妻に書いたラブレター
特に何かあったわけではなかった。
ただの気まぐれとも違う気がする。
日頃の感謝の言葉は書いてはいない。
伝えたいのは感謝ではなくて愛しているという事だから。
二十年一緒にいたのだ。
今更ではなく今言いたい言葉を伝えたかったのだ。
口に出すより形に残るものとして。
こうして俺は妻にラブレターを書いた。
まさかこれが原因で喧嘩になるとは思ってもみなかった。
浮気をしているのかと散々疑われた。
何も悪い事をしていないのに何故か謝ってしまう。
だからこそまた怒らせてしまった。
結局妻が納得したのは「愛している」と「ありがとう」と「ごめんなさい」を一生分言ったかと思えるぐらいの時間が経過してからだった。
「今度は豪華なモノがいい」
彼女のその言葉に俺は頷く。
次は豪華な便箋でいこう。
そう心に決めたのであった。