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こわれるもの

作者:秦湊
 僕は確かに生きたいと願っていた。
 排気ガスを胸いっぱいに取り込み、やんちゃして、泣いて、怒って、笑って。僕には永遠に届かないものだと思っていた。彼らは皆幸せに見えた。
 もし健康であったなら、それを手にする努力をしないことは彼らの甘えであり、自堕落であると思っていた。

 俺は確かに死にたいと願っていた。
 何もかもうんざりだった。いつ死のうか、いつ死のうかと常に頭の片隅にそれを置いてきた。
 けれど結局死ぬことなんて無くて、俺がやって来るのを恐れている未来が轟音を立てて飲み込むだろうことを知っていた。
 こんな人生、欲しい奴がいればくれてやる。
 代わりに俺を殺してくれ。
 
乞われる者
2014/12/17 14:38
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