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1-22 逃走
街を出た二人は見つかる危険を避けて
敢えて見通しの悪い森の中を、
日が暮れるまで歩き続けた。。
「今日はここまでにしよう」
明かりのない森の中を進むのは危険と判断し、
二人は開けた場所で横になった。
朝から住む場所を追い出され、子どもを助け、
犬と戦って、巻き込まれて連行されて、
とうとう町からも逃げ出すことになって、と。
イベントで詰まった一日を過ごし、
疲れからの眠気がやってきたところで
ノラが話しかけてきた。
「追手も寝ているかな?」
「うん、そうね。それが?」
「じゃあ、話そう!
もっとお互いのことを知るべきだと思うのだ」
「えー。明日じゃダメ?」
「歩きながらしてくれるなら、別に構わないぞ」
なぜかテンションを高くし、いくら邪険にしても
引く気はなさそうだった。
一応、素直ではあるから嫌と言えば
今夜のところは大人しく寝させてくれるだろうが、
明日、静かな森の中を話しながら歩くのは
誰かに見つかるかもしれない恐れがある。
レイは疲れて一秒でも早く寝たい気持ちを殺して
会話を承諾した。




