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2-08 経緯

街を囲む外壁を見て女騎士は言った。

「一年ほど前になるでしょうか。

私はここを拠点とする野盗を討伐しました。

その件は終わったのですが、ここにはまだ傷ついて

満足に動けない人が多く残っていたのです。

話は少し変わりますがここへ来て、

ずっと見られているようで不愉快な気持ちになっていたでしょう」

「ええ、まぁ」

「それは仕方のないことなのです。

本来ならこのような大規模な野党の拠点があれば

国が正式に対処してくれるはずなのです。

ですが、こんな辺境ではまともに取り合ってもらえず放置状態。

自分たちが苦しい思いをしても他所の人間は何も知らずに生きている。

どうしようもないことではあるのですがそういう気持ちから、

彼らは一括りに外の人間を信頼できず恨んでいる人も少なくない。

それでも誰かの助けを必要とする彼らのため、

かろうじて信頼されている私がここを町として運営することにしたのです」

「へぇ、そういうことだったのね」

一見、物騒な町にどんないきさつがあったかを聞いてレイは納得する。

砂ぼこりで汚れた鎧から女騎士の苦労がどれほどだったかが伝わった。

「でも、夜に外出したら懲罰っていうのは厳しすぎない?」

「それはただの方便ですよ。

宿を探させるのも懲罰荘もあなた方を町の人に見せるための催しです。

いきなり面と向かって会わせるわけにはいきませんからね」

「つまり、こうやって町を歩かせることで慣れさせようってこと?」

「まぁ、そういうことです」

女騎士は困り顔で笑った。

「申し遅れました。私はカレン。こちらで町の守護と代表をしています。非公式ですが」

「レイよ」

レイは体を隠すローブから右手だけを出して握手を交わす。

「私はまだ巡回が残っているので失礼します。

理由を知って面倒とは思いますが夕暮れまでまだ時間があります。

夕暮れ後は見つけ次第、泊まれる場所へ案内いたします。

もちろん、懲罰なんてしない場所へ、です。

それまで町の中を歩いてもらえると幸いです。それではこれで」

女騎士カレンは部下を連れてレイから離れていった。


「なんだ。じゃあ焦る必要はないのね」

カレンの話から方便と聞かされて、

宿を探す必要はないと分かり、レイは肩の荷を下ろした。

(というか、結局あの人たちが案内してくれるなら、

わざわざノラを探す必要もないわね。どうせ後で会えるんだし)

「そういうことならゆっくり散歩でもしますか」

大きく伸びをし、レイは悠々と町の散策を始めた。


一方。その頃のノラは―――

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