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短編2 殺し屋トラップ

 ナナと丸井のデパ地下に行った次の日、俺はトラップ屋という怪し過ぎる店に出向くことになったのだがそのことがしばらくしてあんな事態を招くことになるとは....。









 なんだかこの日は朝から違和感があった。


 んー?なんか今日はいつもと家具の配置が違うような。


そんなことを考え、辺りを見てみたがやっぱりとくに変わってる様子はない。


 気のせいかな。


そう思い顔を洗いにいこうと部屋のドアを開けたら....。







 バリバリバリ!!


「っっ!!?」


声にならない叫びってのはこんなんだろうな。


ドアノブをひねると突然俺の体に電気がながれた。


 別にドアの向こうにとびきりの美人がいて、俺が恋におちた、とかそんな比喩表現じゃないよ。

リアルに電気ながれたの。ドアから。バリバリバリーって。



「し.びれ゛..る゛。」 通常ではありえない貧乏ゆすりしている俺。


「この゛..まま゛じゃ...じ..ぬ゛。」




 しばらく流れ続けたが、こどもの頃飼ってた九官鳥が手招きしているのを認識した途端、ぴたりと止まった。



 はぁ。助かった。


 電気椅子での死刑執行はやめたほうがいいよ。

まじで。


 あぁだめだ。ふらふらする。




かちっ。


かちっ?



フュンヒュン。ヒュンヒュンヒュン。


「っっ!!?」


本日2どめの驚きのあいては四方から飛んでくる刃物だ。恐怖で身動きの取れない俺の横を様々な刃物が横切る。

包丁とかナイフとか彫刻刀などなど..えとせとら。


「....ぶっ!?」


刃物の嵐を締め括ったのはなんも変哲のないボールだった。(顔面におもいっきりあたったけど。ものすごくはやかったけど。)



 そのまま床にぶっ倒れた俺はまた変なスイッチを踏んで、変な箱がでてきた。


「あんたがこれをきいてる頃にはもうあんた死んでるかもしれないけど一応説明したげる。」


 箱からいたずらが成功した時の子供のような声が聞こえた。



やっぱこいつか。こいつ以外ありえないけど。


「最近怪我も治ってきたんでいっちょ殺しでもやるかーってことでやってみました♪」






やってみました♪じゃねーよ。軽いって。そんな魚屋にでもいってくるかーみたいなノリで人殺そうとすんなよ。あっ。でもこいつ(ら?まだ2人しかみてない)が俺を殺す理由ってそんな感じのふざけたやつなんだっけ。




.....どうにかして。ほんと。



「別にせっかく買ったトラップを使わないのはもったいなーとかそんなんじゃないから。」



 こんだけ素直なやつもいないだろうな。絶滅保護動物に指定してやろうか。引き取り先は愛護協会でいいかな?



「だから、あんたがもし生きててもまだたくさんあるから。あんたの通学路とかに。」



...決めた。今日はこの部屋から一歩もでない。

つーか通学路って。たまたま通りかかった人が不憫でならない。


「ちなみに、あんたが学校来なかったときはあんたが楽しみにとってたケーキ、捨てるから。あえて食べないから。」




 ...行かねばならない理由ができた。

 つーかお前の血は何色だー!(一度いってみたかったんだ。これ。) 




「それじゃ。頑張ってね〜。あっ。わかってると思うけどお約束でこれ、爆発するから。0.2秒後に。」



早すぎ!!



ちゅどーん!


火薬の量多過ぎだろ〜!


爆発から逃げれるわけもなく、俺は盛大に吹っ飛んで窓から家を出ることになった。(着替えてないんでまた戻るけど。)










 今までのが今朝の出来事の流れだ。

んで今いるのが学校から500メートル離れた場所。 そこで俺は今立ち往生している。何故立ち往生してるのかというと、ここから学校までは一本道だからだ。ここまでは自分の通学路を避けて通れたが(おかげで確実に遅刻だ)ここから先はそれができない。

 つまりはこっからが正念場ってこと。慎重に進まなければ速攻でトラップの餌食だ。


 だが、しかし。俺は行かねばならない。それが俺の使命だから。俺が行かなければ大切なものを救うことができない。決してできないのだ。決して。


よし!行くか!!


自分を鼓舞し前へ進みだす。







....でもなぁ。

痛いのはやだなぁ。もう遅刻だしなぁ。


突き出した足をまたもとに戻す。


はいろかっなぁ。やめようかなぁ。考え中。

別に英会話はしないけど。(これ、わかるか?)




 なんてことをさっきから繰り返していると、20回目の足を引き戻したところで、




「おーい。どうした?お前も遅刻か?」



 突然後ろから話しかけられた。この声は...


「やっぱり谷か。お前もどうした?遅刻とはめずらしいな。」



 そういえばこいつの説明をまだよくしていなかったな。まぁする価値があるとは思えんが。

 でもなんだかしておかなくちゃいけない気がする。

 名前は谷 河。これでフルネーム。

どうやら両親がいたい人らしくなにを思ったのか息子にこの名前をつけた。ちなみに谷の妹は苺って名だ。(知ってたか?この漢字はつい最近使えるようになったんだよ。多分2年前くらいかな。この子も確か2才だから両親の物好きさがうかがえる。)


 谷はこんな名前だからいじめられてたらしい。でもいじめてたやつを片っ端からぶっ飛ばしてたからいつしかいじめるやつがいなくなったんだって。(実はこいつすごく強いんだよ)


 そんな生活をしてたから友達もできるわけもなくヤンキー予備軍みたいな感じだったんだと。確かに初めて会ったときは感じ悪かった...ような気がする。

でもこいつとは馬があって、すぐに仲良くなった。それからいろいろと小学校から一緒のスズメと3人て遊んでたら、いつのまにかこんなかわいそうなやつになってた。

 まぁ谷が言うにはそれなりの理由があるらしいが(しかも原因は俺らしい)


そういうわけで今では健全....ではないな。

まぁそれなりに高校生を満喫しているっぽい。最近はとばっちりでひどいめにあってるので(主にナナ関連)、軽く同情するが。

 でもやっぱりとばっちりで同情してたら不本意ながら中心人物になってる俺がかわいそ過ぎるのでやめることにしよう。



成績は中のでもばか

運動は上のでもばか

顔面偏差値60(でもやっぱりばか)

性格はばか。(もうひどいぐらいばか)


それが俺の親友といってもいいかもしれない谷というやつだ。





「俺が遅刻した理由?それがさー昨日ナナちゃんに呼ばれてさー。なんか日曜大工みたいなことを一日中やらされたんだよ。もう疲れちまって。そんで家帰って寝て、起きたら今だったんだよ。」



さては今日の下準備を谷にやらせたな。俺がやったらばれちまうもんな。




「そういえばなんでお前はいなかったんだ?絶対いると思ってたのに。」


 なんとなく白々しく聞こえるのはきのせいか?


「ん?なんかいったか?」

「いや。別に。それより俺がいないとなんか問題でもあるのか?つーか俺とあいつがいつも一緒いると思うな。」



「ふーん?まぁいいけど。」


なんだその顔は。



「あーそれにしてもナナちゃんと二人っきりはそれはそれは楽しい一時だったなぁ」


 あっそ。それはよかったな。さっきは疲れたって言ってなかったか?



「へへ!冗談だよ!そんな顔しなくても。」

 別に顔芸したつもりはなかったが谷は俺の顔を見て笑った。


「昨日はみんな来てたんだよ。来てないのはお前だけ。女性陣は何か裁縫やら料理教室やらをやってたなぁ。」


 何ニヤニヤしてんだよ。



「べつにぃ。なんでも。」

 ..なんかむかつく。



「裁縫って?ナナもか?」



とてもじゃないが似合いそうにないな。


「さぁ?本人に聞いてみれば?」



くそ。さっきからなんだ。やっぱむかつく。  殴っていいか?


「殴っていいかと聞かれて肯定するやつがいるかよ」


 お前、ツッコミおもしろくないなぁ。その返しはかすレベルだぞ。


(ちなみにさっき谷がいったみんなとは、ナナが気に入り、ブックマークされたやつらのことだ。メンバーは谷、エリザさん、スズメ、あと一人は後ほど。)



 「うっせい。っと、こんなとこで立ち話してる場合じゃないな。どうせもう遅刻だが、早くいくに越したことはないだろう。俺は先に行かせてもらうぜ。一緒にいたらサボりと思われるからな。」



そういって時計を見てさっきまでのきも顔を瞬時にイケメンフェイス(つまり無表情)に変更させ、そのまま颯爽と走りだした。



 こいつがやると妙に似合うな。忌ま忌ましい。


さてと、俺も行くかな。




 ...あれ?何か忘れているような.....。







 .....あっ。



 ちゅどーん。



「うぎゃー...あぁ.....ぁ..。」



いっけね。忘れてた。

危ない。危ない。



 でもよかった。はやめに思い出せて。




 えっ?谷? さぁ?

今日の夜は星が一つ増えてるんじゃね?今夜は曇りらしいけど。



にしても歩いて速攻かよ。これは注意しないと。




ちゅどーん。



結局俺もかー!!


こうして地獄が始まった。




 はぁはぁ。疲れた。やっと着いた。もう夕日傾いてんじゃん。さすがにマントルにまで繋がってそうな落とし穴に落ちたときはやばかった。



「アハハ!アハハハハ!」


このあほみたいに笑っているやつは...


「アハハ!あんたおもしろすぎ。まさか全部の罠にひっかかるとは思わなかったわ。」



でた。全ての根源やろう。こいつどっかで覗いていたな。

「おいこら!あほナナ!なんつー非常識なことやってんだよ!おかげで9回は軽く死ねたわ!」


んっ?全部?一本道になるまでは一つもひっかからなかったが。



「あんたばかねー。いちいち確率が低いところに仕掛けるわけないじゃない。それなのに、うろうろうろうろ通学路を避けて通って笑えたわ。もしかしてわざとやってたの?」



このあほ女め。覚えてろ。いつかお前の鼻にミント詰め込んですーすーさせてやる。あれはいやだぞ。無駄に鼻通りがいいと不愉快だよな。痛いし。...俺だけ?


まぁそんなことは後でチャンスが来たとき実行せればいい。今はもっと大事な用がある。


「さぁ!約束の品を返してもらうぞ!あれは高い割に量が少ないんでめったに食えないんだ!」


 最近つらいことが多いんで無理して買ったんだ。わかってくれるだろ?


「あーあれね。食べちゃった。」


 へっ?


「だから、おいしそうだったんでつい...。」


「つい、じゃねーよ!!なに食ってんだよ。約束違うじゃねーか。弁護士呼べ!恰幅がいい女の人と、笑わない男と、笑えない男と、のんだくれみたいなやつ以外で!」



「うっさいわね!ないものはないの!だいたい来なかったら捨てるっては言ったけど来たら返すとは言ってないわ。」


 くっ。こいつ開き直りやがった。こうなったらあきらめるしかない。

 あぁ。


なんのために俺は命懸けでここまで来たんだ。あんまりじゃないか。

今日はハンバーグって聞いてたのに突然肉じゃがになってた時のこどもぐらいショックだ。こどもは何か食えるだけまだいいが俺は朝からなにも食ってない。


本気で落ち込む俺とばつのわるそうなナナ。


「.......」


「....はい。」


「....?」



 なにこれ?


落ち込む俺に突然差し出して来た。



「ご褒美よ。ご褒美。せっかく奇跡的にここまでこれたんだからありがたくあげるわ。」


犬か、俺は。



差し出されたものは、小さな箱だった。



 開けてみると形の悪いチョコレート?とこれまた形の悪いキーホルダー?だった。



「あんたなんかのためにお金かけるのはもったいないからよ!」


とかなんとか。


 なにも言わずにチョコを食ってみる。


 「.....。」


 意外とうまい。



ナナがちらちらこっちみてる。



 俺がこいつに何て言おうか迷っていたら...




どーん!


「っっ!!」


本日3どめのおどろきは突然打ち上げられた花火だった。



 なんだ?



「誕生日おめでとう!!」


 はっ?誕生日?だれの?

「やっぱり忘れてる。」


そんな声が聞こえたので後ろを見てみた。


そこには見慣れた顔ぶれがいた。


スズメにエリザさん、焦げてる谷に担任氷川とその金魚のふん、青田までいた。


 えーと?どういうこと?


「私はいやだっていったのよ。でもスズメがどうしてもっていうから。」


とかなんとかナナがつぶやいている。



「さて、どういうことでしょうね〜」


「あ〜。思い出した。今日は俺の誕生日か。でもどうして突然こんなことを?」


「君って自分のことあまりしゃべらないじゃない?だから君が満足に誕生日を祝ってもらってない知らなくてね。そのことをナナに教えてもらったから、じゃあ私達で祝ってやるかってことになったってわけよ。」


 そういやそんなことを以前いったような気がするな。



「でもね、急にはお店が予約できなくて、そのことを氷川先生に相談したら、先生が監督するから学校でやればいいって提案してくれたの。」


っとエリザさん。


ふーん。氷川にもいいとこあんのな。



「学校でするって決まったはいいがどうやってお前に気付かれずに出来るかってのが問題になってな。その日、学校に来たら絶対ばれるし。どうせだったらサプライズにしたかったしな。」



だから今朝あったときは少し変だったのか。


「変だったか?。まぁいいや。お前鈍感なんでわからなかっただろ?」


 鈍感とは失礼な。俺は意外と空気を読む男だぞ.....ってあれ?違う?


ナナ以外(さっきからぶつぶつとつぶやいて話し聞いてない)が谷に肯定していたのでちょっと不愉快な気分になる。



「ふふふ。それでねその問題を解決してくれたのがナナちゃんだったの。」



ナナが?..ってまさか。今日の出来事はこのためにしたのか。



「大当り〜♪まさかこんな内容とは思わなかったけどな...。」



焦げた部分をなぞりながら谷はそう言った。


 ちらりとナナのほうをみたが相変わらずぶつぶつなんかいってた。


「....なによ?」



「いや、別に..。」


 他に方法がなかったのかとかは聞きませんよ?


「いいたいことがあるならいいなさい。



 それもそうだな。


「ありがとな。」


「っっ!!」


 こいつの多分今日初めての驚きだったらしい。


「はっ?何いってんの!?えっと、その、だから、だから、私は仕方なく、じゃなくて、そう!奇跡よ!き・せ・き!私はあんたのためやったんじゃないにょ!」



 あ、噛んだ。



「ここまで来るのに相当な運をつかわなきゃだむなのよ。あんた今日で全部、運を使っちゃってかわいそうだからプレゼぇントしてあげ....じゃなくて。あれ?私はもともと殺す気で....あれ?..あれ?..もう、どうでもいいけじょとにかく違う!!!」


 何が?

あとお前噛みすぎ。噛むはずがないとこで噛むなよ。



「うるさい!!わざとよ。これが今の標準語なのよ。わかった?田舎者!!」」


そんな標準語なら田舎がいいね。のどかだし。



「みんなもありがとう。その、なんだ、こんな経験初めてだけど..えっと、普通にうれしい..です。ほんとありがとう。」




「どういたしまして」

「へっ。結構いいだろ?」

「あら。素直ね。」

「....ふん。」



各々が返事をする。みんな何故だかうれしそうだ。

一人だけ怒ったようにしてるやつがいるけど。



「ほら。せっかく作った料理が冷めてしまうぞ。」



「そうだね。じゃあいこうか。」


そういってみんなが校内に入っていった。


「何やってんのよ?さっさと来れば?」


「あぁ。今行く。」


俺はみんなのところまで走りだした。






「..あっ。忘れてた。」


 えっ?何?



ちゅどーん




「そういや校内にも一つ仕掛けてたんだっけ。」



「先にいえ〜!! この...んなぁ!!俺と...なじ..しやがって〜」




「にしても、こんだけ広い校内でたったひとつのトラップにひっかかるってどんだけ?」



 俺がいなくなった後ナナがそうつぶやいた。とかつぶやいてないとか。

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