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物語の始まり


「お疲れ様。」


学校の教室にある教卓の上に座った男はそう話しかけてくる。


「おめでとう。」


男は意味の分からないことを言っている。

なにがおめでたいんだ?

そもそも俺はさっき学校から出たはずなんだが、

どうして教室にいるんだ?


「どうやら何が起こっているのがわからないみたいだね?

無理もないよ。ここに来た人たちはみんなそんな反応をするから」


みんな?

みんなって俺の同級生のことか?


「違うよ?

ここは君の記憶から作られた場所だからね。

わかりやすくいえば夢の中みたいな感じだね」


夢?

これは夢なのか?

あれか?白昼夢ってやつか?


「いや、勘違いしてもらっては困るよ。

君にわかりやすく言うためにその言葉をつかっただけだからね。

これは現実だよ。」


現実って・・・俺の体動かねえし、これが現実だっていうならどうして?


「まだ気づいてなかったんだ?

どうりで冷静なわけだよ。

自分の体を見てみなよ。首は動かせるだろう?」


俺は男に言われたとおりに首を動かしてみる。

・・・・・・ぎこちない動きだが確かに動くみたいだ

俺は首を下に向け、自分の体を見る。

そこにはグチャグチャになった俺の体があった。

うああああああ

と悲鳴をあげようとするが声は出ない。

俺の体は服が血で黒く染まり、ところどころやぶれ。肉が裂けてそこから骨が見える。

それは一目で即死と思うレベルの損壊具合だった。


「どう?

今の自分の置かれた状況を理解できた?

見ての通り君は死んじゃったんだよ。

それはもう潰れたカエルのようにべチャっといっちゃったんだよ?」


はぁっ・・・はぁっ・・・・と呼吸が荒くなっているのがわかる。

声は出ないが呼吸はできるようだ。


「君の声帯までは僕の力では再生できなかったんだよ。

とりあえずこうやって会話できるように脳を再生させたってわけ。」


再生・・・

そんなことをどうやって・・・


「そこはまぁ、僕の力で・・・ってそんなことを話している場合じゃないよ。

あまり時間もないんだから、手短に話すね。」


男は教卓から降りて俺に近寄る


「君はね。学校から帰る途中に死んじゃったんだよ。

なんでも居眠り運転をしていたトラックが突っ込んできて君はそれに気づかずにそのままドーンっと、

で、ここからが本題なんだけど、君はトラックに撥ねられて即死したんだけど君は運が良かった。

なんたってこの僕が君の担当になったんだから」


担当?

なんの?


「なんのってそれは君のこれからのだよ

これから天国に行って一生なにもせずに過ごすか?

他の世界に冒険の旅に出るか?

君はどっちを選ぶ?」


天国に行ってなにもせずに過ごすってのはわかるけど、

異世界って?


「異世界は異世界だよ?

この世界とは・・・地球とは違うところに行くんだ。

そこはなにもかもが地球とは違う世界。

きっと楽しいよ?

天国は本当に何もできなくなるよ

考えることも出来なくなってそのまま天国の一部となるんだ。

そんなのは嫌だろう?」


異世界・・・・ファンタジーとかそんなのか?


「そう!

そうだよ!

剣と魔法がある世界。

力があれば生きていける世界!

そんな世界だよ?

面白そうだと思うでしょ?」


楽しいそうに話す男をみて俺は自分の体がボロボロになっていることも忘れて笑ってしまう


「お?

笑ったね?

やっぱ君は天国なんかに行かずに異世界に行こうよ。

肉体も新たに与えられるし、今の記憶をそのまま持って行ってもいいからさ。」


男はなぜか俺を異世界につれて行かせたがる。


でも異世界って・・・俺に力なんてないしな・・・

生きていける気がしないよ


「大丈夫。

あの世界は努力すればそれだけ上がる世界だからね。

それにこの世界より過酷ではあるけれどその重力は一万分の一だよ?」


一万分の一・・・って言われてもよくわからない。


「君の精神をうまく結合させるために君の肉体を素体とさせてもらうからうまくいくはずだよ。

おっと、そろそろ時間のようだ。

じゃぁそろそろお別れだね。

もう君とは会うことはないかもしれないからバイバイと言わせてもらうよ。」


ちょっとまって!!

まだききたいこと・・・・


俺の意識は目の前の男が消えると同時に落ちていった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


再び目を覚ますとそこは知らない場所だった。

そこには俺の身長の何倍もある巨大な樹

空には、俺を照らす二つの太陽。

そして涎をたらした巨大な狼。

・・・・・・・・・狼?


『グルル』

狼は唸り声を上げながらこっちを見ている。


やばい、異世界?にきてから数秒でデットエンドしてしまう。

これはまずい


俺はどうにかしないとと思い周りを見回すが人ひとりいない。

どうやらここは森のようだ。

って違う!

今はそんなことを考えている場合じゃない。

逃げなきゃ!


俺は後ろを向き、走り出そうとして・・・・「ぎゃふっ」

こけた・・・

え?

自分の体を見てみるとそれはさっきまでグチャグチャだった俺の体ではなく、小さな子供の体だった。

・・・・つんだな

俺はそんなことを思いつつ立ち上がり狼の方を見てみるとなぜか狼は後ずさりしていた。

どうして?

狼は俺の方ではなく俺の後ろを見ているようだ。

俺は狼の見ている方を見てみる。

そこには、赤い鱗に覆われたとかげがいた。

その牙は濡れて太陽の光で光り、その巨大な爪には赤い血がついてる。その眼は他者を威圧する眼光を持つ。

俗にいうドラゴンっていうやつじゃないかな?

ドラゴンは俺の方を向き、口を開く。

あ、食われる

俺はそう思い目をつぶると声が聞こえてきた。


『人間の子供がなぜこんなところに?

ここは人の入れぬ結界で覆われているはず。

小僧、いったいどこから入った?』

その声は低く、他者を威圧するであろう声であったが、俺にはやさしい声に聞こえた。


「どうしてって・・・気づいたらここにいました」

俺がそう答えるとドラゴンは

『なるほど。

その力は異界からのものか・・

どうりであやつと同じ匂いがするわけよ』

ドラゴンは一人で何か言っている。

あいつってだれよ?


『小僧。

・・・いや、異界から来たものよ。

この森は人の入るべき場所ではない。

即刻立ち去るのだ』

「立ち去れって言われても、・・・じゃあ出口を教えてもらえませんか?」

『む・・・・よかろう

我が人の里まで送ってやろう

我が背中に乗るがよい』


ドラゴンは俺を人のいるところに送ってくれるそうだ。

そのまま騙してパクっていかれないよな?


『はやくせぬか』

俺はドラゴンに急かされ背中に乗る。

ドラゴンの背中はゴツゴツと鱗が硬くてかなり痛い。

しかも俺の体はめちゃくちゃ小っちゃくなっておるので乗りにくい。

俺が背中に乗ろうと苦労しているとドラゴンは、何かを発する。

その瞬間俺の体は緑色の光を浴びて空中に浮かび上がる。

ドラゴンは俺を自分の背中まで浮かび上がらせる。

俺はしっかりとドラゴンの鱗を握る。

鱗はすこし暖かくて不思議な感じがする。


『では行くぞ』

ドラゴンはバサッ、バサッと翼を動かし空を飛ぶ。

「うぉぉぉぉ。すげー」

俺はつい声を出してしまった。

ドラゴンは低く、ゆっくりと飛んでくれている。

このドラゴンすっごい良いやつ。


『ついたぞ』

ドラゴンはそういってまたなにかを発し俺の体を地面に下ろす。

『ここが人の里だ。

あとは自分でどうにかしろよ

これはくれてやる。売ると金になるかもしれんとあいつがいっていたしな』


あいつ?

ドラゴンはまた翼を動かし元の場所に戻っていく。

「ありがとー」

ドラゴンに礼を言うとドラゴンは『グァァァァ!』と大きな声で叫びながら帰っていった。

あいつ良いやつすぎる。


俺はドラゴンがくれたものを見てみる。

それはなにかの文字が書かれた宝石のような綺麗な石がはまっているネックレスだった。


それを首にかけ、人のいるところを目指して歩き出す。

行き場所はここから見える街だ!

マンションが一切なく、ほとんど煉瓦と木でできているところをみるとやっぱりここは異世界のようだ。

そして俺は新しい体を手に入れたらしい。

ちっちゃい子供の体を。

あれ?親は?

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