第二ノ章
今年もこの村に、暖かな春が訪れる。
様々な自然が、村人達の住処を造ってくれるこの村は、森に囲まれており、何匹かの動物達も、彼らと共に生きている。
鳥が、春の訪れを唄い、動物の親子も、微笑ましくじゃれあう。
植物達も、我こそが立派であると、美しい花を咲かせる。
そんな花達を、一輪一輪触れながら、コツキは一人、歩いていた。
背中に籠を背負い、軽やかな足取りで、森の中を進んでいく。
「どうせなら、綺麗なお花を見つけたいな〜」
コツキは、立ち止まっては、ジッと花を見つめ、気に入ったと思えば、籠の中に入れる。
籠の中は、色とりどりの花が入っており、どれもこれも綺麗で可愛らしい。
「お母様に、もっと喜んでもらいたいな〜、…もうちょっと遠くへ行ってみようかな?」
ー…そういえば、この村、この森の外って、一体どうなっているのだろう?
そもそも、この外に、何か違うところがあるのだろうか…?ー
「……」
遠くに見えたのは、色んな建物がある景色。
ところどころになびいているのは…布?
「…うーん…、よく見えないなぁ…」
コツキが、いくら背伸びをしても、同じことだった。
少女が見つめている先……
まさしく、村の外に広がる世界…。
まだ知らないことが多い、幼い少女にとって、それはとてつもなく大きなものに見えた。
「…あ!そうだ!お母様に聞いてみよう!
お母様は、何でも教えてくれるし、あのこともきっと分かるはず!」
ー何だか、心の中からふつふつと湧きあがって…!
抑えきれない、この感じ…、早く誰かに伝えたい!ー
「早くお家へ帰らなくちゃ!」