽微で一掃された。
PVが5万超えてた!
やったー(*≧∇≦)ノ
やっとだよぉ(o≧▽≦)ノ♡