幕間
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──???side──
「お疲れ様でス、セツナさン。そちらがあなたの妹さんですネ?」
暗闇の中、クロが氷漬けのシュユを見上げ、貼り付けたような笑みを浮かべる。
「はい、クロ様。シュユといいます」
「いいですネェ、実にいいでス。彼女が入れバ、負の感情も集まりやすそうダ。よい働きをしましたネ、セツナさン」
「あぁ、勿体ないお言葉ですわ、クロ様」
クロの賛辞に、セツナは恍惚とした顔をして首に抱きつく。クロもセツナの腰に手を回し、闇を煮詰めたような瞳でセツナの瞳を見つめた。
侵食するように、奈落の底に引きづり混むように。
「手駒は減りましたガ、彼らもただ死んだのではなイ。私に大切なものを残して逝きましタ。それに、まだあなたがいル。そして重要な駒モ。あなた達がいれバ、私達の目的は達成されル」
「……はい、クロ様……」
クロの貼り付けたような笑みに影が落ちる。
暗闇の中でもハッキリと見えるのそ暗黒の影に、セツナはどうしてか身震いを覚えた。
「さア、始めましょウ。計画の最終段階。儀式の準備ヲ」
クロの背後に佇む巨大な像。その像の抱える壺が、怪しい赤色に光りだした──。