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2-7 住人

レイは姿を消したノラを探し、

しばらく町の中を歩き回っていたが、

手がかりすら掴めなかった。

付け加えると、まだこの町に入ってから誰とも話せていない。

周りからたくさんの視線を感じているが、

それ以上のことはされなかった。

「何なの、この町」

家から見ているのは全部人形で

廃村に迷い込んだ感覚だった。

(危なくはないけど、ここまで何もないとかえって不気味ね)

たった一人しかいない通りを進み続けて、

ようやく人の集団を見つけた。

「あれ? でもあの格好って」

見つけた集団の姿を不思議に思っているうちに

こちらに気づいた向こうから声をかけられた。

「こんにちは。何か困っているのかしら?」

人当たりの優しそうな女性で、後ろに控える女性たちも

笑顔で迎えてくれた。

しかし、買い物客というわけではないらしい。

全員の恰好が防具と長物で統一されていた。

「珍しいですね。女の人が見回りをしているなんて」

レイは思ったままを言った。

ひと際丈夫な鎧と長物の代わりに剣を携えた女性を先頭に

町を保安を守る自警団のように見えた。

『女の人が』と差別的な言い方になっているが、

社会全体として陣頭に立つことや組織の中心は

基本的に男がしていた。

そこに不満を持つ人間はいるが、この時はまだ

そういうものだと定着されたままだった

それは声をかけた彼女も分かっていて

平気な顔で答えた。

「ええ。ここは私が治めているので。

と言っても仕方なくですが」

「あなたはここの領主の人なの?」

「いいえ。ここに領主はいません。

それにここはもともと町ではないのです」

「どういうこと?」

人気こそ少ないが十分な広さと家がある。

それでも町と呼べないことに疑問を持った。

「ここはもともと、山賊の砦だったんです」

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