別れ
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いつの頃からか、大人達の間では色違いの鬼たちの悪口を言ったり、
わざと無視するようなことが増えていった。
そして大人達は僕達に言うんだ、「色違いの子とは遊んじゃいけません」って。
僕たちは、とても、とても、悲しかったんだ。
だって、意味が分からないんだ。
大人同士で始めた事なのに、どうして仲良しの僕達まで合わせないといけないんだろう。
「僕は色が違ってもみんな好きなんだ。
色が違うからって悪く言うのは変だよ。」
親にそう言いたかったけど、
「もう遊んじゃいけません」って強く叱られると怖くて…。
結局は言えなかったんだ。
彼らと隠れてコソッと会う時は、森の中の秘密基地だけになったけど、
誰かが欠けていたりすることが多くなった。
たまたまみんなが揃った時、
今までどんな風に話していたのか忘れてしまったかのように、
なんだかぎこちなくなった。
そしてその日は、いつもはニコニコマークが似合う
明るいピキが泣きそうな顔をしていた。
「ピキ、どうしたの?」とサランが言うと、
「北の大地にお引越しするんだって、パパとママが言ってたの・・・。」
「実は、俺も南の大地に引っ越さなきゃいけないみたいなんだ。」とジーノが言い、
「私も・・・、東の大地へ引っ越すの。」とサランが続いた。
僕は凄くショックを受けた。
寂しくて、そんなこと認めたくなくて、
「そ、そんなの、今だけだよ!
そうだ、すぐにまたここに戻って来るようになるんじゃないかな。
戻ってきたらさ、またみんなで会えるから大丈夫だよ!」と言った。
だけど、本当は不安で仕方なかったよ。
サランもジーノも小さな声で「うん」って頷いたけど、
表情は暗かった。
ピキは「そうだよね、きっとまた会えるよね。
でも、やっぱり寂しいよ。これからも毎日みんなと遊びたい!」って言ったけど、
「ピキ、私も凄く寂しい」と悲しそうな顔でサランが呟いた。
僕はこのまま会えなくなって、僕らの友情が忘れられてしまうかもって不安になって、
一生懸命言葉を繋げた。
「それならさ、直接は会えなくても、
毎日無限パレッドを見上げて、みんなで探しあいっこしようよ。
無限パレッドはどこまでも繋がっているんだから、」
無限パレッドを見上げたら、
そこにみんなを見つけることができるはずだよ!」
「でも、ピキが行く北の大地では地下に潜って生活するんだって。
そうしたら無限パレッドも見えなくなっちゃうぅ。」
ピキがとうとう泣き出した。
僕は何も言えなかった。
だけどその時、いつもと同じ様な穏やかな声でルートが言ったんだ。
「大丈夫だよ、ピキ。
ピキはよく“今日の私のご機嫌は雲一つない真っ青パレッド”とか
“曇り空の灰色パレッド”とか言うでしょ。
僕らの無限パレッドは、見上げた空にあるだけじゃなくて、
本当はきっと、心の中にあるんだ。
だから、どこに居たって、空が見えなくたって大丈夫。
僕らがみんなそれぞれを思い続ける限り、心の無限パレッドでみんなに会えるさ。
だから、君の心の無限パレッドを見上げて、みんなを思えばいいんだ。
ピキも僕らも、そこでみんなを見つけることができるから。」
ルートのその言葉に、僕までポロポロって涙が溢れてきた。
「ラリスは泣き虫だな」なんてジーノが言って肩を組んできたけど、
君の声が震えてて鼻をズーズーしてたの、僕は知ってるんだからな。
泣いてるところなんて見た事のなかったサランが泣いてたのには、
ちょっとびっくりした。
ピキは一番大泣きしてたけど、泣きながらも笑おうとして、顔が忙しそうだった。
ルートは僕らを安心させるかのように、穏やかな顔をして、
最後まで涙が止まらなかったピキの頭を撫でてあげていた。
僕はちょっぴりピキが羨ましくなった。
ルートは大親友の僕の頭を撫でても罰は当たらなかったと思う。
そして、その日が僕たち全員が揃った最後の日になった。
その後すぐに、
ピキ達青鬼は北へ旅立ち、
ジーノ達赤鬼は南へ旅立ち、
サラン達黄鬼は東へ旅立った。