かなりちがう日常
さて、突然で悪いが今日の出来事をおさらいさせてくれ。
今日は俺記念日だったのでテンション上げて早めに家をでる。
しかし途中で道を間違え結局遅刻ぎりで登校する。
いつものこれといって代わり映えしない学生生活が終了。(氷川の件は心の傷が深すぎるので自主規制)
帰ったら高級ケーキが待っているのでうきうきと帰宅。
帰ると知らない女が俺ん家にいて突然殺すと言ってきた。以上今日の一連の流れでした...。
うん♪意味わかんね。
何?最後の行?自分でおさらいしてなんだがわけわかんないね。誰かわかりやすく説明してくれ。
「..ちょっと..」
それともこれはもしかして夢か?
「 ..だから..」
突然どこからか目覚ましがなったりするんじゃないのか?
「人の....」
あぁなんだかそんな気がしてきた。
「..いいかげん.」
だいたい今日はなんかおかしいと思ってたんだ。
「...あんた..」
ところところ記憶があいまいだしな。
「..ほんと..」
あぁ早く目覚めねぇかな目覚めたら今日は学校休もう。夢の中で学校いったんだからいいだろ。
「人の話し聞けってゆってるでしょうが!!」
「みぎゃー!!!」
...夢じゃありませんでした。だってすんげぇイテェもん。
あぁ、意識が...俺はここで死ぬのか..短い人生だったな...せめて!...せめて!!..最後に..ケーキを食べた...かっ....た..。
こうして俺は、突然現れた意味不明女によって、16年という短すぎる人生は楽しみだった洋菓子も食えることなく、いきなり撲殺という終わりかたをすることになった。(ひど過ぎないか?これ。)
劇終
「んなわけないでしょ」
へっ?なんで?
「いやなんでって言われても...」
そういえば俺まだ生きてるのか?それともここが所謂天国というところか?今から天国が舞台なのか?
「しゃべってるんだから生きてるんじゃないの?天国がこんなくだらないところなら私は地獄に行くことにするわ。泣いた赤鬼に出て来る青鬼はいないかしら?友達になってあげるのに...。」
あー青鬼な。いいやつだよなぁあいつ。
「そうよ。あんたも青鬼を見つけたら家に招待して茶菓子だしなさい。」
そうだな...じゃなくて俺って殺されたんじゃなかったけ?にしては現実感あるし。それにさっきから体中がずきずきする。特に顔が。
「っていうか目を覚ましたんならとっとと起き上がりなさい 」
イマイチ現状がのみこめない俺は声のいうとおりにすることにした。にしても本当にわけわからんな。 恐る恐る目を開けると目の前にはいつもと同じ毎朝毎晩見る光景が広がっていた。
ここは俺の部屋か。どうやら俺はまだ生きてるらしい。体はいたいが透けてもいないし、足はまだある。
「そうよ私が運んでやったんだから感謝しなさい」
「どうもありがとうございま....ってうわぁ!!」
「!!何?人を見た途端叫びだして。」
当たり前だろが。なんで今まで俺は普通に会話してたんだよ!?ばかか!?俺は!?だいたい俺殴った張本人じゃねーか!!
「お前は何者だぁ!!」
「はっ?そんなこと?まったく、しかたないわね、一度しか言わないから二度と忘れないように頭にでも彫り込んどきなさい。」
彫り込んでも自分でみれなきゃ意味ないんでお前の頭に彫り込こませてくれ。とは口が裂けてもいわないがな。怖いから。
「いい?私はね...」
うん。お前は..?
「殺し屋よ!!!」
...本気で言ってんのか?こいつ?
「なんでこんな嘘をあんたなんかに言わなきゃならないの!ばか?」
それがわからないから聞いてんじゃねーか。
「だから1番最初に言ったでしょ!あんたを殺しに来たって。あんたほんとばかね!もう一度猿からやり直してきたら?」
「だったらなんで俺が昏倒してるうちに殺さなかったんだ!?そもそも俺が殺される理由がわからんは!!」
「それを説明するために生かしてやったんでしょ!わけもわからず殺されるよりましかなって思った私の慈悲深い心に敬意を込めなさい!」
あんたが慈悲深いならその辺に転がっているお魚加えた猫は仏様かなんかか? まぁ俺も理由も知らずに殺されるのは本意ではないな。つーか殺されたくないけど。
「あんたが私に殺されることは決定事項よ。無理。どうしようもない。さよならバイバイよ。」
めっちゃ軽いな。まぁ一通り怒鳴ったら不思議と落ち着いてきたな。お前の説明とやらを聞いてやろーじゃねーか。
それにしても人様に殺されるほど怨まれる人生は送ってないような気がするが。
「あんたがどんな奴に怨まれてるか知らないけど今回は関係ないわ。」
??殺し屋って奴は依頼を受けて殺すから成り立つんだろ?依頼なしだったらウォール街にいたやつと変わらないしな。
「別に怨恨だけが殺しの理由じゃないでしょ。逆にそういうのは突発的なものが多いから依頼は少ないほうね。」
じゃあ俺に保険でも架けられてるのか?俺の両親ならやりそうだが。
「そんなんでもない。あんたの両親ってどんなやつなのよ?」
『くず』だな。妹は好きらしいが俺は大嫌いだ。顔も見たくない。
「ふーん。あんたも意外に大変なのね。..じゃなくて先に進まないでしょ少し黙ってて。」
そういいいながら意味不明女は拳を高く上げ始めたので俺は口だししないことにした。
「あんたさ、今朝に変なカプセル拾ったでしょ。」
「......。」
さらにあいつの拳に力がこもってきているのを感じた。
あっ。これは答えていいのか。
「カプセル?そんなの拾ったっけ?」
「見つけてんのよ!」
...結局決めつけるならいちいち俺にきくなよな。
「あー。もしかしてこのガシャポンのことか?そういやいろいろあって捨ててなかったな。」
「ほら♪やっぱり拾ってるじゃない♪」
「!!」
いきなりそんな顔しないでくれよ。
俺が少し目のやりばに困るじゃんか。
なんでかって?知るか。でも、ただ...何となく懐かしい感じがした。
「どうしたの?気持ち悪い顔して。あっ。ごめんごめん。顔はもともと気持ち悪いか。」
...やっぱこいつむかつくわ♪
「それはそうとこのガシャポンがどうかしたのか?」
「そうそう。そのカプセルに変なプレートが入ってたでしょ?」
「あぁ。あのこどものいたづらみたいなやつな。入ってたけど。」
「それ。」
「.....はっ?」
「だから、それ。」
「いや、意味わかんないですけど。」
「だからぁそれがあんたを殺す理由だって言ってんの。」
「いや、だからぁ意味わかんないって言ってるんですけど。」
「はぁ。なんでこんなやつがカプセル拾ったのかしら?いい?そのプレートは初めて触った時にカメラが作動するようになってんの。んでその映像を私達殺し屋に一斉に送信するわけ。」
それで?
「その映像に写ったやつがターゲットになるの。わかった?。」
「全然。さっぱり。なんでガシャポンに入ってるプレートさわるだけで殺しの対象にされるんだ?」
「だってこれ試験だし。」
試験?
「そっ。殺し屋新人対象の試験。」
「ちょっと待て。じゃあなにか?俺がそのプレートを拾わなかったら他のやつが殺しの対象になってたってたってことか?」
「そうよ。あんたは運がわるかったってこと。」
「いや。おかしいだろ!?お前らは試験のためだけに見ず知らずのやつを殺そうとしてるのかよ!?」
「そういう試験なんだから仕方ないでしょ。だいたい知ってる奴だと個人で差がでて不公平じゃない。」
...呆れ果てるとはまさにこのことをいうんじゃないか?なんでこいつはこんなことをさも当然のことのように言おうとするんだ?頭おかしいだろ。絶対。
「そうか。わかった。」
「やっとわかったのね」
無邪気にうれしそうな顔すんなよ。
「あぁ。お前がどうしようもないばかやろうだってことがな!」
「!!!何?今なんていった?」
聞こえなかったんならなんどでも言ってやる。
「お前がばかやろうだって言ったんだ!」
「...あんた、短い命をさらに短くしたいの?」
こいつの上機嫌の顔がみるみる不機嫌な顔になっていった。
だが俺にはそんなの関係ない。なぜなら俺は自分でも信じられないぐらい激昂していて冷静じゃなかったからだ。
「殺すんならさっさと殺せよ!!そのためにお前はここにいるんだろう!?」
「言われなくても殺してやるわ!!待ってなさい!」
どうして俺はこんなに怒ってるんだろうね。俺を殺すって言われたときはあまり怒りを覚えなかったのにな。なんでか知らないけどこいつがあんなことを平気な顔して言おうとしてたのが我慢ならないんだよな。
「あぁ。待っててやるさ!とっとときやがれ!!」
こうなったらもう引っ込めない。俺はかまわずどなりつづけた。
「ホントのホンキでやるからね!?わかってんの?死ぬってことが!?」
そういうあいつの体は今にも崩れおちそうなくらい弱々しく、震えていていた。
やっぱり。こいつ無理して演じてやがったな。 無理して悪人ぶって自分はそういうやつなんだって型にはめようとする。昔からそんなや...あれ?俺がこいつのこと知ってるのか?
「私はやらないといけないの。そうしないと。....私は..。」
ぶつぶつと自分に言い聞かせるよう、なにかを唱えながらゆっくりと近づいてきた。そして小さな刃物を取り出した。これが暗器ってやつか?
「覚悟はいい?」
「あぁ。いいぜ。」
不思議と死ぬことへの恐怖はなくさっきまでの怒りもどこかにいってしまっていた。
「じゃあ。さよなら。せめて痛くないようにしてあげる。」
震える手が俺の心臓に近づいきたところで俺は目を閉じた。さすがに自分の心臓が貫かれるのは怖くてみてられないからな。
「....!!」
ガッシャーン!!!
「...ヒャッハー!!」ガラスの割れる音と共に無駄にハイテンションな声が部屋中に鳴り響いた。
なんだ!?
「同業者よ!!」
びっくりして目を開けた俺の目の前には安堵した表情の自称殺し屋がいた。
続く