EP3 『本部。』
「はぁはぁはぁはぁ・・・。もうっなんなのよ!!なんでこんな事になるのよ!!」
瑞希は真美の待つ家へ走り続けた。この事態を受け入れまいと現実から逃げるかのように。
「・・・あいつ、大丈夫なのかな・・・。」
「まだ、こんなところにいたのか・・・。」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「何故驚いている?」
「いきなり話しかけられたら、誰だって驚くわよ!!」
「・・・そうか、すまない。」
「・・・。あんた、さっきのバケモノはどうしたの?」
「問題ない。葬った。」
「はぁ〜〜。よかった〜。」
「俺は、これから狩人の本部へ戻る。お前はいつもどうり生活するんだ。そして今日のことは口外するな。」
「わかってるわよ。」
「・・・じゃあな。」
そう言うと光はどこかへ走り去って行った。
「ただいま〜。」
奥からエプロン姿の真美が出てきた。どうやら食欲旺盛の瑞希の為にまた夕飯の支度をしていたようだ。
「おかえり!!遅かったね。」
「えっ、あぁ〜その、ノートがなかなか見つからなくて・・・。」
「ふぅ〜〜ん。まぁ、いっか。それより、瑞希お腹空いてるんじゃない?どうせ何か食べ物ない?とか、あとで言うと思って夕飯今作ってるの。もうすぐできるから、お風呂でも入っちゃえば?」
「うん、そうする。」
「はぁ〜・・・。なんか、どっと疲れた。『紅』か、あんなバケモノが存在していたなんて。あぁ〜、もうわけわかんないよぉ。」
「瑞希〜。もうご飯できたよ。早く出て一緒に食べよう!!」
「はぁ〜い、今行く。まぁ今の私が考えたって仕方ないか。よしっ!!明日あいつに問い詰めてやる!!」
「日直、号令を。」
日直が号令をかけ、いつもと変わらぬ授業が始まった。
・・・いつもと同じはずなのに同じじゃない。そんな気がする。周りが変わったのではない、私が変わったんだ・・・。
瑞希は心の中でそう思った。授業が終わり、瑞希は光のところへ駆け寄った。
「ちょっと来て!!」
「・・・ん?」
「いいから来い!!」
光の返事を聞かないうちに、瑞希は光の手を取り屋上まで引っ張り出した。
「何のようだ?」
「昨日の事、もっと詳しく説明しなさいよ!!」
「あぁ、そのことか。それなら、放課後、またここに来い・・・。」
「ちょっと・・・どこ行くのよ!!」
光は屋上から飛び降りどこかへ行ってしまった。
「に、逃げられた・・・。」
部活も終わり、屋上へと出た瑞希。あたりは薄暗くなり、町の明かりが美しかった。
「・・・いない。」
姿がない。そこにはいなくてはならない光の姿がない。
「何でいないのよ・・・。」
そう吐き捨てると、瑞希はその場に座り込んだ。
「・・・遅い。」
30分ほどたったころ、ようやく光が屋上へ来た。
「すまない。本部に行って、報告やら申請やらといろいろしていたんでな。」
瑞希はふてくされた顔で光をじっとみつめた。
「・・・・・・。・・・今からお前を狩人の本部へ連れて行く。あわせたい人物がいる。」
「えっ?本部に?」
瑞希の表情が一転した。少し瑞希はウキウキしていた。なぜなら未知の組織の本部へ行けるのだから。