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3-03 道連れ

野獣との戦いはあっさりと決着がついた。

昔と比べて装備も武器も強くなったが、

それ以上に多勢に襲われても動じることなく

一つずつ捌ききれていて自分の実力が

上がっていることをレイは実感していた。

「あんた、意外とやるね。

おかげで助かっ、あいたたた」

腰を抜かした男はレイに寄ろうと立ち上がったが

足を押さえて座り込んでしまった。

「ご老体、大丈夫か」

「あはは、恥ずかしいな。

これしきの事で立てないなんて」

照れ笑いでごまかしているが

挫いた足が痛々しく真っ赤に腫れている。

頑張って立ち上がるものの

普通に歩くことは無理そうだった。

ましてそこらに散らばった物を背負いなおして

森を抜けるのは不可能だと二人は思った。

「ひとまず今日はここで安静にされたほうが良い」

「悪いけどそれはダメなんだよ。

今日中にこの荷物を

次の村に届けなくちゃ、ってあいたたた」

もう一度立ち上がっても、

またしゃがんでしまい今度は腰まで

痛めたように擦っている。

(けっこうな歳みたいだし、

元々弱ってたのかな)

男も自分の弱った体を気にして

悲しげなため息を吐いた。

その間に落とした物を集め終えたノラが

壊れたカゴと一緒に返すと

レイの方をじっと見上げていた。

「分かってるから

いちいちこっち見なくていい」

体の弱い老人と子ども(実年齢は上)を

見てしまったせいで本来しなくて良いことを

レイはやらざるを得なくなってしまった。

「おじさん。私が代わりに

その荷物運ぼうか?」

「え?」

「心配せずとも盗んだりせん。

盗むつもりならさっきの獣どもに食わせれば

気兼ねなくもらえたしな」

「そこ、余計なこと言わない」

「いや。でも」

男はレイの提案に乗ろうとしなかった。

見ず知らずの相手に命を救われて、

仕事の手伝いをしてくれるなどという

うまい話を信じれない気持ちと

世話をかけてしまう罪悪感が邪魔していることは

レイにも察していた。

「じゃあ、おじさんに道案内して

もらいたいんだけどいいかな?

私たち町に行きたいのに道に迷ってて

困ってるからおじさんに案内してもらいたいのよ。

それでその代わりに荷物を持ってあげてる。

こういうことなんだけど、どう」

「道案内。まぁ、そうかい?

じゃあとりあえず村まで連れてくから

その間、荷物を頼んでいいかな」

「勿論だとも。どんと任せてくれ」

「アンタが言うな」

レイは見た目の割に重い荷物を抱えて、

ノラに支えられながらとぼとぼ歩く男の

後ろを付いていく。

こうして二人は無事、

町へのルートを確保したのだった。

読んでいただきありがとうございました。


導入が終わり、次から

昔気質な村で話を始める流れです。

シメと敵へのトドメも決めているのですが、

そこまでのつなぎの案がまだなってなくて

少し考え中です。

それでも期日を守って投稿する所存です。

極力訂正しないようにしたいですが

3章開始にしてさっそく踏ん張りどころを

迎えました。

頑張って乗り越えてみせます。


次話の投稿予定日は

2/14(月)です。


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