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1-8 謝礼
二人は反射的に大きな音がした方へ向く。
「長いな。まだ続いておったのか。
仕方ない。手を貸してやるか」
「えっ? ちょっとあんた、何するつもり?」
「あの状況では一人でどうすることも出来んだろうし、
少し行って手伝ってくる。
もしかすると長くなるかもしれぬし、
不義理だと思うが恩返しはここまでに
させていただきたい。
ここの代金を含めた謝礼金に
『これ』を贈るが足りなければ
後日会ったときに言ってもらいたい」
「いやいや、あんた何言って、ええええっ!?」
レイは立ち上がる子どもを止めようとしたが、
机に置かれた『これ』に目を奪われてしまう。
「ちょっ、あんた、これ!」
レイが断片的に繋げた言葉は届かず、
子どもは男たちに近づく。