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1-5 遭遇
店に入ってきたのは若い男二人と中年の男の三人で
全員首から下を甲冑で覆っていた。
「あ~疲れた! 飯だ飯! さっさと出せよ。
俺たちはお客様だぞ」
入ってくるなり不躾な物言いだが、
店長は掴んだ手を放し、腰を低くして出迎えた。
「助かった」
痕を作った腕を少しさすり
止まっていた血を流させる。
「ほら。いつまで泣いてんの。
早く食べなよ」
「うん。そうだな。せっかくの飯だものな。
早く食べねば勿体ない」
「そういう事じゃ無いんだけど」
子どもは姿勢を正し、
両手を握り合わせて目を閉じてから
食べ始めた。
ボロを着ているわりに行儀は良く
ある程度作法を知っているようだった。
「育ちが良いというか躾が行き届いているというか
どこかの没落貴族の子ども?」
「没落?」
「あっ、いや」
自分の失言に気づき口を濁すが
子どもはあっけらかんと答えた。
「はは、確かに没落したが
貴族でも子どもでも無いぞ」
居ずまいを正しまっすぐレイに向き直った。
「改めて二度も助けてくれたこと感謝しておる」
我は、と続けたところで
食器が割れる音が響く。