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2-3 安息

「目指してたのは町よね?

町ってこんなんだっけ?」

レイとノラはたどり着いた町の外壁を前に

立ち尽くしていた。

村でも町でも人の集まる場所を

塀や堀が囲うことは当然ではある。

問題はその外壁が攻撃的過ぎる点である。

「まるで砦だ」

小窓のついた高い壁に

とにかく厚みをつけたいと言わんばかりに

板やボロ布を無理やり何重にも貼り付け、

表面、特に接地付近を重点的に、

先を尖らせた太い丸太が何本も飛び出ている。

粗雑かつ凶悪な造りで山賊の根城にすら見える。

「おかしいな。

以前はこんなの無かったのだが」

「以前ってどれくらい前?」

「さぁ、なにせ長生きだからな」

導かれるまま来たが、明確な情報はなく

しばらくレイは外壁の向こうを眺めた。

「ともかく入ろう」

「え? 本気で言ってる?」

「こんなところでたむろしていても仕方ないだろう」

「だからってこんな物騒なところ、入りたくないんだけど」

「こんにちは~」

「おいおいおい、ちょっと!」

尻込みするレイを置いて

衛兵らしき男たちに手を振って声をかけるノラ。

それに気づいた男たちも手を上げて

軽い会釈を返してきた。

「お勤めご苦労さまだ」

「おう。お勤めご苦労してるよ、ボウズ。

新米冒険者か? 何人のパーティーだ?」

「ただの旅人だ。二人だけ」

「そうか。大変だな。

それはそうと紹介状は持ってるか」

「紹介状?」

「ここを通りたきゃ紹介状が必要なんだよ」

「困ったな。そんなものはない。なんとか融通してもらえないか」

「悪いな。こっちも仕事だからよ」

困り顔をするノラと衛兵たちだが

レイだけは少し安心していた。

「仕方ないけど、別の町に行こう。

買い物はそこですれば良いし」

すぐにでもここを離れたいレイはノラの背中を押すが

「近くの町って言ってもここからじゃ最短で5日はかかるぞ?

見た感じ、何も持ってないようだが、腹はもつのか?」

「うっ」

予想以上の距離にとうとうレイまで固まってしまった。

「まあ待てって。紹介状がないならこの壁に沿ってしばらくしたところに

役所みたいなのがあるからよ。そこで手続きすりゃ入れるはずだ」

「それは助かる。ということでどうする?

ここで買い物するか、ここを諦めて今すぐ他へ行くか」

「分かったってば。とりあえず今日はここで厄介になりましょ」

実は5日分の食料はある。

理屈は分かっていないがノラの腹には

食料をはじめ、武器やお金など質量、体積、状態を問わず

色んなものを収納・取り出すことが可能だ。

しかし、休む場所までは用意できない。

特に夜の森では野郎や魔物に襲われないよう、

一晩中周りに気を配らなくてはならない。

(この体になってから何故か眠くなったり、

疲れることもなくなったけど、

そろそろ精神的に参ってきたのよね)

怪しげな場所ではあるが、安息を求めて

この町に入ることを決めた。

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