プロローグ いつもの日常
コメディーです
俺は今日はご機嫌だ。多分1ヶ月の中で1番 機嫌がいいんじゃないか?
正直この日この日のために生きているといっても過言ではない。
なぜなら今日は1ヶ月おつかれ俺ということで決めた俺記念日だからである!
... あ..引かないでくれよ。小さい頃からの習慣だから今更やめるのもな。楽しみだし。(一度妹に
「女の子みたいだね」と言われたのは軽くトラウマだが。)
さて、 その記念日の内容はというと...なんてことはない、自分の好きなものを腹一杯食べるという単純なものさ。皆も似たようなことは毎月一回くらいはやってるだろ?
だから俺はこの日は一ヶ月ぶりの素晴らしい朝となったわけだ。
いつもであれば限界ぎりぎりまで寝ているだろうが今日は特別だ。小学生が遠足の翌日は、早く起きるのとおんなじだな。 なんせ昨日学校遅刻を覚悟で朝から2時間もならんで買った高級洋菓子店[神楽]の限定20個の詰め合わせセットだからな。テンションが上がるのも仕方ないってもんさ。わかるだろ?
そうして朝から妙なテンションのまま俺は家を出た。 このテンションのせいで後々大変なことになるんだがこの時は思いもしなかった。って言うか想像できるわけがない。これ想像できたら賞状でも提供しよう。 暇なやつでもいたら考えてみてくれ。
.....。
.....。
....。
...ん?このあたり あんまり見覚えがないけど道を間違えたか?
あ...しまった。さっきの角は右か。こっちは子供の頃向かいに引越して通らなくなったからな。
....まぁいいか。時間ならまだかなりあるしこの辺を散歩するのも悪くない。
あれ?この辺はなんか見覚えがあるような気が。 あ!わかった!ここ俺が小学生になる前までいたところじゃん。こんな近くにあったのか。こどもの頃はすっげー遠くから来たとおもってたけど、案外近くにあったんだな
それにしてもなつかしいな。
そうそうこの川原でよく遊んでたなぁ。
確か俺と妹とかその辺の奴らとあほみたいに遊んでたっけ。あの頃は何をしても面白くて毎日が記念日みたいなもんだったからな。 いつからだろうね?こんなに心が荒んでしまったのは。 そういえば...たまにだけど遊んでた子がいたな...。そいつが来るのは決まって俺が一人で遊んでる時だった。
確かそいつに初めて会ったのも皆の都合が悪くて俺一人で遊んでた時だったな。
その日俺は夕日が沈む瞬間をみるという画期的な遊びをしていた。皆もやってみてくれ。一分が十分になるから。この素晴らしい遊びをしている俺に向かってすんげーつまらなそうな感じでいきなり話しかけてきたんだ。
「あんたさぁ そんなくだらない遊びして楽しい?」 初対面であんた呼ばわりするかね?ふつう。(そういや今思えばよく遊んでるってわかったな。端からみりゃ変なガキが夕日をばかみたいに眺めてるだけなのに)
まぁ いきなりあんな言い方さりゃ怒るわな。当然俺は文句をいった。 「なんだと!?おい!お前ちょっとこっちこい!一緒に遊ぶぞ!?こら!」
............我ながらアホっぽいな。
まぁ一緒に遊ぶことでこの遊びの素晴らしさを俺なりにわからせようとしたんだろう。...多分..。
それにしてもどっちも口調がとても小学生になる前の子供とは思えんな。
それはいいとしてそいつは多分呆れたんだろうね。
その日はそれだけ言うと帰りやがった。 っと思い出に浸るのもいいがこのままじゃ遅刻してしまう。
しかしこのままいっても学校にはいけそうにはないな。
しかたない。一旦引き返すか。
そう思い来た道を引き返した俺だが途中である物を見つけた。
あれ?さっきはあんな球あったっけ?
どうしてかわからないが俺はそれが妙に気になり、近くに行き拾ってみた。
「なんた゛...ガシャポンか」..さてはどっかのガキが中身だけとって捨てたな。
まったくこんなんでいいのかね?この国の将来が不安になってきたよ俺は。
あれ??まだ中になんか入ってんじゃん。これは..プレート?どっかの戦隊の変身道具か?ちなみに俺がガキの頃ならカマキリをモチーフにしたヒーローキャラ歴代全ての主人公の変身シーンを真似できたぜ。
...別に自慢にはならないか。
なんか小さく書いてある。 んっと?なになに?
《おめでとう!あなたは見事選ばれました!!》
なんじゃこりゃ?
なんに?
せっかくなけなしの金払って買ったのにこんなんだったらそりゃ捨てたくなるわな。
すまんな名も知らぬ少年(少女か?)よ。さっきは悪くいってしまって。お詫びといったらなんだが、君の罪を軽くするため俺が責任を持ってこいつをデストロイ(ごみ箱ぽい)しておこう。
さてと...。あっ!
いけね。こんなことしてたらまじ遅刻する。さすがに2回連続で遅刻は勘弁してほしい。
俺はカプセルをもったまま元来た道を引き返した。
なんとか遅刻せずに教室に入ることができた俺は自分の席に向かうべく歩きだした。
? 気のせいか視線を感じる。気にせずに席に向かうと今度はくすくすと声を殺した笑い声がしてきた。
??あれー?俺何かしたっけ?確かに今日は少し早くきたけどそんなの関係ないよな?それとも俺じゃないのかな?
くすくす笑いは俺が席に近付くにつれて大きくなっていったところでようやく気付いた。
そうか。昨日席替えしたんだった。危ない。危ない三回連続で同じ過ちをするとこだったぜ。
俺がもう間違えないことがわかったのかくすくす声は落胆のため息に変わって一番大きな声で笑っていたやつがこっちに近づいてきた。
「あーもぅ!なんてことしてくれるのよ!」
?なんの話しだ?
「君が席を間違えるかどうかの賭けに決まってるでしょ!。せっかくプリンを賭けてたのに...
プリンだ〜?
よく見ると後ろのほうでガッツポーズしてるやつと目の前にいるやつと同じ顔してるやつが何人かいた。
コイツラ俺を賭けの対象してやがったな。しかも喜んでいるやつが一人しかいないじゃねーか。
... 俺って回りからそんな風に見られてたのか。 ちょっとショック。
「いやー。俺はお前のことを信じてたぜ。」そういいながら男が近付いてきた。
うそつけ。どうせ皆同じじゃ面白くないからとかそんな理由だろ?つーか俺を賭けの対象にすんな。罰としてお前の勝ちとったプリンは没収だ。俺によこせ。
「結局プリン食べたいだけなんだ..」少し呆れたような声が男の後ろからした。
「いえいえ。そんなことはありませんよ」
俺は声の主に敬意を持ってお答えした。
彼女の名は有栖川宮 エリザベスといって父親が日本人母親がイギリス人のハーフだ。
ハーフの人は顔が整っているとよく言うがこの人も例外じゃなかった。
綺麗な金髪と碧眼でしかもおとなしくていい人ということで人気は凄まじかった。いわゆる学園のアイドルというやつだ。理由はわからないが彼女は1つ年上で留年していた。ちなみに最初に話しかけてきた2人のうち1人は女、もう1人は男で前者は小学生から、後者は中学からの腐れ縁だ。
「なんだかすごく失礼なこといわれた気がする。」 「奇遇だな。俺もだ。」
... さすが勘だけはいいなこの2人。今度から気をつけよう。
ピンコーン ヘンコーン
チャイムか。いつも思うが、このチャイム音痴すぎるよな。なんか意味があるのか?
「おーし。お前らきてるかー?来てないやついたら私に教え...なくていいや。めんどくさい。委員長。出席確認とあとついでにHRもやってくれ。」
相変わらずの職務放棄だな。HRまで他人任せはと。
まぁそのおかげで俺は委員長に遅刻をごまかしてもらえるんだが。
ちなみに委員長はもちろん有栖川宮さん。ではなく意外や意外あのばか女。もとい小春 スズメ だった。
そして今日もいつも代わり映えのしない日常が始まった。