2-5 手続
レイとノラの二人は案内通り、
壁際に沿って進み役所らしい扉に
たどり着いた。
「頼も〜。誰かいないか?」
分厚い金属扉を叩いて呼びかけると
上についた格子の窓から覗かれた。
「…………」
扉越しの(おそらく)男は
無言で二人をじっと見やると
ほどなく鍵が開いた。
「何の用だ」
迎えた男は虫の居所が悪いようで
裸の上半身を掻きむしりながら
横柄に二人をあしらう。
「この町に入りたいのだが
都合してもらえないだろうか」
「あっそ。じゃ、これ入場証」
男は手に持っていた紐状のアクセサリを
二人に渡した。
「お前は首から下げろ。
ガキの方はどこでもいい。
見えるとこにつけとけ」
「了解した」
「他所から来たやつは日暮れ後の外出は禁止。
破ったら問答無用で懲罰荘行き。
以上。行け」
「「え?」」
男は数秒で説明し終えると
奥の部屋に戻ろうとする。
「待たれよ。今ので終わりか?
もっと色々聞くことがあるだろう」
そう呼びかけても
「うざ。入り口はそっちだからさっさと入れよ」
と無下に返され、それきり相手にもされなくなった。
「「……」」
ここで立ち往生しても仕方ない。
何かの爪や牙を通したアクセサリを
首、頭に括り付けると、それ自体が
スイッチになって町への扉が開いた。




