あなたはあたしのモノ
前に書いてた奴を編集してみました。
最後はかなり変わってしまいましたが、前よりは読みやすくなっていると思います。
俺は前から好きな奴がいる。
男子に人気で俺なんか・・・って思ってた。
でも俺は今日、その子に告白します。
結果はOKだった。
まさか俺と付き合ってくれる何て思ってもいなかった。
だから俺は今凄く幸せだ。
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『俺、お前のことが好き何だ』
『あ、あたしもです・・・』
『じゃぁ付き合ってくれるのか?』
『はい、喜んで!』
『よっしゃー』
『その代わり、他の女の子とは・・・』
彼女は少しだけ暗い調子で言った。
『わかってるって浮気はしねぇよ』
しかし、俺はそんなことも気にせずに、彼女の言葉を遮った。
きっと、嬉しすぎて何も見えてなかったのだろう。
『うん、絶対だからね』
彼女は、少しだけ嬉しそうに言った。
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やっぱ女子って浮気に敏感何だな。
って、当たり前か。
俺はそんな程度にしか思っていなかった。
翌日のことだった。
俺は教室で幼馴染の沙里菜に、彼女が出来たことと、それについての
相談をしていた。
その時だ。
突然背中に寒気が走り、冷たい視線を感じた。
だが、俺は気にもせず喋り続けた。
沙里菜が廊下に行くと、視線がどんどん近づいてくるように感じた。
俺は怖くて動けなかった。
振り向くことも出来なかった。
『何、話してたの?』
突然後ろから声をかけられ、俺は飛び上がりそうになった。
少し冷静になり、声の主が誰だかわかったので、俺はゆっくりと振り返った。
『なっ・・・』
振り返ると、そこには冷たい目をした彼女が立っていた。
そして、目線を下に下げていくと、そこには銀色に光るものがあった。
『おま、何で・・・そんな物・・・』
『ねぇ、言ったよね?浮気なんてしたら・・・』
彼女は俺の問いかけには答えずに、冷たく言った。
俺は固まってしまった。
こいつ・・・一体どうしちまったんだよ。
昼休みということで、教室にはほとんどの人がいず、窓際ということもあり、
誰も俺たちのおかしな行動には気づいていない様子だった。
どうすればいいか。考えていると、ナイフを持った手が、段々俺に近づいていた。
『な、なに・・す・・る・・んだ?』
言葉を出すのもやっとだった。
『言ったよね?浮気したら許さないって』
彼女は念を押すようにもう一度言った。
この言葉は、俺が告白したときに彼女が言った言葉だ。
俺があの時に全部聞いていれば、こんなことになる前に何とかできたかもしれない。
俺は何であの時・・・
後悔をしても仕方がなかった。
『浮気じゃねぇ!あれはただの友達なんだ!信じてくれ!!』
俺は早口で弁解した。
声を荒げそうになったが、そんなことをしたら、周りの奴らが気づいてしまう。
こんな光景を見られたら、きっとこいつは退学にでもなってしまうかもしれない
『彼女じゃないことは信じるよ?でもね、あたし以外の女とは友達でも喋っちゃいけないんだよ?
彼女はあたしなんだよ?他の女と喋らなくてもいいでしょ?』
彼女は当たり前でしょ?
とでも、言う風に言った。
彼女の声が少し悲しそうにも聞こえた。
俺は、こんな状態の彼女を愛しく思ってしまった。
行き過ぎた行為だけど、俺のことを愛してくれているからだ。
そう思うことにした。
『痛っ!』
突然右腕に激痛が走った。
恐る恐る腕を見ると、彼女が持っていたナイフを俺の右腕に当てていた。
『もうあなたはあたしの物。だれにも渡さないからね』
その時背中に寒気が走った。
あれが全ての始まりだった。
それからはどれだけ刺されただろうか?
数えても数えきれない。
でも、俺はそんなあいつを許してしまう。
愛しいあいつを許してしまう。
そして、俺が悪いんだと思うことにしていた。
『今日は沙里菜は休みかー、新しらないか?』
朝のHRで担任が俺に聞いてきた。
『知りません』
いくら幼馴染だって、そんなこと知るか。
『ねぇ、新』
彼女は少しだけ無邪気に呼んだ。
『沙里菜さん、どうしたと思う?』
『えっ、どうしたんだろうな』
俺は今までに感じたことのない寒気を感じた。
もしかして・・・
そんな思いが俺の頭を過ぎった。
『あの子ね。目障りだったの。幼馴染か何だか知らないけど、新の周りうろちょろするから
だからね・・・』
彼女は恥ずかしそうに笑った。
こいつの心情が理解できない。
『新のためだよ?これであたしたちずっと二人でいれるよ?
もう他の子とは喋らないでね喋ったら次は・・・あなたを・・・・から』
彼女は嬉しそうに言った。
最後の方は、ぼそぼそと呟くように言ったから、上手く聞き取れなかったが、
なんとなく俺はその言葉を理解してしまった。
休み時間になって、俺は彼女を連れ出した。
『まさかとは思うけど・・・お前、沙里菜のこと・・・』
俺は恐る恐る聞いた。
口の中が乾いて、声を出すのもやっとだった。
『気づいたら、あたしの本能がね。あなたを守るために、殺ったんだよ』
俺はその言葉に、涙が出てきそうになった。
俺はそっと彼女を抱きしめた。
『俺・・ごめ・・・ん。お前が・・こわ・・・いく』
言葉になってたのかは自分でもわからなかった。
『どうして、そんなに悲しそうなの?あたしはあなたのためにしたんだよ?』
彼女は本気でわからないと言った風に聞いてきた。
完璧に壊れてしまったんだ。
『ごめんな。俺のせいだ・・・ごめんな』
俺は必死に謝り続けた。
謝ったって、もうどうにもならないことは、わかっていた。
『あたしはあなたのためならどんなことでもするよ?新はもうあたしのモノだから』
もうこいつからの恐怖になれてしまったのか。
俺は、彼女のことをいつもの彼女だという錯覚に陥った。
俺は抱きしめていた彼女にそっとキスをした。
『新』
彼女は嬉しそうに俺の名を呼んだ。
俺は本当に恐怖になれたのか?
いや、慣れるはずがない。
それなら何故だ?
そうか。きっと俺自身も壊れてしまったんだな。
俺は様々な思いを込めて、しばらく彼女を抱きしめていた。
その日の放課後のことだった。
彼女は俺といる時以外は、いつもの彼女で、教室の掃除をしている。
俺はそんな彼女をただただ見つめていた。
『おい、新。ちょっといいか』
クラスの男子が俺に話しかけてきた。
そんなにすぐには掃除は終わらねえだろ。
そう思った俺は、そいつについていった。
屋上に着くと、そいつは心配でもしている風な顔で言った。
『お前さあ。よくあいつと付き合ってられてるよな』
『どういうことだ?』
『お前ちょっとシャツの袖めくってみろ』
そいつは俺の腕を指差して言った。
何でこいつ。
見てたのか?
『先に説明してくれ』
彼女のことを守りたい。
俺はその一身だった。
『わかったよ』
そいつは少しだけ、哀れみの目を向けてから言った。
『俺、前にあいつと付き合ったことがあるんだ。だけどよ、俺友達とかいねえから、いつも一人で
いるんだが。束縛きついし。ある日保健室一緒に行った時に、若い女の先生いるだろ?あいつに手当てしてもらった途端に目の色変えてよ。保健室出てからどこに隠してたのか。その傷をナイフで刺してきやがったんだぜ?』
そいつはその時のことを思い出したのか。
両腕をさすりながら、怯えたような顔をした。
『それでお前はどうしたんだ?』
俺はいたって冷静だった。
『そりゃ別れるだろ。でも、別れようとしても、中々無理でよ。別れるまでに2回はやられたな。
あいつと別れるためには強く突き放し続けることだな』
『そんなことであれが収まるのか?』
俺は信じられなかった。
そりゃ普通の奴なら突き放されたら、願いさげ。とでも言いながら離れるだろうけど・・・
『いや。俺も後で聞いた話しなんだが。あいつ昔付き合った男に、彼女でいることを迷惑扱いされたみたいでさ。だから付き合った相手が離れてしまうと思って、執着してんだよ。でも、最後には酷い捨てられ方したから、おんなじことすると、前の彼氏と被せてしまって、もう近づいてこないらしい』
あいつにあんな過去があるなんて・・・
俺は彼女に同情した。
こんなこと、先に知ってたら・・・
きっと俺が沙里菜と話していなかったら、彼女はこんなことにはならなかったはずだ。
『じゃあ・・・俺、彼女が待ってるから』
『えっ、あっ、ああ・・・』
そんなことがあった翌朝。
ピーンポーン、ピーンポーン、ピーンポ、ピンポーン
なりやまぬインターホン。
なれてしまったのか。昨日のことがあるからか。
俺はもう恐怖は感じなかった。
ドアを開けると、いつもの如くナイフを手にした彼女が立っていた。
いつものように冷たい目をしていて、俺は意味もわからずに、
玄関で彼女を抱きしめた。
『どうしたの?』
彼女は不思議そうに聞いてきた。
『意味はねえよ』
俺は何かが吹っ切れたように、彼女の手をとってリビングまで向かった。
『お前・・・俺のこと好きか?』
『当たり前でしょ』
彼女は俺の右腕にナイフを当てながら言った。
『そうか。俺もお前のことが好きだ』
『どうしたの?』
彼女はまた不思議そうに聞いた。
そして、手にしていたナイフを離した。
『なあ、俺とずっと一緒にいたいか?』
『うん・・・』
彼女は何が言いたいのかわからない。とでも言ったような顔をしていた。
今のこいつはいつものこいつだ。
異常なのは・・・
俺は彼女がおいたナイフを手にした。
『俺も・・・お前だけと一緒にしたい』
『嬉しい』
彼女は笑顔いっぱいに俺に抱きついてきた。
『し・・・・』
彼女は突然苦しそうな顔をした。
『新?』
『一緒にいたいんだろう?』
俺は冷めた調子で言った。
『痛いよ・・・』
『大丈夫。もう痛みもなくなるから』
俺は力いっぱいに右腕を押した。
彼女はもう何も言わなくなった。
俺は真っ赤に染まっていく彼女を抱きしめて言った。
『ごめんな。俺にはこれしか思いつかなかった。でも、お前のことを一人にはしねえから』
右腕のナイフを彼女から抜くと、自分の腹に向かって思いっきり刺した。
俺は意識がなくなる前に、彼女を抱きしめた。
『い、っしょ・・・だ・・・』
壊れていく彼女を自分のせいだと思い込んでいるうちに、そんな彼女を受け入れた主人公が、逆に壊れてしまった。
と、言った感じです。
前の方が良かったと思う人は、すいません。