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1-4 感謝

子どもの目から大粒の涙が落ちる。

「お主、本当に良いやつじゃのう」

「は? は!?」

今のやり取りのどこに優しさを感じたか

全く理解できない。

「見ず知らずの我を二度も助けるだけでなく

食事の相手までしてくれるなんて」

「えっ、それだけ!?」

「もうどうすれば恩を返せるのか分からんぞ!」

演技には見えないが大袈裟に騒ぐ子どもに

店内の視線が集まる。

「え? 何この構図。泣くの止めてくんない?

なんか私がいじめてるみたいじゃん」

「あのお客さん。あんま人の都合にケチつける

つもりはないんだけど。

オタク、この子に何したの」

言ったそばから店長が距離をつめる。

料理仕事で鍛えられた太い腕が少し怖かった。

「あの、違うんです。誤解です。

多分みなさんが考えてることとは全く違いますから!」

「むぅ。坊や、どうして泣いてるの?

このお姉ちゃんに何をされた?」

「だからしてませんってば」

腰を折った店長に鼻水や涙で顔を汚した子どもが

嗚咽混じりに答える。

「ひぐっ。うむ、我が勝手に泣いておるだけだ。

久しぶりの飯に感極まってしまった。ごほっごほっ。

もう長く食事などしておらんかったから、

つい泣いてしまった。すまない。ひっく申し訳ない」

「お客さん、ちょっと外で話を聞こうか」

「あれ!? なんか私の容疑が固まってない?

ちょっと無言で引っ張らないでください。

無実ですよ!」

店長の大きな手がレイの二の腕を掴み

引き上げようとする。

「嘘ですよね!? 冗談でしょ!

本当に違うんだって。誰か! 助けてぇっ!」

その声に呼応したのか直後に店の扉が開いた。

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