10.兄さん、事件です!
漸く、令息との接触。
色んな意味で。
もーいーくつ寝ぇーるーとー な つ や すぅみー!
早いものです。そろそろ上半期が終了です。
尤もわたくしは夏休みも領地には帰らず、こちらでバイトしながら学園に日に二回は通わせていただきますけれど。はい! 既に学園の許可も貰ってございましてよ!
………え? 学園の前に話を通さねばならない場所があるだろう? 家の事かしら? ええ、大反対されましたわ。押し通しましたわ! 以上。
学園の在校生である限り、マーキング対象(ラ・ジオラス・クルイウィル令息以外)は観測を続けますわ。そうそう、春の終わりに見付けたサナギは、やっぱり羽化を目撃できませんでしたの。だって羽化を観察できる早朝はまだ入校できない時間なんですもの。因みにマーキング効果は半々に割れるようですの。空になったサナギの脱け殻のマーキングが薄くなってるなと思っていたら、近くをヒラヒラ飛ぶ蝶にもうっすらとしたわたくしのマーキングがございましたの。成虫の蝶にマーキングした過去はございませんから、まず間違いなくサナギから羽化した蝶ですわ! サナギと蝶に関しては、これを以て結果とし、観測を打ち切り。マーキングを解除。少し楽になりましたわ。
今日も今日とて早朝からマーキング観測巡礼開始。
観測基準樹木も大分夏仕様に成長しましたわね。緑が濃いですわ。
あら? ここまで運動部の掛け声が聞こえますわ。夏の長期休暇目前なので、練習に力が入っているのでしょうか?
わたくしは時間をかけて、段々と緑濃い樹木の多い庭へと移動して行きます。チマチマちまちま、記録も念入りに。
森と表現しても良いような箇所まで来た辺りで、何か声? が聞こえました。ガサガサ葉擦れの音もします。気配は大きい……。森のようでもここは学園内。野良猫が紛れ込む程度ならばありますが、獣と呼べる生物は居りません。何事ですの!? 逃げた方が良いのかしら? どうしましょう……?
「むーーーぅぅぅ!!」
「!? 誰か居ますの!?」
「ふっ………助ん…む、むー!」
今、助けてと言いかけましたわよね!? しかも様子が変ですわ! 更に、どうして予定外のマーキング反応がありますの!?
わたくしは急ぎ足でマーキングを頼りに近付きます。脚を世話しなく動かしながらポケットから通称マッチ箱(勿論マッチ箱ではございません)を取り出し、中身もすぐ取り出せるように準備いたします。そうして目の前に現れたのは、ああ……やっぱり〈お花君〉です。被害者と呼んで差し支えのない有り様です。〈お花君〉はおそらく運動部──騎士科に連なる何かの運動着着衣でした。ただ、上から被る形なのであろうシャツは襟から左右にビリビリに破かれ、後ろから先輩らしきガタイのよろしい男に羽交い締めと言って良いのか拘束されています。先輩? は片手で〈お花君〉の口をふさぎ、片手は破れたシャツの下へと手を滑り込ませています。衝撃です。思わず表情を失くす程度には訳が分かりません。
私はその場でクルリと反転し、通称マッチ箱から中身を一本取り出しました。中身もマッチに似ていますが、当然別物です。わたくしはマッチ擬きに魔力を込めて、空へと放ちました。マッチ擬きはロケット花火のように打ち上がります。上空に上がるまで閃光を繰り返しながら。わたくしは二本目のマッチ擬きに魔力を込めながら悲鳴を挙げます。誰か気付いて❗
もう少し書き足そうかとも思ったのですが、短めのままアップしますm(。_。)m




